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映画 運び屋(2018米) [日記 (2021)]

運び屋 [DVD]  クリント・イーストウッドは、90歳近くになっても映画を創り主演するのですから、その情熱は敬服に値します。
 原題は”The Mule”=ラバ。一言で言えば、90歳の老人が喪われた家族の絆を取り戻そうと足掻く話です。老画商が最後の賭けに出る『ラストディール』、ロバート・レッドフォードが老ギャングを演じる『さらば愛しきアウトロー』、88歳の仕立て屋がアイデンティーを確認する『家に帰ろう』と、選んでいるわけではないのですが、最近爺さんの映画ばかり観ています。ベビーブーマーが後期高齢者となったマーケットへの対応でしょうか。

 アール(クリント・イーストウッド)はデイリリー(忘れ草、キスゲ)を育てる近在で名の売れた園芸家。いろんな催しに花を持参する社交家で、評判はいたって良さそう。外顔はいいのですが、私生活は妻子と疎遠で、娘とは20年?も会っていない孤独な老人。『ラストディール』の主人公も絵の商売にかまけて娘や孫に見捨てられた老人でしたから、設定はほぼ同じ。

 アールの農場はnet通販に押されて潰れ破産します。90歳になって無一文ですからこれはツライ。アールの無事故無違反の運転技術に目を付けた男が、割りのいいアルバイトの話を持って来ます。物を指定された場所まで運び、車のキーをグローブbox入れて小1時間かそこら消える、一時間後にはグローブboxに結構なアルバイト代が入っているという仕組みです。つまり「運び屋」。アールに荷物を渡すのはライフルを持ったメキシコ人ですから、犯罪の片棒を担がされているの明らか。無一文で背に腹は代えられないアールは報酬に釣られてTransporterを繰り返します。懐が豊かになったアールは孫娘の結婚費用を出してやり、潰れかけた退役軍人会に多額の寄付をしたり、益々深みに。

 アールは運んでいるのがコカインだと知っていますから確信犯。『さらば愛しきアウトロー』のユーモアも、『ラストディール』のオークションで一発当てるという気概もありません。仲間内でいい顔をしたい、孫にはいい爺ちゃんでいたいというだけの様な気がします。
 ノーテンキなアールに麻薬捜査官の手が延び、麻薬シンジケートの魔手が忍び寄りアール爺さんの運命や如何に、家族との絆は修復されるのか…となります。

 齢90歳に近いクリント・イーストウッドが監督主演するわけですから、共演もブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーンを並べます。ハリウッドはそれなりに敬意を払ったと思いますが、『トランスフォーマー』の方が面白いと言わざるを得ません。<爺さん映画>としては、『ラストディール』『さらば愛しきアウトロー』『家に帰ろう』の方が上です。クリント・イーストウッドの映画では『ミリオンダラー・ベイビー』辺りがピークかも知れません。

監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、ブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーン

タグ:映画
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