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映画 レンタネコ(2011日) [日記(2016)]

レンタネコ[DVD]
 荻上直子の映画は、ヘルシンキでレストランを開く『かもめ食堂』 、与論島の民宿に集う人々を描いた 『めがね』、「ウォッシュレット」にカルチャーショックを受けるアメリカ人を描いた『トイレット』など、一風変わった設定のなかでこれといってストーリーらしいストーリーも無い映画です。ストーリーが無いわけですから、当然主張やテーマもなく、説教臭さもありません。荻上直子が作るゆっくりと流れる時間に、ゆったり身を任せ荻上直子の「感性」を楽しむ映画です。

 『レンタネコ』とはレンタル猫。サヨコ(市川実日子)は、ネコをリヤカーに乗せ、「レンタァ~ネコ、ネコ、ネコ、寂しい人にィ、ネコ、貸します」と多摩川べりを流すレンタネコ屋。このレンタネコ屋とネコを借りる人々の、物語ともいえない物語です。猫カフェがあるのですから、レンタネコ屋があっても不思議ではありません。サヨコの元には、何故かネコが寄って来るが人間は寄り付かない。隣の婆さん(小林克也)は、アンタの前世はセミだからネコが寄って来る、だから若い男は寄ってこない、とサヨコをからかいます。でサヨコの願いは「今年こそ結婚するゾ!」。
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 ネコを借りる心寂しき人々が登場します。飼猫に死なれたひとり暮らしの老婆(草村礼子)、単身赴任のサラリーマン(光石研)、30歳を過ぎても独身のレンタカー営業所の女事務員。いずれも心の穴を埋めるためにネコを借りるわけですが、時代の戯画というほどでもありません。
 中学時代の同級生が現れ、サヨコの過去をバラします。サヨコは中学生の頃ジャミコと呼ばれ、保健室の住人だったようです。オチコボレだったのかイジメにあったのか、そんな深刻な話は出ません。ネコではなく若い男と出会ったわけですから、次の展開が気なりますが、何も起こりません。サヨコは、勉強について行けず友達もいなかった中学時代を思い出し憂鬱になっただけです。
 寂しい人のにネコを貸すサヨコもまた、心の中に「穴ポコ」を持った人間だったわけです。

 そんなこんなの「レンタネコ屋」サヨコの不思議で一風変わった日常が、淡々と描かれるだけの映画です。が、市川実日子の魅力とあいまって最後まで見てしまいます、意外と楽しめました。

監督:荻上直子
出演:市川実日子 草村礼子 光石研 小林克也


タグ:BSシネマ
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