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映画 シェイプ・オブ・ウォーター(2017米) [日記(2019)]

シェイプ・オブ・ウォーター オリジナル無修正版 [AmazonDVDコレクション]  原題” The Shape of Water”、「水の形」。監督は『ヘルボーイ』『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロ。「異形のもの」を仕立て上げれば随一の監督です。今回は「半魚人」、半魚人は『ヘルボーイ』にも登場しましたからお馴染みのキャラクターなんでしょう。
 「航空宇宙研究センター」にアマゾンで神と崇められていた異形の生物「半魚人」が搬入されます。研究センターの清掃係イライザ(サリー・ホーキンス)が半魚人(ダグ・ジョーンズ)と出会う物語です。キューバ危機のセリフがありますから舞台は1962年。白黒のブラウン管TVや車のスタイルからもそれがうかがえます。映画でこの時代のアメリカ市民を代表するのが、仕事一筋の警備主任ストリックランド(マイケル・シャノン)とイライザの同僚ゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)。ストリックランドの家庭はTVのホームドラマさながらで、ゼルダはくたびれた夫を尻に敷き口を開けば愚痴ばかり。この平均的市民と対象的な存在が、イライザと隣の部屋に住む挿絵画家のジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)。イライザ耳は聴こえるものの声は出せない障害を持ち、ジャイルズは写真印刷に押されて仕事が減った独居老人でかつ同性愛者。時代は東西冷戦の真っ只中で、米ソは宇宙開発でもしのぎを削っています。そうした時代を背景に半魚人のファンタジーが展開します。ウォーター.jpg ウォーター2.jpg
 半魚人が知性を持っていると見たイライザは、好物の「ゆで卵」とポータブル・プレイヤーを持って半魚人に近づき、「手話」によりコミュニケーションが成立します。障害を持った女性と怪物という奇妙なコンビがの物語が始まります。一方で冷戦は半魚人にも及びます。アメリカは(最初は宇宙船に乗せようという話もありましたが)半魚人を生体解剖しようともくろみ、ソ連は半魚人の情報がアメリカに独占されることを恐れ暗殺を企てます。この対立は冷戦と宇宙開発競争のカリカチュアです。半魚人の解剖を知ったイライザは救出に動き、映画は第二段階へ。

 イライザは救出した半魚人をアパートの風呂にかくまいます。半魚類ですから水が必要というわけです。驚くことに、ここからイライザと半魚人のラブストーリーが始まります。『シェイ・プオ・ブウォーター』は、障害を持った人間が異形の生物と意思疏通を図り、愛を育むというファンタジーだったわけです。人は(半魚人ですが)「種」を越えて連帯できる!という、「分断」のアメリカに一石を投じる映画です。
 サリー・ホーキンスのセリフの無い演技はなかなか新鮮です。

監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:サリー・ホーキンス マイケル・シャノン リチャード・ジェンキンス ダグ・ジョーンズ

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