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映画 人生、ここにあり!(2008伊) [日記 (2020)]

人生、ここにあり! [DVD]  原題:Si Puo Fare →「やればできる」。キーワードは「バザリア法」。
 1980年ミラノ、協同組合の活動家?ネッロ(クラウディオ・ジビオ)は、その過激な主張のため「協同組合180」のマネージャーに左遷されます。組合の責任者、実は医者はネッロに言います、

バザリア法で精神科を閉鎖して患者を自由にしたら、今度は引き取った家族が発狂する、云々。

 「協同組合180」とは、バザリア法(1978)で廃止された精神病院の患者を集め、切手貼りや値札貼りの様な簡単な仕事をさせ患者をケアする一種の養護施設のようです。マネージャーのネッロの仕事は、新規の業務探しや作業の管理。作業は市から補助を受ける名目で、労賃で組合員の生活が成り立っているわけではなく、福祉行政のおかげで組合は存在しているようなもの。労働運動家にして市場経済論者のネッロは、組合員の「自立」を模索します。つまり、組合員が市場(自由競争経済)で特技を生かして働き収入を得ようというわけです。

 ネッロは、切手貼りに独創的な手腕を持つ組合員から、つまり定位置に真っ直ぐに切手が貼れないわけですが、建築現場の「床貼り」の仕事を思いつきます。寄せ木細工でフローリングの床を貼る仕事を請け負えば自立が可能だ!。組合員は精神疾患を抱えていますから一癖も二癖もあるツワモノ揃い、そう簡単にはいきません。この「組合員」を演じるのは当然健常者の役者さんで、その風貌、演技はなかなかのものです。

 躁状態でいつも喋っている組合員はその積極性が買われプロジェクトマネージャーに、一言も喋らない自閉症の組合員は理事長にと「組合員」の個性に合わせて分担を決め、とりあえず仕事はスタート。この理事長の無言のひと睨みで商談が成立するわけですから、笑います。テーマがテーマですから深刻になるストーリーをコメディに仕立てたところがこの映画の見どころ。

 ネッロが不在の折り、建材が不足したため組合員は廃材を使って床を貼ります。当然マス目が整然と並ぶフローリングの床というわけにはいかず、床の中央に★(星)がデンと居座る彼らの芸術的センスを生かした床となります。当然クレームかと思いきや、これが好評で、ネッロは請負価格を吊り上げ「床貼り芸術集団」が出来上がります。なんとパリの地下鉄の駅に寄せ木細工を貼る仕事まで舞い込む有様。そんなに上手くいくわけはないでしょうが、映画です。

 バザリア法で精神病院が無くなって患者は世間に出ますから、健常者との間で軋轢も起こります。「組合員」のジージョは作業に行った先でブロンドの美人に恋をし、キスするまでに発展します。純情なジージョは、パーティーで「恋人」に近づいた男を殴り倒し警察の厄介になります。女性は軽い気持ちでキスしただけで、これは恋でも何でもない。「組合員」のジージョは保釈され、「失恋」したジージョは自殺します。

 こうした紆余曲折を経て「協同組合180」は自立してゆきます。そんなうまい話は無い! →映画です。最後に流れるテロップです、

 本作は元精神科患者の雇用のため
 80年代に生まれた社会連帯協同組合の実話をもとにしている
 ”ノンチェッロ”協同組合では寄せ木張りが行われ、
 合言葉は ”やればできる” だった
 今日のイタリアでは2500余の社会連帯組合が存在し
 約3万人の異なるかたちで能力を持つ組合員が働いている

 イタリアでは大ヒットしたそうです、オススメ!

監督:ジュリオ・マンフレドニア
出演:クラウディオ・ジビオ

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Lee

だいぶ前イタリア語講座の教材になっていました。深刻な内容を笑いのオブラートで表現するのはイタリアらしい感じがします。
by Lee (2020-12-17 11:30) 

べっちゃん

DVDは字幕で観ます。原語が分かればどんなに楽しいかと思うのですが、未だに英語のセリフも聞き取れません。
by べっちゃん (2020-12-18 07:45) 

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