西木正明 ウェルカム トゥ パールハーバー( 上 ) [日記(2015)]
「リメンバ パールハーバー」ではなく、何故「ウェルカム トゥ パールハーバー」なのかを描いた歴史サスペンスです。「ようこそ真珠湾へ」、真珠湾はとは日本が奇襲攻撃(1941/12/8)をかけて対米戦の火蓋を切ったハワイ真珠湾です。本書は、この真珠湾奇襲に至る1941年の「日米交渉」の舞台裏を描いています。
ふたりには、江崎の婚約者を天城が奪ったという過去があり、このわだかまりがスパイスとなっています。おまけにハニートラップの美女が登場し、ふたりは罠に嵌まったと見せかけて諜報戦に身をさらす辺りは、作者のサービスです。江崎と天城の身辺調査の報告書を読んだフーバー(FBI長官)は、彼らの仕事振り( 女遊び )にあいそうをを尽かしながら、相手の女性がソ連のハニートラップだと知って、調査の継続を指示するあたりは、笑ってしまいます。
当初の民間交渉で希望に満ちた条件(日米諒解案)を提示し、いったん政府間交渉(日米交渉)になったら、一転ハードル(交渉の条件)をあげ、日本側が受け入れ不可能な項目を追加して交渉する・・・その交渉の行き着くところは決裂だな決裂すれば日本はかならず武力行使に踏み切る。なぜなら彼らには、それ以外に選択肢がない。ドイツと同盟関係にある日本とアメリカが戦端を開けば、アメリカは否応なしにドイツと戦うことになるあらかじめ決裂を前提とした交渉に日本を引きずり込む。おそろしいシナリオですな(p65)
エコノミストは、2005年、共同通信のスクープとして明らかになった実在の人物で(三宅正樹『スターリンの対日情報工作』)、作者は、実名を書きませんが、駐ソ大使館参事官、スイス公使イタリア大使、内閣情報局総裁を歴任した天羽英二として小説に登場させます。
やがてハル・ノート→「帝国国策遂行要領」→真珠湾へとなだれ込みます。
2015-07-02 07:07
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