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映画 大統領の陰謀(1976米) [日記(2019)]

大統領の陰謀 [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [DVD]  『ペンタゴン・ペーパーズ』は、不審者がウォーターゲート・ビルに侵入するシーンで終わっていました。『ペンタゴン・ペーパーズ』が終わったところから『大統領の陰謀』が始まります。『大統領の陰謀』は、ワシントン・ポストの二人の記者が、1972年に民主党本部に侵入した犯人から大統領の犯罪を暴き、ニクソンを辞任に追い込む話です。

 ウォーターゲート・ビルの民主党本部に不法侵入した5人が捕まります。犯人の所持品にカメラと無線機があり、連番の100ドル紙幣を所持していたことで、5人は単なる窃盗犯ではなく背後に何者かの影が伺われます。5人のうち3人はピッグス湾事件の関係者で2人は元CIA。折から大統領選の最中、民主党本部への侵入は大統領選がからんだ事件だと疑いを持ったワシンポストの記者、ボブ・ウッドワード(ロバート・レッドフォード)とカール・バーンスタイン(ダスティン・ホフマン)がこの事件の解明に乗り出します。ウッドワードは入社9ヶ月の新米記者、一方のバーンスタインは16歳でポストに入社したという叩き上げのベテラン。二人会わせて”ウッドスタイン”のコンビが「大統領の陰謀」の扉をこじ開けます。『ペンタゴン・ペーパーズ』のポスト編集主幹のベン・ブラッドリー(ジェイソン・ロバーズ)もしっかり登場します。

 犯人の持つ住所録に、元ホワイトハウスの顧問ハワード・ハント、ニクソンの補佐官チャールズ・コルソンの名前があったことで二人は色めき立ちます。ここで登場するのが有名なホワイトハウス内の情報源”ディープスロート”。ディープスロートは金の流れを追うようにウッドワードに助言します。バーンスタインは、侵入犯のひとりバーカーの通話記録と銀行資料を調査し、ニクソン再選委員会からバーカーへの金の流れ掴み、再選委員会の委員長(前司法長官)が機密費の管理者であったことを突き止めます。ふたりは再選委員会の名簿入手し、財務関連の人物をかたっぱしから夜討ち朝駆け。箝口令が敷かれ圧力がかけられているため調査は進展しません。委員会の腐敗に憤る帳簿係の女性が重い口を開き、委員長の指示で金を動かす人物が特定され、大統領補佐官の関与が明らかになります。1976年の映画ですから、観客(特に米国人)にとってウォーターゲート事件に登場する人物は記憶に新しいのでしょうが、事件から30年以上経った現在、次々に登場する関係者に混乱します。

 ディープスロートは、再選委員会の機密費は盗聴、尾行、デマ、手紙の偽造、集会の妨害、私生活の調査、スパイの潜入など民主党浸透工作に遣われたこと、大局を見失うな、ホワイトハウスを調べろとウッドワードに助言します。
 ワシントンポストは一連の報道は物議を醸し、情報提供者が前言を翻したことで、同紙は苦境に立たされます。ディープスロートは、「もみ消し工作」が行われていること、工作はCIA、FBI、司法省が関わっていることを伝え、ふたりは命を狙われており、自宅にも盗聴器が仕掛けられていることを告げます。サスペンス映画であれば、ここで暗殺の恐怖が描かれるはずですが、ノンフィクションですからそれはありません。バーンスタインの自宅で音楽を大音量で流し、ふたりはタイプライターで会話する様が描かれる程度です。
 ベン・ブラッドリーは、我々が守るべきは憲法修正第1条、報道の自由、この国の未来だ、と言って”ウッドスタイン”のふたりをけしかけます。この憲法修正第1条は『ペンタゴン・ペーパーズ』にも登場しました。この後ホワイトハウスの録音テープをめぐる山場があるわけですが、映画の方は「大統領の陰謀」の扉をこじ開けたところで終わっています。

 地味な映画ですが、ふたりの記者がウォーターゲート事件の断片を集め裏を取り、事件の全貌を組み立ててゆく様はスリルに満ちています。
 ウッドワードは、2018年にトランプ政権の内幕を描いた『恐怖の男 トランプ政権の真実(Fear: Trump in the White House)』を出版しています。原作の『大統領の陰謀』にも興味がありますが、こちらを読んでみたいです。

監督:アラン・J・パクラ
原作:カール・バーンスタイン ボブ・ウッドワード
出演:ダスティン・ホフマン ロバート・レッドフォード

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