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映画 アルゴ(2012米) [日記(2013)]

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 1979年に発生したイランアメリカ大使館人質事件を描いたもので、2012年度のアカデミー賞・作品賞・脚色賞・編集賞に「輝いて」います。
1979年のイランは「イラン革命」の真っ最中。パーレビ国王を追い出してイスラム国家を樹立します。このパーレビが病気治療を目的に米国に入国し、イランはパーレビの引渡しを要求して大使館に突入し52人の大使館員を人質に取るという事件でした。イラン革命とこの事件のことは覚えている方は多いと思いますが、事件の影でもう一つの事件「カナダの策謀」があったことは初めて知りました。『アルゴ』はこの「カナダの策謀」の映画化です。

 映画は、イラン革命とイラン群衆によるアメリカ大使館突入からスタートします。熱狂する群衆、それも高揚したナショナリズムによる熱狂は恐ろしいものです。つい先日、尖閣諸島問題によって、中国日本大使館が群衆に包囲されたことは記憶に新しいですが、大使館の人々は生きた心地もしなかったでしょうね。
 イランの群衆は米大使館を占拠し大使館員を人質に取りますが、この時6人の大使館員がカナダ大使公邸に逃げ込みます。この6人の救出劇が『アルゴ』ですが、残る52名の救出を映画化せず、6人の救出劇を描いたところが面白いです。大使館を不法占拠して外国人を人質に取るのは違法ですが、イラン当局が後ろで糸を引いていますからどうしようもないわけです。
 6人のがカナダ大使公邸に隠れていることをイラン当局には知られていません。これを脱出させる作戦がCIAによって実施されます。この6人救出劇を華々しく打ち上げて、世論からの風当たりを和らげようというカーター政権の思惑でしょう。

 CIAによる救出劇、これだけなら今更映画になりません。CIAは、6人を映画ロケハンのカナダ人に化けさせて、カナダ人として出国させようという作戦を立てます。この6人が「作る」予定のSF映画のタイトルが『アルゴ』というわけです。イラン側に信用させるため、製作事務所を開き、ポスターを作り、記者会見まで開いて制作発表をします。つまり、制作するつもりはないが、ある時点までは実際に制作されるのと同様の手続きが踏まれることになります。製作はCIA(笑。
 なんでSF映画なんだと思いますが、これはCIAの作戦担当者が、たまたま『猿の惑星』をTVで見たため。『スターウォーズ』『未知との遭遇』は1977年公開さらSFブームを起こしていますから、SF映画を作ると言えば信憑性が高かったのかもしれません。しかし、それはハリウッドの話で、テヘランではどうなのかですね。
 スタートが『猿の惑星』ですから、CIAの作戦担当者は『猿の惑星』のマスク製作者ジョン・チャンバーズ(ジョン・グッドマン)協力を仰ぎます。いよいよ『ミッション・インポッシブル』『スパイ大作戦』の様な雰囲気になってきましたが、そうしたスパイ映画を期待しても無理です。

 「手に汗を握る」シーンがあったりで、救出は無事成功して最後はメデタシめでたしですが、中身はアカデミー賞に「輝く」程の映画かどうか?(いや、それなりに面白いですよ)。6人が脱出するジェット機を銃を持ったイラン兵満載のトラックが追いかけるシーンは、笑います。駅馬車を襲うインディアンの襲撃ですね。この映画が「アカデミー賞・作品賞、脚色賞、編集賞」に該当するとすれば、アメリカの栄えある映画産業(ハリウッド)が、経済や文化だけではなく政治に於いても国家に貢献した、その事を世界に知らしめたと云う一点でしょうね。よってアカデミー賞に該当する、勘ぐり過ぎですか?。

監督 ベン・アフレック
出演:ベン・アフレック ブライアン・クランストン アラン・アーキン

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