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映画 オルランド(1992英露伊仏欄) [日記(2014)]

オルランド 特別版 [DVD]
 なんとも不思議な映画です。時代は1600年から現在(1990年)まで、主人公のオルランドは、男性として登場し何時の間にやら女性に変身します。寄生生命体が人から人へと乗り移ってゆくSFはありましたが、オルランドは不老不死となって性転換までして400年を生き続けます(吸血鬼でもないし、性転換手術をしたわけでもない、笑)。1600年のエリザベス一世の時代から、名誉革命、産業革命、ふたつの大戦を経て20世紀末まで、時代がどう変わろうとオルランドは生き続けるわけです。時代の波に揉まれるのかというとそんな深刻な話は無く、貴族の身分と豪邸を保証され、恋をして子供まで生まれます。

 全体は7つのエピソードから成り立っています。

死(1600年)・・・エリザベスⅠから、不老を条件に、豪邸を与えられる
愛(1610年)・・・ロシア大使の娘に恋をし振られる、「女は信用出来ない」
詩(1650年)・・・詩才をの無いことを指摘される
政治(1700年)・・・中東に大使として派遣される
  ***女性に生まれ変わる***
社会(1750年)・・・社交界にデビューし求婚されるが拒否
性(1850年)・・・アメリカの青年と出会い恋に落ちる
誕生(現在)・・・自伝を執筆、女児が誕生する

と並べても、何のことか分かりませんねぇ。性転換も、6日間眠って目覚めたら女性になっていたと言われても...。

 原作はヴァージニア・ウルフ。ヴァージニア・ウルフには『ダロウェイ婦人』を原作とした『めぐりあう時間たち』があり、コッチも1923年、1951年、2001年と時空を超えた話でした。ヴァージニア・ウルフはSF作家なのか?、そんなことはありませんね。この作家は、ケインズやバートランド・ラッセルも参加した?「ブルームズベリー・グループ」の一員であり、「偽エチオピア皇帝事件」といういたずら事件を引き起こしたり、政治家の奥方と同性愛関係にあったりと、かなり変わった小説家です。

 話がそれました。そういうヴァージニア・ウルフの小説ですから、400年の時を超える不老不死も性転換もありでしょうか。ひとつひとつのエピソードにこれと言って意味を見出せないのですが、一貫して流れるのは、「性」を超越した人間の存在と存在の連続性といったものです(とでも書かなければ「感想」にもならない)。自分は(あなたは)、たまたま今という時代に女性(あるいは男性)として存在しているが、人間の存在というものは、時間と性差を超えたものだ、そういうことなのでしょうか。
 女優ティルダ・スウィントンが青年オルランドから20世紀のミズ・オルランドまで演じます。
 私には難しすぎる映画です。監督も原作も女性ですから、女性の方が見ればもっと違った見方があるのかも知れません。『ダロウェイ婦人』は本棚にあるので、読んでみます。

監督・脚本:サリー・ポッター
原作:ヴァージニア・ウルフ
出演:ティルダ・スウィントン

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