TVドラマ LOST ロスト (2004~2010米)

　『ファーゴ』に続き『LOST』です。プライム会員であれば、シーズン1～6、全121話が無料で暇潰しにはもってこい。

　シドニーからLA行きの旅客機がフィージーあたりで墜落します。機体は3つに折れ、中程の機体の乗客48名が無人島に流れ着きます。ドラマは、「48人の集団ロビンソン・クルーソー」、「十五少年漂流記」としてスタートします。

　48人の内訳は、医師、イラク軍通信士官、音楽家、脱走中の犯罪者、詐欺師、建築士、妊婦等々と多彩。医師のジャックは遭難者の怪我、病気を治療し、イラク軍士官サイードは無線機を修理、兵士ですから銃器を扱えサバイバルにも長けています。旅客機搭載の医薬品があり、ウィスキーからゴルフ用具まで、マァ何でもあり。おまけに墜落したのが赤道直下の南太平洋の島。シャツ一枚で過ごせ、ブルーシートで小屋掛けすれば雨露もしのげる。マンゴー、ババナ、パパイヤが自生し、イノシシ、魚と淡白源も豊富。ロビンソン・クルーソーや十五人の少年のように生存に苦労するということはなく、理想的な？遭難です。

　待てども救助隊は現れず、彼等は 、熱帯のジャングルでシロクマ！に襲われ、死んだ肉親の幻覚を見、緑の魔境に住む得体の知れぬ何者かの存在に怯え始めます。ドラマは、サバイバルの「漂流記」から次第にホラータッチのサスペンスへと移ってゆきます。

　サイードの修理した無線機にフランス語の救難信号が入感、フランス人の女性ルソーに出会います。彼女によって、島に住む「他のもの」の存在が語られます。彼女は仲間3人と島に漂着し、3人は病死(彼らに殺された)、子供も彼らに奪われたいうものです。島には、48人の乗客以外に何者かが住んでいることになります。おまけに探検の途上、シェルターの扉のようなものを発見し、墜落した小型機を見つけます。極めつけは、ルソーに案内された18世紀頃の密林の奴隷船。奴隷船にあったダイナマイトでシェルターの扉を爆破し、侵入します。シェルターで発見したのは、銃、弾薬、大量の食料、あろうことかコンピューター！。

　この辺りから、話は完全にサスペンスかつファンタジー。南の島にシロクマがいて、18世紀の奴隷船がジャングルから姿を現し、地下のシェルターではコンピューターが動いている！。笑うしかないすが、いずれも後のストーリー展開の伏線で、まんまと乗せられてシーズン1、24話を最後まで見てしまいます。連続ドラマの怖さです（笑。

　このドラマの特徴は、島での冒険に登場人物の前歴がフラッシュバックのように挟み込まれ、過去が現在の行動に落とす影が説明されることです。主人公の医師ジャックは、手術でミスをした医師の父親を告発し、交通事故で再起不能の患者を約束通り治し結婚したという過去があます。、その正義感と強い意思で48人の遭難者のリーダーとなります。

　登場人物の背景を説明するだけではなく、本編がマンネリ化するのを防ぐ意味もあるのでしょう。たぶん伏線なんでしょうが、フラッシュバックと現在がどう繋がっているのか理解できないエピソードも多いです。

　もうひとつの特徴が「群像劇」。医師のジャック（マシュー・フォックス）、脱走犯ケイト（エヴァンジェリン・リリー）と一応主人公らしき人物はいるのですが、詐欺師ソーヤー、サバイバルに長ける中年男ロック、イラク軍通信士官サイード、肥満の元精神病患者ヒューゴ、イギリスのロック歌手リチャード等々がジャック、ケイトとともにストーリーを推進します。中でもソーヤー、ロック、サイードの3人は主人公以上の存在感を示します。

　連続ドラマですから謎やサスペンスが次々と提出され、次回に解決されるのではという期待で、ついつい見てしまいます。シーズン1、25話を見ても解決せず欲求不満が残り、シーズン2へ...、ということではよく出来ています。

監督：JJエイブラハム
出演：マシュー・フォックス　エヴァンジェリン・リリー