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映画 光の旅人 K-PAX(2001米) [日記(2013)]

K-PAX 光の旅人 [DVD]
 レンタルショップのSFの棚にありましたからSFということにしておきますが、ロケットも宇宙船も宇宙人も登場しない「SF」映画です。いや、宇宙人は登場するんですが、ケヴィン・スペイシーその人です。
 地球にやって来たK-PAX星人プロート( ケヴィン・スペイシー)と、プロートの正体を探る精神科医マーク(ジェフ・ブリッジス)の物語です。『アメリカン・ビューティー』のロリコン・オヤジははたして宇宙人なのか?という映画です(笑。

 プロートは、かっぱらいと間違われて逮捕され、自分は宇宙人だと名乗ったために精神病院に送られます。プロートは、1000光年彼方のこと座、太陽を2つ持つK-PAX星から来たというのですが、どこから見ても人間そのもの。なぜ人間の姿をしているのかというマークの問いに、プロートはこう答えます。泡はなぜ丸いのか?それがもっとも合理的な姿だから。地球上で一番合理的な姿は人間であり、プロートは人間の姿をしているというわけです。地球は明るすぎるから、いつもサングラスをしているらしいです。
 見ている方は、ケヴィン・スペイシーが真面目な顔でサングラスの宇宙人を演じるのですから、笑ってしまいます。このオスカー俳優は、個性的な役柄が多いのですが、今度は宇宙人です。

 プロートは、問われるままにK-PAX星人についても語ります。K-PAX星では、新生児はK-PAX星人全体の子孫として育てられるために、両親や家族というものは存在しない。生殖行為は大変な苦痛を伴うために、どうも親子の男女の愛というものが存在しないようです。また、K-PAX星人は、犯罪を犯すこともないため、国家も法律も存在せず、殺しあったりいがみ合ったりする生物は、全宇宙で地球人だけだと言うのです。
 マークは、精神科医として、この論理的で冷静なプロートに次第に惹かれてゆきます。映画は、プロートは単なる精神病者なのか、それとも本当に宇宙人なのかという謎で観客を引っ張ってゆきます。

 マークがプロートの話を天文学者の友人に話したところ、こと座にある2つ太陽を持った惑星の存在は、一般には知られていない一部の学者の仮説であり、精神病院の患者が、なぜそんな惑星の存在を知っているのだ、ということになります。プロートは、研究所で問われるままにK-PAX星の軌道を描き、天文学者たちの知らなかったことまで解いて見せます。おまけに、プロートが精神病院に来てから、患者の様子が少しづつ変化し始めます。映画の文脈上、プロートは宇宙人ということになります。

 プロートの正体に疑問を持つマークは、催眠療法を使ってプロート過去の記憶を探ります。そして、プロートの中にもうひとりの人格が存在することを突き止めます。どうも地球人にK-PAX星人が憑依してプロートと名乗っているようで、映画は一気にサスペンスの様相を帯びてきます。このもうひとりの人格を突き止めれば、プロートが地球人であることが証明されます。ただ、プロートの正体が分かっても、プロートに憑依したK-PAX星人の存在は解明できないと思うのですが、突っ込んでも仕方がないです。
 で明らかになったプロートの正体とは...。

 この映画には、もひとつテーマがあります。これがメインかもしれませんが、家族というテーマです(米国人はこのテーマが好きですね)。K-PAX星人には家族という概念が存在しないとをプロートに語らせています。また、マークは、ふたりの幼い娘を持つ父親ですが、実はバツイチ。大学生の息子があり、この息子には長い間会っていません。この話が出てきた辺りで、最後はマークと息子は和解するなと、想像がつきました(事実そうなります)。これにプロートの正体が重なると、もう動かしようがありません。
 プロートは、地球を去るにあたって、地球人をひとりだけK-PAX星に連れてゆくことが出来ると言うので、精神病院では我も我もと大騒ぎになります。プロートの選んだのは、帰るべき家がない孤独な患者でした。これで決まりです。ただ、家族の概念がないK-PAX星人の選択肢としては?ですが、突っ込んでみても仕方がないですね。
 ということで、この映画SFではありません。私が借りたレンタル店は、『光の旅人 K-PAX』をSFの棚からドラマの棚に即刻移動スべきです(笑。

 で、お薦めかというと、「ケヴィン・スペイシーの宇宙人」ということではお勧めですが、SFとしてもドラマとしても、もうひとつかなと思います。テーマは異なりますが、『カッコーの巣の上で』と似ています。こちらでは、ジャック・ニコルソンは宇宙人で、ジェフ・ブリッジスの代わりに名優ルイーズ・フレッチャーが宇宙人と対決します。

【当blogのケヴィン・スペイシー】
セブン(1995)
光の旅人 K-PAX(2001)・・・このページ

監督:イアン・ソフトリー
出演:ケヴィン・スペイシー ジェフ・ブリッジス

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