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映画 ロスト・ボディ (2012西) [日記(2019)]

ロスト・ボディ [DVD]  DVDのパッケージは扇情的ですが、「ロスト・ボディ」のボディは死体のこと。モルグ(死体安置所)から死体が消えるホラー・サスペンスです。消えたのは、心臓麻痺で死んだ製薬会社の女性オーナー・マイカ(ベレン・ルエダ)の死体。彼女は、夫で社長のアレックス(ウーゴ・シルバ)により心臓麻痺を装って毒殺されたのです。犯人が明かされていますから、謎解きは、誰が何のために死体を盗んだのかということになります。それともマイカは生き返ってモルグから立ち去ったのか?。

 事件を担当する警部ハイメ(ホセ・コロナド)は、アレックスが殺人の証拠を消すためにマイカの死体を盗み出したと考え、アレックスをモルグに呼び出し取り調べます。映画は、モルグでのハイメとアレックスが対決する現在と、アレックスとマイカの生活(過去)が交互に進行します。企業家で年上の妻に翻弄されるアレックスが女子学生(アウラ・ガリード)との恋にのめり込み、邪魔な妻を殺して遺産も頂こうという色と欲の絡んだ痴情殺人、というのが事件の真相。

 雨の夜のモルグでは奇怪な出来事が次々と起こります。窓辺にはアレックスが毒薬を仕込んだワイングラスが忽然と現れ、晩餐会の招待状が舞い込み、モルグのドアの暗証番号はアレックスと恋人の女学生が出会った日付。マイカは生き返ったのか?、はたまたマイカの幽霊の仕業か?。アレックスは、死んだマイカが復讐のため甦ったのだと恐怖に震えることになります。スペイン版『四谷怪談』か?。『ジェーンドゥの解剖』の"鈴の音"もそうですが、幽霊も甦った死体も登場せず、観客の想像力に恐怖を植え付ける手法はホラーの王道です。

 突っ込み所はイッパイあるものの、張り巡らした伏線を回収して、最後に意外な犯罪が暴かれるストーリーは秀逸です。ホラー、サスペンス、ミステリを一度に楽しめます。8時間後に心臓麻痺を起こし痕跡の残らない毒物、あるのなら欲しいです(笑。
 ネタバレ無しで映画の魅力を語るのは、なかなか難しい。一見の価値ありです。

監督:オリオル・パウロ
出演:ホセ・コロナド ウーゴ・シルバ ベレン・ルエダ

タグ:映画
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