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スティーグ・ラーソン ミレニアム2 火と戯れる女(上) [日記(2012)]

ミレニアム2 上 火と戯れる女
「ミレニアム2 火と戯れる女」は「ドラゴン・タトゥーの女」から約1年後の物語です。今回もリスベット・サランデルの物語とミカエルの物語が個別にスタートしますが、そのうちひとつになるんだろうと、安心して読み進めることができます。この辺りが、シリーズを読む楽しみでもあります。

 リスベットは「ドラゴン・タトゥーの女」の悪役ヴェンネルストレムの口座をハックして奪った30億クローネというとんでもない大金で世界旅行。ミカエルは、ヴェンネルストレム事件で一躍時の人となり、雑誌「ミレニアム」の経営も安定し、「ドラゴン・タトゥーの女」の少女失踪事件の本人ハリエットとチャッカリ恋人関係にあります。「火と戯れる女」の冒頭は、シリーズ第1巻の余韻を残した上々のスタートとなります。まぁそれではミステリとなりませんから、悪役が登場し事件が起きます。「ミレニアム1」でリスベットに完膚なきまでにやっつけられた彼女の法定後見人でエロ弁護士のビュルマンが再登場し、リスベットに復讐をしかけます。後見人の地位を利用し、リスベットの過去を調べる内に、双子の妹の存在が明かされ、リスベットの過去が次第に明らかになりますが、「12歳のとき最悪な出来事」などという新たな謎が現れ読者を煙に巻きます。

 前作「ドラゴン・タトゥーの女」では女性を切り刻むと云う猟奇連続殺人事件でしたが、今回は「人身売買と強制売春」。このシリーズは、スーパーウーマン・リスベットを主人公に、差別され虐げられ支配される女「性」にこだわります。世界に冠たる福祉国家スウェーデンで、何故「ジェンダー」にこだわったミステリが誕生したのか?です。
 人身売買と強制売春の実態を調べるジャーナリストのタグと犯罪学者のミアが「ミレニアム」接触してきます。タグのルポルタージュは、役人、警察官、弁護士、検事、裁判官を売春の客を、実名で告発しようというもので、タグの記事がミレニアムに掲載されるという間際、タグとミアは何者かに射殺されます。第一発見者はミカエル、凶器の拳銃からビュルマンとリスベットの指紋が検出され、なんと自宅からビュルマンの銃殺死体が発見されて「火と戯れる女」は佳境に突入します。

 考えてみれば、「ミレニアム」は相当にご都合主義のミステリと云うことができます。例えばリスベットのハッキングです。天才ハッカーという設定で、netにつながったPCを乗っ取りHDDの中身からメールまで総てお見通し。ミステリにスーパーウーマン、スーパーユーザーが登場してはちょっと興醒め。これ読者の視点ですね。それと、死んだはずの人物が生き返ります。リスベットの後見人で脳溢血でたおれた(確かに死んだとは書いてません)パルムグレンが、突如生き返って登場します。リスベットも死んだと思っていたと白状していますから、唐突感は否めません。パルムグレンを生き返らせてミステリの駒に使おうということなんでしょうか?。
 

タグ:読書
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