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パンズ ラビリンス(2006年メキシコ・スペイン・米) [日記(2008)]


パンズ・ラビリンス 通常版

パンズ・ラビリンス 通常版

  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • メディア: DVD


 物語はスペイン内乱が背景となって展開します。フランコ率いる右派と左派の人民戦線が戦った内乱です。この戦いの右派政府軍の大尉ヴィダルの元に、娘オフェリアをつれてカルメンが嫁いで来るところから始まります。ナチの様な軍服のスペイン軍士官、ロールスロイス、奇怪な石像と来るとついインディー・ジョーンズを連想しますが冒険ファンタジーを期待すると裏切られます。
 冒頭で、地底王国の王女が人間世界に行ったエピソードが紹介されますから、オフェリアがこの王女様らしいことは想像がつきます。ストーリーはこのエピソードを踏まえて、オフェリアのおとぎ噺とスペイン軍大尉ヴィダルの冷酷なゲリラ狩りの話が平行して進みます。
 オフェリアが石造の迷路(ラビリンス)で牧神(パン)と出会う世界。一方、捕虜にしたゲリラを拷問し、ヴィダルの子を身ごもったオフェリアの母親の出産に際し、母親を犠牲にしても子供を救えと医者に命じるヴィダルの世界。ヴィダルの世界が冷酷で陰惨であればそれだけオフェリアのファンタジー世界は輝きます。それ故、これでもかと云わんばかりに政府軍とゲリラの戦闘場面や処刑、拷問がリアルに描かれ、現実の過酷さが強調されます。
 オフェリアの世界はオフェリアの空想の産物に過ぎずヴィダル大尉の残酷さこそが現実です。と、云ってしまっては身も蓋もありませんが。そして、最後に両方の世界の「救い」のようなものが用意されてはいますが、それが「救済」なのかどうか。ヴィダル世界とオフェリア世界の両方の未来がオフェリアの弟である赤ん坊に託されたところで物語は終わります。
 ダーク・ファンタジーに名を借り、大人と子供の世界認識の違いを語った映画なのでしょう。しかし、それぞれの世界は決して交わることはありません、どこまでいっても二元論です。それにしても不思議な映画です。

 地味な映画ですがアカデミー賞ほか数々の賞を取っています。
2006年(第79回)アカデミー賞(撮影賞、美術賞、メイクアップ賞受賞、脚本賞、外国語映画賞、作曲賞でもノミネート)
2006年(第59回)カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式参加作品
2006年(第41回)全米映画批評家協会賞
2006年(第73回)ニューヨーク映画批評家協会賞
2006年(第32回)ロサンゼルス映画批評家協会賞
2006年(第60回)英国アカデミー賞 外国語映画賞 他
2006年(第21回)ゴヤ賞 脚本賞 他
2007年ヒューゴー賞

監督:ギレルモ・デル・トロ
脚本:ギレルモ・デル・トロ
音楽:ハビエル・ナバレテ
キャスト:
オフェリア … イヴァナ・バケロ
ヴィダル … セルジ・ロペス
カルメン … アリアドナ・ヒル
メルセデス … マリベル・ヴェルドゥ

映画備忘録はここです。よかったら覗いていって下さい。但し、古い映画が中心です。
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