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映画 特捜部Q 檻の中の女/キジ殺し(2013、2014デンマーク) [日記(2019)]

特捜部Q ~檻の中の女~ [DVD] 特捜部Q ~キジ殺し~ [DVD] 特捜部Q ―檻の中の女― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕  TVドラマのような『特捜部Q』という安っぽいタイトルですが、なかなか見ごたえのある刑事モノです。
 殺人課のカール(ニコライ・リー・コス)が銃で撃たれて負傷し3ヶ月後に復帰すると、殺人課に席はなく新設の「特捜部Q」に異動を命じられます。《Q》は、迷宮入りになった事件の捜査資料を整理する部局。無能か第一線を退いた警察官のやる仕事で、(移民と思われる)アラブ系のアサド(ファレス・ファレス)と共に書類整理をやるはめになります。カールとアサドが迷宮入り事件を再捜査し解決するプロットですが、見どころは、犯人探しのプロットよりも、豪腕一直線のカールと一歩退いた冷静さで事件を見つめるアサドの名コンビ振りです。片の付いた事件を蒸し返すわけですから誰も快く思わず、警察内部は非協力的で妨害さえ入る始末。この抵抗勢力をカールの豪腕が跳ね除け、アサドがソフトランディングさせるわけです。

 カールは妻に逃げられ、大きな息子と二人暮らし、母親はどうしていると息子に聞くと「新しい男とヤリまくっている」という返事。アサドは2年間倉庫でスタンプ押しが仕事だったという以外に私生活は謎。現世の幸福とは程遠いふたりが主人公ですから、映画は明るい筈がありません。迷宮入り事件ですから、事件が起きた過去とふたりが捜査する現在が交差する二重構造となり、過去も現在も”真っ暗”。

檻の中の女
 フェリー船上で行方不明となり、投身自殺と見なされた「国会議員ミレーデ失踪事件」です。フェリーに解離性障害の弟を残して投身自殺するはずないと考えたカールは、ミレーデは誘拐されたか殺されたと考え、彼女の周辺を洗います。タイトルが『檻の中の女』ですから、誘拐。誰が何のためにミレーデを誘拐し、何処に監禁しているのか?、ということになりますが、ミレーデが監禁された「檻」はなんと「加圧(与圧)室」。気圧を上げたり下げたりして、潜水病の治療に使うアレです。こんなものがなぜ農家の納屋にあるんだというツッコミは別にして、こんな装置に女性を何年も閉じ込める犯人の狂気と、減圧でミレーデの命が刻一刻と危機に近づくサスペンスはなかなか。「何故」という犯人の背景と誘拐の動機はもうひとつ納得がいきませんが。

キジ殺し
 第2作では、カールとアサドに加え秘書ローセが加わります。《Q》に異動(島流し)させられますから、彼女も普通の警官ではなさそう(はみだし警官?)。目覚ましい活躍はしませんが、必要にして十分なサポートでふたりを支えます。
 《Q》の噂を聞き、カールのもとに再捜査の依頼者が訪れます。カールはすげなく断りますが、解雇された元警官の依頼者はその数時間後に自殺。迷宮入りを50件抱えているというアサドの反対を押し切り、カールは事件の再捜査を始めます。全寮制の有名校で双子の兄が殺され妹がレイプの末刺殺されるという事件で、犯人は心神耗弱で5年の刑期を3年で出所するという軽いもの。犯人を弁護したのが富裕層を顧客とする弁護士であり、顧客なかで事件の犯人は唯一の”庶民”。カールとアサドは、被害者の父親が調べた資料をもとに全寮制有名校で起きた20年前の殺人事件に挑みます。
 犯人は裕福な家庭に育った全寮制高校の生徒。その特権的な地位を利用し、欲望のおもむくままに犯罪を重ね隠蔽のために双子の兄妹を殺したわけです。20年前の殺人犯を割り出し20年後にホテルチェーンの経営者となった殺人犯を追い詰めます。過去と現在が交差する狭間に、ひとりの少女の存在が浮上します…。

 amazonのカスタマーレビューに釣られて観たのですが、思わぬ拾い物でした。原作がハヤカワ・ミステリ文庫でシリーズ化されているようで、読んでみたいです。

監督:ミケル・ノガール
出演:ニコライ・リー・コス  ファレス・ファレス

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