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ユヴァル・ノア・ハラリ サピエンス全史ー文明の構造と人類の幸福(上) (2016河出書房新社) [日記(2019)]

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福 【上巻】
第1部 認知革命 第1章-唯一生き延びた人類種、第2章-虚構が協力を可能にした 第3章-狩猟採集民の豊かな暮らし 第4章-史上最も危険な種)

第2部 農業革命 第5章-農耕がもたらした繁栄と悲劇 第6章-神話による社会の拡大 第7章-書記体系の発明 第8章-想像上のヒエラルキーと差別

第3部 人類の統一 第9章-統一へ向かう世界 第10章-最強の征服者、貨幣 第11章-グローバル化を進める帝国ビジョン

【下巻】第12章-宗教という超人間的秩序 13章-歴史の必然と謎めいた選択

第4部 科学革命 第14章-無知の発見と近代科学の成立 第15章-科学と帝国の融合 第16章-拡大するパイという種本主義のマジック 第17章-産業の推進力 第18章-国家と市場経済がもたらした世界平和 第19章-文明は人類を幸福にしたのか 第20章-超ホモ・サピエンスの時代へ

 世界で800万部売れたというベストセラーです。人類史を、猿が木から下りた600万年前から現在まで「認知革命」「農業革命」「科学革命」のエポックに分け、人類の未来を見渡そうという歴史書です。

認知革命
 ホモ・サピエンスは、ホモ属のサピエンス(賢い人間)という意味で、ホモ属にはネアンデルタール、エレクトスなどが存在するそうです。原生人類のひとつであるサピエンスは、ネアンデルタール、エレクトス等を駆逐して唯一人類として生き残り今日の繁栄を築きます。
 生き残った要因は、サピエンスが言語を獲得したこと。認知革命とは、人類が言語によって物事を抽象化する能力を獲得したことだと理解します。人間の個々人識別能力は150人が限界で、それを越える集団は例えば村、氏族集団という個人を越えた共同体のイメージで認識されます。いわゆる共同幻想です。共同体をイメージするために象徴が生まれ、象徴が肉付けされて神や神話が生まれます。

 この150人を越える共同体はひとつの象徴のもとに(知らない)共同体の構成員と協力し、肉体的に勝るネアンデルタール人を駆逐し、ホモ属のサピエンスとして生き残ったわけです。この共同体をたとえばヤマト王権と呼んでもいいでしょうが、眼に見えない擬制であり想像上の仮想です

農業革命
 教科書的に言えば、植物の栽培、野性動物の飼育によって人類は定住化し、狩猟採集から離陸します。農耕によって余剰生産物の蓄積が可能となり、貧富の差、支配被支配の関係が生まれ、共同体は国家に発展?します。進化し複雑化した共同体運営のために文字による記録が生まれます。本書では「書記」という単語が使われます。脳の外に生まれた第二の脳、とは書いていませんが、記録しindexを作ることで人類の認知能力は飛躍的に伸びたと考えられます。

 第1部、第2部は歴史の啓蒙書といったところ。新しい視点や鋭い分析があるというわけでも無さそうです。

人類の統一
 第3部「人類の統一」では、グローバリゼーションに話が及びます。世界は様々な文化とイデオロギーで満ち、共同体(国家)どうしが反目しあっているのではないのか?。著者はそれでも「歴史は統一に向かって進み続ける」というのです。どうもこれが本書の主題らしい。

 紀元前1000年紀(1~999年)に普遍的な秩序となる可能性を持ったものが三つ登場し、著者はその信奉者は初めて、一組の法則に支配された単一の集団として全世界と全人類を想像することができたと書きます。貨幣、帝国、宗教の三つです。

 集団の内と外を隔てる壁が、その三つによって崩れ、個別の集団に囚われていた人々は「全世界と全人類を想像することができた」というのがこの章の趣旨です。

 金と銀による貨幣は、その交換価値によって共同体の壁を越えて流通します。現在ではテロ集団もドルで決済し、為替制度で世界はひとつの経済圏になっているというわけです。
 帝国主義は植民地に帝国の文化、言語、貨幣、制度を持ち込み、植民地の帝国化を図ります。第二次世界大戦後多くの植民地は独立しましが、独立したからといって以前の状態に戻ることはありません。旧主国の文化、言語、制度を維持します。そうした意味で、帝国主義は世界のグローバル化に一役買います。これは19世紀の帝国に限りません、ローマ帝国、唐、中南米を支配下におさめたスペインにおいても同じことです。

「全世界と全人類を想像する」とは、例えば中国の歴代帝国は、近隣諸国を野蛮な「夷狄」と見なし、彼らを征服することは、搾取するのではなく帝国の恩恵によって文明化する(してやる)と考えています。夷狄の中華化です。ローマ人も、未開のゲルマン人やガリヤ人を、法と公衆浴場と哲学を教え撫育し文明社会に参加させたということです。帝国には世界と人類が(それは中華とローマに他なりませんが)視野に入っていたと、なるほど。
 残る宗教です。異端を認めない一新教が世界のグローバル化とどう繋がるのか?。以下は「下巻」となります。


 合っているのか?ですが、貧弱な脳にはこのレベルです、続きます。

タグ:読書
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