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映画 ぼくを探しに(2013仏) [日記(2019)]

ぼくを探しに [DVD]  原題はAttila Marcel。33歳のピアニストの自分探しの映画です。と言っても深刻さはゼロ。アメリ』『デリカテッセン』『ロスト・チルドレンのジャン=ピエール・ジュネ風のエスプリ?に満ちた映画です。従って、予めお断りしておきますが、この映画の面白さは(実際面白いです)文章では全く伝わりません。
 両親を亡くし叔母姉妹に育てられたポール(ギヨーム・グイ)は、2歳の時に体験したショックから口がきけません。どうやら父母の死が関係しているらしいのですが、これが映画の謎と言えば謎。叔母姉妹は、33歳の今日までポールを一流のピアニストにしようと育ててきました。毎年ピアノコンテストに挑戦し続けていますが、未だ優勝できず。ポールは、姉妹が営むダンス教室でピアノの伴奏をする他、好物のお菓子を買いにパン屋に行くか公園に行くだけの謂わば変人。口がきけない口をきかないポールとオバサンの話ですから、登場人物はほぼオジサン、オバサン。何時もお揃いの服を着る叔母姉妹、盲目のピアノ調律師、剥製師に憧れる医者など怪しい人物が登場しますが、極めつけはポールと同じフラットに住むマダム・プルースト(アンヌ・ル・ニ)。
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 名前がプルーストですからマルセル・プルーストの『失われた時をもとめて』、タイトルに合わせたシャレでしょう。タイトルの”アッティラ・マルセル”(実は父親の名)のマルセルやマドレーヌは、この小説から借りてきたのでしょう。マダム・プルーストは、自室で野菜やハーブを育て、ハーブを使った占いや巫女のような仕事をしている怪しいオバサン。マダム・プルーストはポールの潜在意識を見抜き、ポールに精神療法みたいなことをやり始めます。自家製のハーブティーとマドレーヌでポールを過去を送り込みます。ハーブティーを飲みマドレーヌを食べると、ポールは気を失い意識は過去に遡り、両親と過ごした幼い頃をありありと思い出す、つまり失われた時を求めてトリップするわけです。このトリップが『ぼくを探しに』というタイトルの謂われです。けっこう流行っていて一回50ユーロですからいい商売。ドラッグではなく、ハーブティーとマドレーヌであるところがいかにもフランス的(どの辺りが?)。

 トリップして幼い頃の両親に会いますが、父母の写っているいる写真はハサミで父親だけ切り離しますから、ポールは何故か父親を嫌っている模様。父親の名前がアッティラ・マルセルというらしいのですが、アッチラ大王?。
 ポールの過去が次第に明らかになり、両親の死の謎、ポールは何故口がきけなくなったのか?、叔母たちはなぜポールをピアニストにしたがるのか?、ポールはピアノコンテストに優勝できるのか?、謎とも言えない謎をはらみ、ドラマがありそうで無い映画が進行します。ゴーギャン風に言うなら我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』という哲学的命題が適度なユーモアとともに描かれます。そう言えば、ゴーギャンのファーストネーム”ポール”です。音楽もいいです、ジャン=ピエール・ジュネがお好きなら、お薦めです。

 監督のシルヴァン・ショメは、フランスのアニメーション作家とのこと、今度観てみます。ギヨーム・グイ、アンヌ・ル・ニも初見参ですがなかなか魅力的。

監督:シルヴァン・ショメ
出演:ギヨーム・グイ、アンヌ・ル・ニ、ベルナデット・ラフォン、エレーヌ・ヴァンサン

タグ:映画
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