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kindleで読書 青空文庫 [日記(2014)]

Kindle Paperwhite(ニューモデル)競馬
 kindleで読書する機会が増えています。理由は、たまたま読みたい本のkindle版があったということだけです。kindle本は、新本(古本では無いという意味)より幾分安いというメリットがあります。一番安かったのは『嘘つきアーニャの真赤な真実』で、文庫本が605円、買った時点のkindle版が230円でした。kindle本は(たぶん)需給バランスで価格が変動するようで、今見ると414円しています。概ね25%前後は安いようです。

 この価格という点では、kindle版の青空文庫が文庫が一番です。青空文庫は、PCやスマホでも利用したことがありますが、本を読むということではあまり使い勝手はよくあいません。やはり専用のbook readerです。何しろ0円で、amazonでkindle本を買うように手軽にダウンロードできます。版権切れの明治、大正、昭和中期の小説で「文学全集」に入っているようなものは、概ね読むことができます。
 
 「食」を手がかりに漱石、鴎外から三島由紀夫までの小説家に切り込んだ『文人悪食』という作家論を読みました。この本がきっかけで、大正、昭和の小説も面白そうだと、(この本には載っていなかったのですが)織田作之助を読み始めました。何しろ「0円」の誘惑には勝てません。ところが、これがけっこう面白い。私は関西人ですから、テンポのいい関西弁の会話には唸ってしまいます。
 小説の文体も、大正生まれの小説家ですから格調高い正統派。例えば、『競馬』の冒頭です、

朝からどんより曇っていたが、雨にはならず、低い雲が陰気に垂れた競馬場を黒い秋風が黒く走っていた。午後になると急に暗さが増して行った。しぜん人も馬も重苦しい気持に沈むなしい慌しさにせき立てられるのは、こんな日は競走(レース)が荒れて大穴が出るからだろうか。晩秋の黄昏がはや忍び寄ったような翳の中を焦躁の色を帯びた殺気がふと行き交っていた。
 第四角(コーナー)まで後方の馬ごみに包まれて、黒地に白い銭形紋散ちらしの騎手の服も見えず、その馬に投票していた少数の者もほとんど諦めかけていたような馬が、最後の直線コースにかかると急に馬ごみの中から抜け出してぐいぐい伸のびて行く。

競馬には昏いですが、「大穴」の出る荒れたレースが始まるという雰囲気に引き込まれます。古風といえば古風ですが、昨今の雑駁な文章ばかり読まされている眼には新鮮です。
 
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 ただ、困ったこともあります。旧仮名使いではないのですが、漢字が難しい!漸く(ようやく)、些か(いささか)あたりまではついていけますが、錚々(そうそう)、屡々(しばしば)、愈々(いよいよ)となるともうダメです。これは、kindleの辞書がナントカ解決してくれましたが...。

 面白いので、織田作之助が終わったら次は坂口安吾あたりを読んでみようかと思っています。

タグ:Kindle
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