映画 落下の解剖学 ①(2023仏)あらすじ篇 [日記 (2024)]
原題”Anatomie d'une chute”=「落下の解剖学」。雪の山荘で男が転落死します。男は山荘の主サミュエル、発見したのはサミュエルの11歳の息子で視覚障害のダニエル。サミュエルの死は、誤って転落した事故死なのか、自殺なのか、あるいは殺人なのか?、が争われる法廷ドラマです。
事故当日、山荘にいたのはサミュエル、ダニエルと妻のサンドラ。検察はサンドラを殺人罪で起訴します。彼女はドイツ人で、ロンドンでサミュエルと出会い結婚してフランスに来ます。従って家族の会話は英語。弁護士との会話でサンドラとサミュエルの関係が明らかになります。
息子のダニエルは4歳のころ事故に遭って視覚障害となり、事故の責任は自分にあると考えるサミュエルは、以来これがトラウマとなっています。息子の治療費のために民宿を始めようと山荘を購入しますが、未だ軌道に乗っていません。サミュエルとサンドラは小説家で、サンドラは何冊もの小説を出版しています。サミュエルは小説が書けず苛立ちサンドラに暴力を振るい、精神科医の治療を受けています。
裁判はフランス語ですが、核心的な証言ではサンドラは英語です。法廷で、サミュエルが録音しUSBメモリに保存していた事故前日の夫婦喧嘩の音声が、証拠として提出されます。サンドラはバイセクシャルで浮気したこと、サミュエルのアイデアを使って小説を執筆したことが明かされます。検察官はサンドラは実生活を小説にするタイプの作家だとし、彼女の書いた妻が妄想で夫を殺す小説を読み上げます。事件前日の喧嘩が元で夫を殺したとサンドラを告発します。
弁護士は、サミュエルは精神科の治療を受けており、アスピリンの過剰摂取で自殺未遂の疑いがあることから、事件は自殺でありサンドラの無罪を主張します。彼を自殺に追い詰めたのは、成功した妻への嫉妬と挫折感だと。
ダニエルが自ら申し出て証言します。彼は愛犬スヌープにアスピリンを餌に混ぜて食べさせ、サミュエルの自殺未遂を再現したと言います(犬は薬を吐き助かりますが)。また、犬が病気になった時、父親は誰でも何時かはいなくなるがオマエの人生は続くと諭したと証言します。あれはサミュエル自身のこと(自殺)を言ったのだと。
サンドラは無罪。事故(ストーリーからこれは無い)、自殺、殺人のいずれもとも結論は示されず真相は「薮の中」。観客は宙ぶらりんのまま放りだされます。
監督:ジュスティーヌ・トリエ
出演:ザンドラ・ヒュラー、スワン・アルロー、ミロ・マシャド・グラネール
タグ:映画
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