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BSシネマ 怒りの河(1952米) [日記(2013)]

怒りの河 [DVD]
 原題は“Bend of the River”。何で『怒りの河』なんだ?と思わないでもないですが、河をはさんで物語が展開しますからそうなんでしょう。河が蛇行するように、いいことがあったり悪いことがあったり人生も蛇行するよ、ということなんでしょうか。ポートランドが出てきますから、地図で見るとこの「河」はコロラド川、ウィラメット川ですね。

 グリン(ジェームズ・スチュアート)を先頭に、幌馬車の一団がオレゴンの開拓地をめざします。グリンは道案内に雇われたようで、開拓団の一員ではありません。オレゴンに着いて、気が向いたら牧場か農場でも始めようかという軽い気持ちで開拓団の道案内を引き受けたようです。
 グリンは、途中で馬泥棒をはたらいてリンチに合っていたコール(アーサー・ケネディ)を助けます。名乗り合った後、ふたりは「あんたがミズーリのリン・マクリントックか」「お前がカンザスのエマーソン・コールか」と言っていますから、そうとう有名なガンマンか何かなんでしょう(実はこれが伏線です)。
 インディアンの襲撃を受け、開拓団のリーダーの娘ローラ(ジュリー・アダムス)が矢を受けて負傷し、グリンとコールは協力してこれを撃退します。この先グリンとコールのコンビが開拓団を引っ張ってゆくんだろうな、ローラはふたりにどう絡むんだろうという幕開けです。実は、ところがドッコというのが、この映画の要なのです。

 ポートランドに到着した一行は、食料を調達して開拓地に送るように手配し、船で開拓地を目指します。負傷したローラを病院に入れ、同行していたコールとはここで分かれます。また、この街で賭博師トレイ(ロック・ハドソン)と知り合います。地味な開拓民とギャンブラーの組み合わせも奇妙と言えば奇妙。ロック・ハドソンですから、後の伏線なのでしょう。
 船と馬車で無事目的地に着き、ここで前半終了。

 冬がそこまで迫っていますが、ポートランドで手配した食料が届きません。食料がないと開拓民は飢えるわけで、グリンと開拓団のリーダーはポートランドに向かいます。後半は、この食料をめぐる争奪戦です。

 ポートランドに到着すると、街はゴールドラッシュで沸き立っています。つまり、ゴールドラッシュに沸くポートランドでは食料品が高騰し、グリンたちが手配した食料は買った時の数倍の値段が付いています。開拓村へ出荷せずに高値で売ってしまえば大儲けというわけです。グリンたちは食料を買った商人のもとに押しかけ、腕ずくで食料を取り戻そうとします。この時グリンに加勢するのが、コールと賭博師のトレイで三人は銃で商人を制し、食料を船に積み開拓村を目指します。

 食料運搬隊は、別に番号をつけるほどのことはないのですが、

①開拓村に食料を届ける使命を持ったグリンと開拓村のリーダー、これに傷の癒えたローラが加わる
②グリンに雇われた運搬人夫、隙を見て食料を奪おうと虎視眈々
③グリンに加担したコールと賭博師のトレイ、実はコールとローラは恋仲

という3種類の人間がいます。悪徳商人に対しては手を組んだ①と③も決して一枚岩ではないわけです。

 商人の方もゴールドラッシュでその悪徳に磨きがかかり、ならずものを組織し陸から先回りして食料を取り戻そうとします。グリン達はそれを見越して途中下船で裏をかきます。とはいうものの結局追いつかれて大銃撃戦の末悪徳商人一味を撃退しますが、こんどは食料運搬に雇った人夫が反乱をおこしそうになったり、なかなか一筋縄ではいきません。この食料運搬隊に、金採掘の男たちから声が掛かり、馬車3台分の食料を10万ドルで買うというのです。10万ドルに目がくらんだコールはグリンを裏切り、人夫たちと馬車を乗っ取ります。①+③ → ②+③となり、グリンは荒野に置き去りにれます。ジェームズ・スチュアート危うし!・・・まぁ最後はコールをやっつけて食料は無事開拓村に運ばれますが。

 この映画のポイントは、冒頭でグリンがコールを助け、「ミズーリのグリン・マクリントック」と「カンザスのエマーソン・コール」と確認しあうところです。コールは馬泥棒としてリンチ寸前まで行き、ポートランドの酒場で、お尋ね者であることを見ぬかれていますから、コールのうさん臭さは観客も承知のうえです。ところが、最後に明かされますが、グリンはミズーリの“ならず者”グリン・マクリントックだったのです。映画の中で「腐った林檎」の話が出てきますが、オレゴンを目指す開拓民の中で、グリンこそが腐った林檎だったのです。というオチと、コールが味方になったり敵になったりでその度にグリンが右往左往、まぁそのあたりが見どころといえばいえます。

 ジェームズ・スチュアートは、西部劇のヒーローよりも『スミス都へ行く』や『素晴らしき哉、人生!』のちょっと線の細い主人公というが似合いです。ヒッチコックの映画にも数多く出ていますが、この「チョット線の細い」という役どころです。

監督:アンソニー・マン
出演:ジェームズ・スチュアート アーサー・ケネディ ジュリー・アダムス ロック・ハドソン
 
【当blogでのジェームズ・スチュアート】
怒りの河(1952)
裏窓(1954)
めまい(1958)
馬上の二人(1961)
西部開拓史(1962)

タグ:BSシネマ
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