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映画 偽りの忠誠 ナチスが愛した女(2016英米) [日記(2018)]

偽りの忠誠 ナチスが愛した女 [DVD]  日本語タイトルは軟弱ですが、原題はThe Exception、例外。何が例外なのかなかなか含蓄のあるタイトルです。ストーリーは、ドイツ帝国(プロセイン王国)最後の皇帝、ヴィルヘルム2世とナチスの確執を軸に、親衛隊の将校とユダヤ人メイドのラブストーリーが絡みます(逆かも)。

 ヴィルヘルム2世は、第一次世界大戦に敗北しドイツ革命で皇帝の座を追われオランダに亡命、ドイツはワイマール共和国を経てナチス・ドイツとなります。『偽りの忠誠』は、ナチスがオランダを占領(1940)した頃の話です。この辺りを押さえておくと映画が面白いです。

 親衛隊大尉ブラント(ジェイ・コートニー)は護衛の名目でヴィルヘルム2世(クリストファー・プラマー)の滞在するドルーン館に派遣されます。ヒトラーは元プロセイン国王に利用価値を見出していたわけです。ブラントは館のメイド・ミーケ(リリー・ジェームズ)と恋に墜ちます。恋というより、親衛隊将校とメイド情事です。この情事が次第に恋に変わっていく辺りが見どころです。ミーケの正体はイギリスのスパイで、ヴィルヘルム2世の身辺を探りオランダからイギリスに亡命させる任を負っています。イギリスの女スパイとナチス親衛隊将校の恋、何処かで聞いたようなこの話を圧倒的存在感で支えるのがヴィルヘルム2世を演じるクリストファー・プラマー。クリストファー・プラマー無しでは、薄っぺらいラブストーリーとなっていたでしょう。かつての栄光を背負い復権を夢見るヴィルヘルム2世の矜持と悲哀がにじみ出ています。その悲哀とナチスに父親と夫を殺されスパイとなったミーケの触れ合いがストーリーのkeyとなります。

 ミーケの諜報は村の牧師によって無線でロンドンに伝えられ、この電波をゲシュタポが傍受したことでスパイの存在が明らかとなります。ブラントもまたミーケの部屋でニーチェの『善悪の彼岸』や拳銃保守の痕跡を発見し、ミーケに疑惑の目を向けます。ゲシュタポの手がミーケに向けられる時、ヒトラーの側近ヒムラー(エディ・マーサン)が館を訪れる知らせが入り、ミーケはヒムラー暗殺を決意します。ヒムラーは、ヴィルヘルム2世には復位を要請し、ブラントにはこの復位によって反ナチス勢力を炙り出そうという陰謀が告げられます。
 晩餐会の席でヒムラーはユダヤ人や弱者を抹殺する話をし、ヴィルヘルム2世とブラントは第三帝国の真の姿を垣間見させられます。このヒムラーの発言でストーリーが決定づけられ、ヴィルヘルム2世は復位を断念し、ブラントはミーケをゲシュタポから守ろうと決意します。

 ミーケがロンドン亡命を勧めるチャーチルの伝言をヴィルヘルム2世に伝え(事実のようです)、ヴィルヘルム2世はミーケがスパイであることを知り、これを断ります。ゲシュタポの追手がミーケに迫り、ブラントはミーケを助け、これにヴィルヘルム2世が絡んで大団円に向かってまっしぐら、となります。

 ヨーロッパ近代史を背景に、ナチス+サスペンス+ラブストーリーが加わったなかなか面白い佳作です。わりと地味な映画ですが、出演者は豪華、観て損はないです。

監督:デヴィッド・ルボー
出演:リリー・ジェームズ ジェイ・コートニー クリストファー・プラマー

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