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映画 怪物はささやく(2016西米) [日記 (2021)]

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 孤独な少年が怪物の応援を得て母親の死を乗り越える、ダーク・ファンタジーです。
 中学生?のコナー(ルイス・マクドゥーガル)は、両親は離婚、母親は末期癌で余命わずか、学校ではイジメにあっている、という絵に描いたような不幸を背負った少年。コナーにさらに不幸が訪れます、母親(フェリシティ・ジョーンズ)が入院するためお祖母ちゃん(シガニー・ウィーバー)が訪れ、コナーに、我が家に来るか父親の元に行くかどうする?と言います。父親はアメリカに帰っており、故郷を離れアメリカに行くのは嫌だ、母親を残して気の合わないお祖母ちゃん家に行くのも嫌だ。このピンチをコナーは如何に乗り越えるのか? →で、怪物の登場となります。この怪物の声がリーアム・ニーソン。

 深夜、墓地の大木が怪物変じコナーの元を訪れます。怪物は、オレが今から3つの物語を話してやる、4つ目はオマエが語れと言います。

 第一話。権力を握るために王と王子の婚約者を殺した王妃に、王子が復讐する話。「誰が善玉なんだ」と問うコナーに、怪物は「善玉悪玉もいない、その中間がいるだけだ」と答えます。

 第二話。寛容さを持たなかった身勝手な男が、しっぺ返しを食らう話。怪物は「何を信じ誰を信じるか、よく見極めろ」と、また母親の病気について「信念こそ治癒力、治療を信じ未来を信じること」だとコナーに説きます。

 現実。アメリカから父親が訪ねて来ます。「ママはすばらしい女性だ、今でも大好きだが、愛だけじゃやっていけなかった」と離婚につて話し、「末永く幸せ”は無し?」と問うマコナーに「それが人生だ」と答えます。

 第三話。イジメに飽きた級友は「お前は透明人間だ」とコナーを無視しだし、コナーの怒りが爆発、怪物の力を借りて「ぼくは存在している」と叫んで級友を襲います。第一話、第二話はお伽噺・空想世界の話でしたが、第三話に至って空想が現実世界を侵します。

 第四話。いよいよコナーが物語る番です。奈落に落ちる母親をマークが助けられなかったという話なのですが、怪物は「真実を話せ」と迫り、コナーは「ママが助からないのは分かっていた、終わらせたかった、ママが奈落に落ちるのを止めなかった」と話します。母親を見殺しにした、と。

 現実の世界でも母親は亡くなり、お祖母ちゃんと暮らすことになります。
 両親は離婚、母親は末期癌、学校ではイジメにあっているコナーは、怪物を想像することでその困難を乗り越えたのです。第一話、第二話、父親との再会でコナーは自分を納得させ、第三話で妄想を現実世界に適用し、第四話で妄想と決別したのです。文字にしてしまうと面白くも何ともありませんが、少年の「夢見る力」を描いた佳作です。
 監督のフアン・アントニオ・バヨナは『ジュラシック・ワールド/炎の王国』の監督もしていますが、本作や『永遠のこどもたち』のような妄想と現実が交差するファンタジーに持ち味があります。

監督:フアン・アントニオ・バヨナ
出演:ルイス・マクドゥーガル、リーアム・ニーソン、フェリシティ・ジョーンズ、シガニー・ウィーバー、トビー・ケベル

タグ:映画
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