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備忘録 映画と原作 (4) 邦画編 [日記 (2020)]

ぼく東綺譚 (新潮文庫)墨東綺譚 [DVD]

 洋画編を考えたので、邦画どうなんだろうとblogから拾ってみました。
 洋画と同様、原作の方がはるかに面白いですが、原作を超えた(と勝手に思っている)のが『時代屋の女房』。原作をここまで膨らませた脚本に脱帽です。面白いのは、宮尾登美子の「土佐もの」を、五社英雄が任侠映画に改変していること。『 岩伍覚え書』一本をネタモトに、『』『寒椿』『陽暉楼』『鬼龍院花子の生涯』と4本モノにする辺りはご立派。こういう解釈もアリかなと思います。
 原作を読んでいると楽しめるのが『それから』。重要なキーワードの「銀杏返し」と「百合の花」を映像で見せられと「なるほど」と思います『断腸亭日乗』を下敷きにした『濹東綺譚』のエロスは新藤兼人ならではの一作。磯田道史の歴史書から『武士の家計簿』が生まれるのも驚きです。浅丘ルリ子、草笛光子など往年の美女を揃えて老婆の反乱を描いた『デンデラ』も面白いです。

デンデラ:佐藤友哉 デンデラ(2009新潮社)
寒椿:宮尾登美子 寒椿
:宮尾登美子 
陽暉楼:宮尾登美子 陽暉楼岩伍覚え書
北のカナリアたち:湊かなえ 往復書簡 
それから:夏目漱石 それから
永遠の0:百田尚樹 永遠の0
八日目の蟬:角田光代 八日目の蟬
わが町:織田作之助 わが町
蝉しぐれ:藤沢周平 蝉しぐれ
羅生門 デジタル完全版:芥川龍之介 藪の中 
スパイ・ゾルゲ:ロバート・ワイマント ゾルゲ 引裂かれたスパイ・・・などなど。

 映画と小説では元々表現手法が異なるから、同列に論じる事自体が無意味だと思います。Wikipediaの原作と映画
例えば、『砂の器』やジャン・ルノワール監督の『ピクニック』など原作とは異なる内容、古典文学を原作としない、短編小説を原作とした映画の方が「名作」とされることが多い。

つまり、原作に触発されて映画独自の世界を創造したということでしょう。

沼野充義は「単純にスローガン的に、文学を原作にした映画の効用」として3つあげている。
・原作と違うといって文句を言えること
・文学では見てはいけないものを映画にすると見ることができる」ということ、ワレーリイ・フォーキン監督 『変身』など。
・三番目は「読み切れない作品を二時間程度で読んだ気になれる」ということ。例えば『戦争と平和』など。

なるほど。カフカの『変身』は観てみたいです。

タグ:映画
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Lee

「時代屋の女房」は自分の数少ない心に残る邦画です。映像の魅力が際立っていますね。ちなみに電車で去る女性を見送るのは「旅情」のラストシーン、ヒロインが白いパラソルをくるくる回すのは「ライアンの娘」に触発されたのでしょうか。
by Lee (2020-03-25 12:51) 

べっちゃん

浜辺を歩くシーンですね。
by べっちゃん (2020-03-25 18:38) 

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