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BSシネマ ロング・ライダーズ(1980米) [日記(2013)]

ロング・ライダーズ [DVD]
 伝説のジェッシー・ジェームズ強盗団を描いた西部劇です。『J・ジェームズの暗殺』という映画を見たのですが、よくわからなかったというのが正直なところです。今回もよく分からない(笑。この南北戦争直後の銀行強盗は、米国では一種‘義賊’として人気があるようですが、何故人気があるのか、伝説となったのか日本人の我々には分かりません。鼠小僧や五右衛門伝説のようなものですかねぇ。

 ひとつだけ分かったのは、根は南北戦争にあるということです。戦争終結が1865年で、この戦争で南軍に従軍したジェームズ兄弟が強盗を始めるのが1866年。南北戦争後の混乱した世相を背景に暴れまわったようです。

 ジェームズ兄弟の出身ミズーリ州は、州全体が南部と北部に別れて抗争するという、南北戦争で特殊な位置をしめたようです。wikipediaのミズーリ州‘南北戦争’の項には、

 南軍の正規軍はミズーリ州に何度か大規模な襲撃を敢行したが、その後の3年間、州内で行われた戦闘はほとんどゲリラ戦だった。ウィリアム・クァントリル大佐、フランク・ジェイムズ、ジェシー・ジェイムズ、ヤンガー兄弟、ウィリアム・T・アンダーソンなど「市民兵士」あるいは暴徒が、素早く動く小部隊の戦術を使った。ミズーリ・パルティザン・レンジャーズなどを始めとして、北軍に占領されたアメリカ連合国領域でそのような暴動が起きた。南北戦争が終わった後も、ジェイムズ兄弟などがゲリラ戦を継続して無法状態の期間を作ったことを評価する近年の歴史家もいる。

 ジェームズ兄弟、ヤンガー兄弟を擁するこの強盗団は、どうも南北戦争終結後も私設‘南軍’として仮想‘北軍’と闘う気分で銀行強盗をやらかしていたようです。その辺りが、一部の民衆に支持され‘義賊’としての伝説を生んだのではないでしょうか。

 という眼で映画を見なおしてみると(何も見なおさなくてもいいのですが)、何かというと南軍北軍の色分けの話が出ます。駅馬車を襲った時も、南軍従軍者に挙手させ、乱暴もせずに金を奪って逃走しています。彼等の襲う先も、銀行や列車で(但し乗客からは奪わない)、どうも南北戦争で北軍側についた大資本の金を狙ったといえなくもなさそうです。
 強盗団ですから追手がかかります。これが警察ではなく「ピンカートン探偵社」。この探偵社は、犯罪捜査まで手がまわらない政府の依頼で強盗団逮捕を請け負ったようです。とすると、私設‘南軍’vs.私設‘政府軍(北軍)’の構図ですね、面白い。

 なんといっても圧巻は、ミネソタ州での最後の銀行強盗です。銀行に押し入ったのはいいのですが、金庫は決まった時間までは開かない「時限金庫」で強盗は失敗。強盗団は逃げ出すのですが、ミズーリ州の外では人気も無かったのか、町の住人の反撃に会い、壊滅的打撃を受けます。この銃撃戦と逃走が圧巻です。サム・ペキンパーばりのスローモーションを多用した映像は迫力満点!。
 ヤンガー兄弟を始め主だったメンバーを失ったジェームズ兄弟は落ちのび、強盗団を再結成しますが、ピンカートン探偵社の賞金に目の眩んだ仲間のボブ・フォードに殺されて幕。

 この映画の目玉は、俳優に兄弟を使ったことでしょう。ジェームズ兄弟(ジェームズ・キーチ、ステイシー・キーチ)、ヤンガー兄弟(デヴィッド・キャラダイン、キース・キャラダイン、ロバート・キャラダイン)、ミラー兄弟(ランディ・クエイド、デニス・クエイド)。キース・キャラダインとデニス・クエイド以外よく知らないのですが、コール・ヤンガーを演じたデヴィッド・キャラダインが主役のジェッシー・ジェームズを食う演技で光ります。
 監督のウォルター・ヒルは馴染みがないのですが、脚本家、プロデューサーとしては実績を持つ人のようです。『ゲッタウェイ(脚本)』『マッキントッシュの男(脚本)』『エイリアン、1,2,3,4(製作)』『プロメテウス(制作)』などなど。

 でお薦めかというと、最後の10分のために見る価値があります。強盗団が、歴史に取り残された私設‘南軍’のゲリラだと思って見ると、また趣が違ってきます。NHK・BSで放映されていたので何となく見たのですが、これは思わぬ収穫でした。

監督:ウォルター・ヒル
出演:ジェームズ・キーチ ステイシー・キーチ デヴィッド・キャラダイン キース・キャラダイン ロバート・キャラダイン ランディ・クエイド デニス・クエイド

タグ:BSシネマ
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コメント 2

cocoa051

この映画は観てませんが、西部劇に夢中になったころがとても懐かしいです。
by cocoa051 (2013-12-27 04:59) 

べっちゃん

西部劇ファンには、NHKは貴重な存在ですね。
by べっちゃん (2013-12-27 20:39) 

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