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映画 恐怖の岬(1962米) [日記 (2021)]

恐怖の岬 [DVD] 狩人の夜 [Blu-ray]  原題”Cape Fear”。裁判で被告に不利な証言をした弁護士が、出所した元犯罪者に付け狙われるというサスペンスです。弁護士をグレゴリー・ペック、ストーカーをロバート・ミッチャムが演じますが、グレゴリー・ペックは『パラダイン夫人の恋』『アラバマ物語』などでも弁護士を演じていますから、冷静で知的な役柄はピッタリ。一方のロバート・ミッチャムは、『狩人の夜』(右の画像)で狂気の伝道師を演じています。映画の面白さは、この二人に尽きます。

 8年の懲役刑を終えて出所したマックス(ロバート・ミッチャム)は弁護士のサム(グレゴリー・ペック)を訪ねます。サムの狡猾なところは、マックスの周りに出没して圧力をかけること。明らかに「お礼参り」ですが、脅しや金銭の要求をせず、「綺麗な奥さんと可愛いお嬢さんですね」とか何とか言うだけ。パナマ帽子に葉巻をくわえた眠たげな眼(スリーピング・アイ)のロバート・ミッチャムの優しげな風貌が、かえって恐怖を誘います。理解不可能なもの、現象が恐怖ですから、サムの理解を越えるマックスの行動は恐怖です。ハリウッドの優等生グレゴリー・ペックは恐怖に震え上がりますw。

 サムは警察署長(マーティン・バルサム)に相談しますが、マックスの行動に違法な点は無く拘束は無理。次いで私立探偵(テリー・サバラス →スキンヘッドではない!)を雇って行動を監視させ、挙げ句の果てには暴力団を使ってサムを襲わせますが返り討ち。暴力団の一人が事の顛末を自白し、マックス弁護士会の査問にかけられる始末 →マックスの恐怖の果の狼狽が描かれます。

 この査問がアトランタで開かれることになり、妻と娘を残して自宅を離れることに不安を感じるサムは、一計を案じます。妻と娘をハウスボートに移し、アトランタに出掛けた様に装ってマックスを誘き寄せ、自身はハウスボートでマックスを待ち伏せます。待ち伏せに気づいたマックスは、ハウスボートに泳ぎとも綱を解きボートを…、とこのシークェンスがハイライト。ここまで煽っておいて、ラストはヒネリ無しとはチト残念。

 見どころは、ロバート・ミッチャムの狂気とハリウッドの優等生グレゴリー・ペックが追い詰められ壊れてゆくところでしょう。『シャイニング』のジャック・ニコルソンがそうですが、狂気を演じさせれば俳優の技量が分かります。ロバート・ミッチャムスリーピング・アイの恐怖は一見の価値ありです。

監督:J・リー・トンプソン
出演:グレゴリー・ペック、ロバート・ミッチャム、マーティン・バルサム、テリー・サバラス

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