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映画 クリミナルズ(2011カナダ) [日記(2017)]

クリミナルズ [DVD] ”孤島で起きる殺人事件”というと『黙秘』(スティーヴン・キング原作『ドロレス・クレイボーン』、キャシー・ベイツ)を連想し、その設定に惹かれて見ました。
 オープニングがフランス語だったので、あれ? →舞台はケベック州のマドレーヌ諸島で、なるほど。

 この島で18歳の女性がレイプの果てに殺されます。人口13000人ほどですから島で初めての殺人事件。捜査するのは島の巡査部長アンドレ(ピエール・フランソワ・ルジャンドル)。パニック症候群で抗うつ剤を常用、妻とは別居中でひとり娘からは蛇蝎のごと嫌われているサエない中年の警察官。

 冒頭、掛かり付けの精神科医エリーズに
  水を怖がるのは踏み出すことへの恐怖。心声を聞く恐怖。
と言われていますから、実直で臆病な性格。
クリミナル1.jpg クリミナル2.jpg

 アンドレとコンビを組むのが若い女性の巡査サボア(ブリジット・ポゴナ)。彼女は上司アンドレを尊敬し、どうやら恋している模様。歯並び矯正の器具を付けてますが、この演出が秀逸。一二の三で犯人の家に踏み込むまさにその時、彼女はアンドレに「昨日のことは気にしていないワ」と場違いな一言。「昨日のこと」とは、サボアがアンドレを自宅に誘い、その時アンドレに奥さんから電話があって招待が流れたこと。殺人事件捜査のミステリとこうした小技の組み合わせが効いている映画です。

 パニック症候群の巡査部長とちょっとテンポのずれた女性警官のコンビがこの映画のポイントです。

 田舎の警察の手に負える事件ではないと、署長?は早々とモントリオールに応援を依頼し、殺人課刑事ベルナールが捜査チームを率いてやってきます。ことあるごとに本庁?の刑事風をふかせ、アンドレをマヌケ、田舎の警察官と馬鹿にします。で、登場人物。

 ロザリー:市長の娘、18歳大学生。絞殺死体で発見される。手首が”もやい結び”され、魚の血が付いた青いウールの毛玉が付着していたことで漁師の犯行と推測される。裸体に肛門に性行為の跡。ベルナールによると典型的な性犯罪者の犯行。
 エマニエル:ロザリーが愛した従兄弟。事件以前に首吊り自殺している。エリーズの患者。
※※※容疑者※※※
ジングラー:医師、エリーズ婚約。ロザリーの携帯に発信履歴がある。
ジュリアン:麻薬の密売人、ロザリーと麻薬取引でトラブル
エヴァンジェリ:市長の後妻、癌の市長が死ねばロザリーと遺産を相続
アルベニテリオ:蟹漁船キャプノワール号の船長、市長の船キャプノワール号を使って麻薬を運んでいる
ダミアン:性犯罪者、部屋から青いジャケットと足形の一致する長靴が発見され、ベルナールによって逮捕される。
アルシド:大学の清掃員、ダミアンの叔父。犯行使われた同型の車を所有。ポルノ愛好者。アンドレが逮捕する。
フラーティ:国語教師。ロザリーの情人のひとり。
コルレニウス:元キャプノワール号の整備士、心臓発作に見せかけて殺される。

 あやしい人物が目白押しですが、犯人は以外な人物。冒頭のエマニエルの自殺が伏線なのですが、見終わって気づきました。冒頭の水を怖がるパニック症候群はラストで克服され、踏み出すことへの恐怖は、ザボアと結ばれますから、アンドレのの精神疾患は無事治ったようです。アンドレが事件を解決し、サボアとの未来を予感させて、幕。かなり地味な映画で、当然日本未公開。
 ロザリー殺しの動機がやや曖昧で、アンドレの推理も説得力に欠けますから、ミステリとしては大味。期待外れでしたが、モルダーとスカリー(Xファイル)の真逆をゆく、パニック症候群の巡査部長とちょっとテンポのずれた女性警官のコンビは楽しめます。

監督:ガブリエル・ペルティエ
出演:ピエール・フランソワ・ルジャンドル ブリジット・ポゴナ

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