SSブログ

映画 ゾディアック(2007米) [日記(2013)]

ゾディアック 特別版 [DVD]
 1968年に起こった実在の未解決連続殺人事件「ゾディアック」を追うという、かなり地味な映画です。実在の事件ですから、ストーリーには縛りがあり、自由に展開出来ません。従ってかどうか分かりませんが、ゾディアックを追う刑事と新聞記者のヒューマン・ドラマとなっています。

 「ゾディアック事件」です。この事件が何故映画になるほど有名かというと、新聞や警察に犯行声明文や暗号を送りつけ、電話でTV出演するという派手なパフォーマンスでマスコミと警察を翻弄したからです(これは偽物らしい?)。いわゆる劇場型犯罪です。そしてこの「ゾディアック事件」にのめり込んでゆく(振り回される)男たちの物語です。

 トースキー(マーク・ラファロ)とアームストロング(アンソニー・エドワーズ)は刑事で、エイヴリー(ロバート・ダウニー・Jr )は担当の新聞記者ですから、立場上のめり込まざるを得ないわけです。もうひとりが、真犯人を逮捕寸前まで追い詰める新聞社の風刺漫画家グレイスミス(ジェイク・ジレンホール)。この漫画家は登場時点ですでにバツイチ。映画の中で再婚しますが、ゾディアックに入れ込み過ぎ、またも奥さんに逃げられます。
 刑事のトースキーは10年間事件を担当し、最後はゾディアックの手紙を偽造した疑いで殺人課から異動させられ、アームストロングは中途リタイア、エイヴリーも事件の毒気に当てられたのかサンフランシスコ・クロニクル紙を辞め地方新聞に移ります。そしてグレイスミスだけが17年間ゾディアックを追い続け、1986年に『Zodiac』という本を出版し、ベストセラーとなります(この映画の原作)。映画で犯人と名指しされた人物は1992年に亡くなり、未だ真犯人は捕まっていないそうです。

 この映画のハイライトは、新聞社勤めとはいえ事件とは直接関係のない漫画家グレイスミスが、ゾディアックにのめり込んでゆくところでしょう。奥さんに理由を聞かれても、誰もやらないから俺がやるとか、真実を知りたいみたセリフがありますが、家族を捨てて(捨てられて)新聞社も辞めゾディアックを追います。このグレイスミスの存在に、もうひとつ説得力がありません。
 このカタストロフィーの無い映画を面白と感じるかどうかは、 「ゾディアック事件」の犯人を追うグレイスミスたちに感情移入出来るかどうかだと思います。 「ゾディアック事件」を体験したアメリカ人であれば、彼等を身近に感じることも出来るのでしょうが、海の向こうの30年前の話ですから、もうひとつピンと来ません。
 やはり、実話であること、犯人が捕まっていないこと、このふたつが映画を縛っているような気がしてなりません。

監督:デヴィッド・フィンチャー
出演: ジェイク・ジレンホール マーク・ラファロ ロバート・ダウニー・Jr  アンソニー・エドワーズ

nice!(7)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 7

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0