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川上和人 鳥類学者 無謀にも 恐竜を語る(2013技術評論社) [日記(2019)]

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (新潮文庫)  この手の本はめったに読みませんが、面白いと評判になっていたので読んでみました。
 今日では、鳥は恐竜から進化したというのが通説ですから、鳥類学者が恐竜を語ることもまたあり得るというわけです。恐竜は6600万年前に絶滅し、化石でしかその姿を見ることのできない幻の生物。鳥の生態から恐竜を想像する「生物ミステリ」です。

第1章:恐竜はやがてとりになった
第2章:鳥は大空の覇者となった
第3章:無謀にも鳥から恐竜を考える
第4章:恐竜は無邪気に生態系を構築する

 面白いのは第3章。例えば「sectin3白色恐竜への道」。鳥にはカモメ、アホウドリ、ハクチョウなど白い鳥がけっこういます。だったら鳥の祖先である恐竜にも白い恐竜がいたのではないか?というわけです。ジュラシック・パーク シリーズなどでは、恐竜はたいてい暗緑色です。白い恐竜などいるわけがないというのは図鑑や映画の刷り込みで、骨の化石しか残っていず誰も見たことはないわけですから、いても可笑しくはない。言われれば無下に否定は出来ません。恐竜の面白いところは、こうしたとんでもない想像ができるところかもしれません。生物が白いということは、捕食者に発見され易い反面仲間を見つけやすく、群れになると捕食者に襲われる確率が低いというメリットがあります。白熊や白フクロウがいますから、捕食者の恐竜にも白いものがいた?、ちょっと苦しい。
 という妄想は続き、足跡から渡り恐竜を想像する「獣脚類は渡り鳥の夢を見るか」、営巣の化石から「家族の肖像」、キウイなど夜行性の鳥の存在から「肉食恐竜は夜に恋をする」などなどの妄想が生まれます。本当?と思いますが、誰も見たことはないわけですからついつい著者に乗せられてしまいます。

 6tのTレックスや40tにもなる竜脚類が闊歩していたのですから、地球の環境は恐竜によって大きく変化したという「第4章 恐竜は無邪気に生態系を構築する」も面白い。恐竜から食べられないように松は針で武装し、蘇鉄は毒を持った、ナルホド。
 恐竜が巨大隕石の衝突によって絶滅したことは、ほぼ定説です。地球の環境を変えるほどの恐竜が絶滅したのち生態系はどう変わったのか?。生き残った小さな脊椎動物や鳥が我が世の春を謳歌し、新生代には3mもの飛べない鳥、肉食の恐鳥が出現したそうです。

 面白いです、緑陰図書にぴったり。

タグ:読書
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