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映画 疑惑の影(1943米) [日記(2011)]

疑惑の影 [DVD] またまたヒッチコックです。ヒッチコックの映画は斜めから見ると映画の主題とは別のものが見えてくるので楽しいです。
 主演が『第三の男』でオーソン・ウェルズを探すアメリカ人を演じたジョゼフ・コットンです。『第三の男』ではオーソン・ウェルズに振り回される人のいい売れない小説家でしたが(製作は第三の男が後)、コッチでは危ない中年を好演。

 映画としては、アメリカの胡散臭さが漂っていますが、正統派です。身近に殺人犯を見つけた若い女性の恐怖を描いています。
 チャーリー(
ジョゼフ・コットン)が久方ぶりに姉の家庭を訪ねます。プレゼントを抱えたチャーリーを姉の家族は大歓迎。中でも同じ名前を持つ長女チャーリー(テレサ・ライト)は、かっこいい叔父さんに心酔しほとんど異性を見つめるまなざし。
 観客はこの時点で、チャーリーの影の部分を知らされています。窓の外には何時も彼を見張るふたりの男性が存在し、警察に追われる犯罪者かマフィアから追われる裏切り者か、いずれにしろ後ろ暗い男の様です。映画の見どころは、この叔父チャーリーの正体とその正体が何時露見するのかというスリル、姪チャーリーが叔父の正体を徐々に追い詰め、そこに現れる『疑惑の影』のサスペンスでしょうね。

 この映画でヒッチコックが突きつけたのは、
典型的なアメリカの中産階級の家庭に潜む不安と恐怖でしょう。映画の後半で、叔父チャーリーを見張るふたりが、調査員を装って姪チャ−リーの家庭に入り込みます。何の調査かというと、『典型的なアメリカの中産階級の家庭』の実態です。ケーキを焼くシーンを写真に撮るとか言ってますが、同時代のヨーロッパに比べ安穏とケーキを焼く家庭に裏に潜む不安、ヨーロッパから見ればアメリカの胡散臭さです。その胡散臭さは、叔父チャーリーの犯した犯罪の胡散臭さでもあります。
 アメリカでこの映画が公開されてしばらく、『叔父さん』は疑惑の目で見られたことでしょうね。
 ヒッチコックはやはり面白いです。

監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演者:テレサ・ライト ジョゼフ・コットン

【過去のヒッチコック】
逃走迷路(1942米)
サイコ(1960米)
(1963米)
フレンジー(1972英)

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