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セルジオ・レオーネを見る 夕陽のギャングたち [日記(2010)]

夕陽のギャングたち オリジナル英語・特別版 [DVD]

夕陽のギャングたち オリジナル英語・特別版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝ビデオ
  • メディア: DVD
(1971米 Duck, You Sucker)
 『ワンス・アポン・ア・タイム三部作』第2作です。『夕陽のギャングたち』という邦題は『夕陽のガンマン』から来ているのでしょうが、映画の中身とは全く無関係なタイトル。セルジオ・レオーネは“Once Upon a Time... the Revolution”というタイトルを付けたかったようですが(wikipedia)、その方がすっきしますね。

 『夕陽のギャングたち』は、いかにもセルジオ・レオーネらしい映画です。山賊の親分ファン(ロッド・スタイガー)とIRA(アイルランド共和軍)の闘士ジョン・マロリー(ジェームズ・コバーン)のコンビがメキシコ革命を背景に暴れ回るユーモアたっぷりで少しセンチメンタルな冒険活劇です。
 ロッド・スタイガー演じる山賊の親分が傑作です。ロッド・スタイガーは、私にとっては『ドクトル・ジバゴ』のコマロフスキーのイメージですが(ジュリー・クリスティは、ロッド・スタイガーの毒牙にかかってしまうんです、関係ないですが)、さすが大俳優、何でも演じられるんですね。木訥な農民として登場しますが強盗に早変わり、身ぐるみ剥いでちゃっかり女性まで頂くと云う調子の良さ。山賊の一団は、子供に父親など一族郎党を引き連れたファミリーですから笑わせます。

 この山賊の一団が出会うのがバイクに乗った元IRAの闘士ジョン・マロリー。いい獲物だと思ったら、コートの下にはニトログリセリンにダイナマイト。俺を撃てばメキシコの半分は吹っ飛ぶぞ!(そんなわけはないですが)。ジェームズ・コバーンといえば、『荒野の7人』『大脱走』で見せた(なんと言えばいいんでしょう)こだわりの美学を持った何処かユーモアのある役柄が忘れられません。バイクで登場しますが、『大脱走』のマックィーンの様にワイルドに乗るのではなく、小さなバイクでトコトコ走ってきます。

 ファンはジョンのダイナマイトに目を付け、これを使って銀行強盗をやろうと持ちかけます。誇り高きIRAの闘士は応じるわけもなく、ふたりのこの出会い自体が、やんちゃ坊主同士のフェイントの掛け合いで、その後のふたりの仲を暗示しています。
 なんだかんだで、結局ジョンは銀行強盗を手伝うハメに。時代はメキシコ革命の真っ只中、ジョンは爆弾の専門家として革命軍を支援しています。ジョンとファンが襲った銀行は実は政治犯の収容所、大金を手にするはずが、結果的に百人の政治犯を解放してしまいます。ジョンに騙されたわけで、ファンは革命の英雄に祭り上げられてしまいます。何時の間にやら強盗団は革命軍となるという喜劇(ファン達にとっては悲劇)が進行します。

 性格の異なるふたりの俳優、ロッド・スタイガー、ジェームズ・コバーンのコンビが実にイイです。ストーリーよりもこのふたりの掛け合い漫才のような演技を楽しむ映画でしょう。あまりヒットしなかったようですが、ストーリーとしても盛り上がりに欠けます。
 ファンにイーライ・ウォラック、ジョンにクリント・イーストウッドという案もあったようです(wikipedia)。このコンビは『続・夕陽のガンマン』で実証済みですから、どんな映画になったんだろうと想像するだけでワクワクします。個人的にはロッド・スタイガー、ジェームズ・コバーンで大満足です。

Once Upon a Time in the West(ウェスタン)・・・西部フロンンティア
Once Upon a Time... the Revolution(夕陽のギャングたち)・・・メキシコ革命
Once Upon a Time in America(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ)・・・ニューヨーク・ギャング

セルジオ・レオーネは『昔、男ありけり・・・』と言っているんでしょう。

監督:セルジオ・レオーネ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ロッド・スタイガー、ジェームズ・コバーン


《ドル箱三部作》

《ワンス・アポン・ア・タイム三部作》
1971年 夕陽のギャングたち・・・このページ


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