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映画 ガタカ(1997米) [日記(2011)]

ガタカ [DVD]
 SF映画なんでしょうが、ちょっと曰く言い難い映画です。見方によってはこれほど悲しい映画もありません。
 人は、遺伝子によって『適正者』『不適正者』に区分され、持って生まれた遺伝子情報が人の運命を決定してゆく世界の話。そんな世界に生まれた、不適正者・ヴィンセント(イーサン・ホーク)の物語です。彼は心臓疾患により遺伝子情報によると寿命は30歳という『不適正者』です。不適正者には職業の選択など社会のあらゆるシーンで差別されているいるようです。ヴィンセントの職業は掃除夫であり、彼が掃除をする場所はNASAの様な場所で、彼の夢は宇宙飛行士となること。

 努力によって宇宙飛行士としての知識と技量を身につけますが、不適正者は宇宙飛行士になれるはずはありません。ヴィンセントはジェローム(ジュード・ロウ)から適正者としての遺伝子を買うことで宇宙飛行士を目指します。彼はあらゆる能力が適正者の標準を超えた遺伝子上のエリートなのですが、事故によって下半身不随となり、遺伝子をヴィンセンに売るわけです。ヴィンセントは宇宙飛行士としての知識、技量、身体能力はあるわけですから、努力によって宇宙飛行士の試験にパスし、宇宙飛行士としての必要条件をジェロームの遺伝子でクリアします。身体的欠陥を抱えた遺伝子上の適正者と遺伝的欠陥を抱えた不適正者が相互補完することによって完全な適正者が誕生します。不適正者ふたりで適正者ひとりが誕生したわけです。
 ひとは運命を負って生まれ差別されますが、意志の力によって克服することができる、この辺りは運命、不条理に対する挑戦です。但し、それはヴィンセントの世界であって、もうひとつジェロームの世界が残されています。

 宇宙飛行士センターの教官が惨殺され、映画はミステリ色を濃くしてゆきます。警察は、センターに残された不適性者の遺伝子を発見し、センターに潜り込んだ不適性者を犯人として追いかけ始めます。ヴィンセントが殺人犯なのか、またヴィンセントが警察の遺伝子検査を如何にかいくぐって逃れるか、ミステリ映画としても楽しめますが最後は悲しい結末が待っています。

 不条理に挑戦するヴィンセントに感情移入しているとジェロームのような不条理の超克があり、ちょっと実存主義的な映画です。でお薦めかというと、あまり一般向けではありませんが、ハマル人はハマル映画でしょう。SFを期待しても無駄です。

 『ガタカ』(Gattaca)というタイトルの由来はこちらをご参照。

監督:アンドリュー・ニコル
出演:イーサン・ホーク ジュード・ロウ ユマ・サーマン アラン・アーキン アーネスト・ボーグナイン

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