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1年先の話だけど、連続テレビ小説「ばけばけ」 [日記 (2024)]

思い出の記
 旧聞ですが、2025年後期の連続テレビ小説がラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の妻、小泉セツをモデルとした「ばけばけ」に決定したようです。ハーンは『怪談』で有名ですが、セツにも妻の目から見たハーンを描いた『思い出の記』があります(青空文庫にもあります)。『ばけばけ』もこの辺りが下敷きになっているのでしょう。

 小泉セツは慶応4年に松江藩の武士の家に生まれ、結婚が破綻して23歳で「雇い外国人」の中学英語教師ハーンの女中となり、後に結婚します。『思い出の記』には、セツが語る「怪談」が『怪談』に結実してゆく様が手に取るように分かります。

淋しそうな夜、ランプの心を下げて怪談を致しました。ヘルンは私に物を聞くにも、その時には殊に声を低くして息を殺して恐ろしそうにして、私の話を聞いて居るのです。その聞いて居る風が又如何にも恐ろしくてならぬ様子ですから、自然と私の話にも力がこもるのです。

 灯りを落とした部屋で、ハーンはセツの語りを英文で物語にしてゆくわけです。“kwaidan(怪談)”はセツとハーンの合作です。

 ハーンに出会うまでセツの人生は決して幸せだったとは言えません。ハーンもまた両親に捨てられ、育ての叔母は破産、大学を中退してイギリス、アメリカを経て新聞記者として日本にやって来ます。ハーンの前半生は苦難の連続だったようですが、日本に来てセツと出会い、セツを幸せにして自分また幸せな人生を終えたようです。

 『舟を編む 〜私、辞書つくります』『岸辺露伴は動かない』『光る君へ』など、最近のNHKはなかなかイキなドラマを作ってくれます。今度は小泉セツ、期待が持てます。

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