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映画 ゴーン・ガール(2014米) [日記(2019)]

ゴーン・ガール [AmazonDVDコレクション]  原題”gone girl”、失踪女性にからむミステリです。結婚5周年の記念日、 ニック(ベン・アフレック)の妻エイミー(ロザムンド・パイク)が失踪します。部屋が荒らされていることで誘拐の可能性があり、ニックは警察に通報します。エイミーは、(たぶん)母親の本によって「完璧なエイミー」として全米に知られ著名人。警察は記者会見を開き情報の提供を呼び掛けます。

 映画は、失踪事件の起こった現在と、エイミーの日記による過去の二元構造がとられます。この日記が失踪と重要な関わりを持っています。完璧なエイミーの結婚生活は、どうやら「完璧」とはほど遠いものであることが明らかとなります。
 キッチンから大量のルミノール反応が検出され、警察はニックの妻殺害を疑い、著名人エイミーの失踪は大々的にマスコミ取り上げられ、ニックは疑惑の人物としてワイドショウに取り上げられる始末。ニックには高額のカード負債があり、最近エイミーの生命保険を増額した事実が明らかになり、疑惑はますます深まります。死体と凶器が発見されないものの、状況証拠はニックの犯行を示唆するものです。はたして、ニックはエイミーを殺害したのか?。そんなわけは無いです。ここからエイミー失踪の謎が明かされますが、ネタバレ無しで観た方が面白いですから、これから観ようという方は以下は読まない方がいいでしょう。

ネタバレ
 実は、失踪はエイミー自身によって仕組まれた、ニックへの復讐だったのです。ハーバード卒の「完璧なエイミー」は、5年間の結婚生活の間に堕落し若い女と浮気をするニックを憎むようになり、ニックに妻殺害の罪を着せ復讐を果たそうとしたわけです。ニックに妻殺害の罪を着せ死刑にする計画です。エイミーは300日分の日記を捏造してニックの変心や家庭内暴力の傍証とし、次いでニックのカードで高額の買い物を繰り返し多額の負債を抱えさせ、自分の生命保険を増額し、経済的に行き詰まり保険金目当てに妻を殺害した夫を作り出します。さらに、妊娠を偽装し、妊娠した妻の殺害という世間の非難をニックに向けさせます。
 最後に、自分の血を抜いてキッチンにバラマキ、状況証拠を整え家を出ます。後は自殺して(自殺まで計画に入っています)死体が発見されれば、ニックの死刑判決は確実。「完全なエイミー」による完全犯罪の計画です。計画表を作り、自殺を書き入れるあたりは精神異常者です。
 エイミーは高校生の時に言い寄る同級生をストーカーとして訴え、後には性暴力で訴訟を起こしています。いずれも彼女によって巧妙に仕組まれた犯罪で、美しく聡明な「完全なエイミー」とは、実は「不完全なエイミー」だったことが明かされます。

 家出したエイミーはモーテルに身を隠しますが、有り金を強奪され計画が狂います。ここで彼女が取った行動がド肝を抜きます。ストーカーで訴えたかつての同級生に近づき、誘惑し、ベッドで殺害します。ワインボトルを使って性暴力をふるわれたという状況を作り出すあたりは、凄いの一言。ニックの妻殺害を、元ストーカーによる拉致に切り替えたわけです。
 エイミーは、血まみれでニックの前に姿を現します。つまり、エイミーはストーカーの友人に拉致され、からくも逃げ出して来たという筋書きです。マスコミは、彼女を悲劇のヒロインとして持ち上げ、エイミーの正体を知るニックも「完全なニック」を演じるはめとなります。エイミーの計画はさらに手が込んでいます。不妊治療でスットクされていた精子を使って妊娠し、真相を知るニックを共犯者として絡め取ります。
 誰も、復讐のために夫を殺人犯に仕立てたり、生き残るために昔の恋人を殺したりしませんが、寓意として見れば、この映画は「結婚」の真相をみごとに描いたものだと思われます。可哀想なニックは世のすべての夫族に当あたりそうです。さすがデヴィッド・フィンチャー、お薦めです。

監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ベン・アフレック ロザムンド・パイク

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