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映画 言の葉の庭(2013日) [日記 (2020)]

言の葉の庭 DVD サービスプライス版  『天気の子』が面白かったので、引き続き新海 誠アニメ。

 『言の葉の庭』、15歳の高校生タカオと27歳の元女教師ユキノのラブストーリー。かつ今回も”雨”が背景となり、言の葉=和歌がキーワードとして使われます。

 雨の日に授業をサボったタカオは、雨の新宿御苑で、これも仕事をサボって昼間から缶ビールを飲むOLと出会います。朝っぱらから授業や仕事をサボって新宿御苑ですから、ふたりとも事情を抱えていることになります。事情とは何なのか、この年の離れた男女は…という話で観客を引っ張ります。タカオの兄が彼女と暮らすために家を出、それに腹をたてた母親が家出して、ひと回りも年下の男性と同棲を始めたらしい(父親はいない)。後ほど明かされますが、タカオとユキノの歳の差もひと回り12歳。

 女性の方は複雑な事情を抱えているらしい、タカオはこの名前も知らない秘密の匂いのする女性に惹かれてゆくわけです。”雨”の日、その時しか逢えない女性は、タカオに謎の言葉を残します。

雷神の 少し響(とよ)みて さし曇り 雨もふらぬか 君を留めむ 

途中で急に言われても分かりませんね。柿本人麻呂の相聞歌だそうで、「雷が鳴り、空が曇ってきた、雨が降ってきたらあなたを引き止める口実になるのですが」という女性の投げかけです。男は、

雷神の 少し響みて ふらずとも 吾は留らむ 妹し留めば

「雷が鳴って雨が降らなくとも、あなたが『いて欲しい』と言うのなら私はとどまるよ}と返します。当時は妻問婚ですから、男は女の家に居るわけです。このアニメのハイライトですから、せめて字幕でも入れてほしかった。何のことか分からないタカオに返歌はありません。ちなみに、女性は高校の古典の教師。

 靴職人を目指すタカオは、靴を作るために女性の”素足”を測りますが、このシーンのなんとエロティックなことか!。相聞歌の後ですから(タカオが返歌をしたわけではないのですが)、これは恋の成就の表現です。タカオが靴職人を目指すという(一風変わった)設定は、このシーンのためにあると言ってもいいと思います。

 女性の抱えた「事情」が何であったのか、ふたりの恋はどうなるのか、などは些末な話で、ストーリーとしてしはここで完結しています(笑。アニメとは言え侮れませんね。

監督、脚本、原作:新海 誠
出演(声):入野自由 花澤香菜

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