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映画 あなたへ(2012日) [日記(2014)]

あなたへ DVD(2枚組)
 高倉健が亡くなり追悼番組として何本か放映されていました。さすが『唐獅子牡丹』『網走番外地』はありませんでしたが、高倉健の古いファンは本当はこれが見たかったのではないでしょうか(私のこと)。

 『ホタル』に続いて田中裕子です(監督が降旗康男だから?)。共演も佐藤浩市、草彅剛、ビートたけし、大滝秀治、余貴美子、浅野忠信と豪華メンバー。
 一種のロードムービーです。妻・洋子(田中裕子)を亡くした倉島(高倉健)が、富山から長崎・平戸まで散骨の旅に出ます。旅の途中で様々な人に出会い、慰められ慰め、人生も捨てたものではないという映画です。

 洋子は故郷の平戸に散骨して欲しいという遺書とともに、もう一通、故郷の郵便局止の遺書を残します。洋子は、どうしても高倉に平戸に来て欲しかったのでしょう。病気が直ったら、キャンピングカーで日本中を旅しようと約束した、手作りのキャンピングカーでひとり平戸を目指します。

◆ビートたけし
 これも妻を亡くし、キャンピングカーで日本全国を旅する元国語教師。山頭火に傾倒し、放浪と旅の違いを高倉に説きます。目的と帰る場所があるのが旅で、無いのが放浪。山頭火の句集を倉島に渡したり、「ビートたけし」らしくもない役なのですが、最後はきっちり決めてくれます。下関で化けの皮が剥がれます。元国語教師というのは真っ赤な嘘、キャンピングカーで日本全国を旅し、行く先々で置き引きを働く「盗っ人」だったわけです、さすがビートたけし。

◆佐藤浩市、草彅剛
 京都で、車が故障した草彅剛は倉島に頼んで荷物を大阪まで運んで貰います。草彅もまた、全国のデパート、スーパーを廻って駅弁を実演販売するという、旅から旅への生活を送っています。草彅剛のキャラクターそのままで、倉島にデパートの実演販売を手伝わせます。佐藤浩市は、草彅の同僚。明の草彅とは対照的な暗の佐藤ですから、何かありそうだと思っていると、最後にヤッパリ。

◆田中裕子
 童謡歌手として刑務所を慰問し、刑務官である倉島と知り合い結婚します。慰問ではなく、受刑者の一人のために歌っていたのだと倉島に告白します。この事情は明かされません。映画の中で、田中裕子は「星めぐりの歌」(宮沢賢治作詞作曲)を歌いますが、上手いです。
 この女優さんは、はかなさ、優しさを演じさせれば天下一品?で、高倉健が隠し持っているそれを映画の中で象徴しているのではないかと思います。 

 平戸に着き、倉島が洋子からの局留め郵便を開くと、たった一言「さようなら」。富山から長崎・平戸への人生の旅で倉島が出会った言葉です。
 『あなたへ』は、旅がモチーフとなった映画です。ビートたけしも草彅剛も旅をする人です。そしてもうひとり、人生をさすらう佐藤浩市の旅が明らかになって映画は終わります。倉島は、平戸で辞表を職場に郵送しますから、倉島の旅は未だ続くことになります。
 
 高倉健がどうとという映画ではありません。共演者がそれぞれに高倉健を盛り上げ、健さんはその上に乗っかていると云う、遺作にふさわしい映画かもしれません。 

監督:降旗康男
出演:高倉健 田中裕子 佐藤浩市 草彅剛 ビートたけし 余貴美子

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