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映画 あるメイドの密かな欲望(2015仏ベルギー) [日記 (2021)]

あるメイドの密かな欲望 [レンタル落ち]  原題:Journal d'une femme de chambre=小間使いの日記。フランスの小説家オクターヴ・ミルボーの『小間使いの日記』(1900)を原作とした映画です。ジャン・ルノワール監督やジャンヌ・モロー主演で過去3度映画化された有名な小説らしいです。田舎出の若い女性が小間使として上流家庭に入り、その実態を暴き、下層階級の小間使いも自ら堕ちる様を描いています。さしずめ「家政婦は見た!」+αの様な映画です。エミール・ゾラなどのフランス自然主義だと思えば、起承転結のないこの映画もなんとなく納得します。『あるメイドの密かな欲望』というタイトルはなかなか扇情的w。

 起承転結が無いので感想の書きようがありません。冒頭、主人公セレスティーヌ(レア・セドゥ)が派手な服装で小間使紹介所みたいなところに現れます。紹介所で住み込み先を紹介して貰うわけですが、セレスティーヌは遠くへ行くのは嫌だ、好色な主人いるところは嫌だと文句タラタラで、アンタ性格悪いよとたしなめられています。この物怖じしないところがセレスティーヌの魅力。

 パリから離れた田舎町のランレール家に住み込み先が決まります。マダムは人使いが荒くムッシュウは好色で小間使いを何人も孕ませ、ランレール家では小間使いは長くは続かないと近所では有名。さっそく主人はセクハラを仕掛け、ルイ王朝の絵皿や銀食を偏愛する俗物マダムは小言ばかり。ランレール家の使用人は庭師のジョゼフと料理女、セレスティーヌの3人。このジョゼフがクセ者で、ドレフェス事件の新聞やパンフレットを後生大事に仕舞い込むゴリゴリの反ユダヤ主義者。ドレフェス事件など日本の観客には無縁ですが、フランスでは19世紀末の時代背景として重要なんでしょう。料理女は主人に妊娠させられ、近所の森で起こった少女惨殺事件はジョゼフの仕業らしい。ジョゼフはセレスティーヌに結婚を持ちかけます。故郷のシェルブールで居酒屋兼娼館をやろう、オマエのような美人が「商売」をすれば繁盛すると。ジョゼフは妻に稼がせようという魂胆です。
 これにはウラがあり、セレスティーヌは以前小間使いとして働いていた家で、結婚をエサに病人の青年に誘惑され腹上死させるいう過去があります。本人曰く、その後しばらく「路上の女」をしていたらしい。またパリで娼館の女主人から声をかけられ、「そんな女ではない」と言うセレスティーヌに女主人はいいます、「見れば分かる」と。セレスティーヌがそうなのか、19世紀末とい時代がそうなのか、フローベールが『ボヴァリー夫人』で描いたように?人は性と分かちがたく結び付いているようです。

 で、セレスティーヌは、ジョゼフの申し出をあっさり受け、馬車でシェルブールに向かうシーンでFin。エッこれで終わりというあっけなさ。起承転結どころか、好色な主人と人使い荒いマダム、主人に妊娠させられる料理女と妻を娼婦にしようという男と腹上死する病人が登場するだけで、ストーリーらしいストーリーもありません。小間使いの日常と生きざまをブッチャケて見せるところが「自然主義」なのかどうか。
メイド1.jpg メイド2.jpg
 特筆すべきは映像の美しさとレア・セドゥの魅力。印象派かフェルメールの絵画を思わせるような光に満ちた映像が各所に挿入され、視覚的には飽きません。レア・セドゥのファン以外にはあまりオススメできませんが。
監督:ブノワ・ジャコー
出演:レア・セドゥ

タグ:映画
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