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百田尚樹 日本国紀(2) ~WGIP~ (2018幻冬舎) [日記 (2021)]

日本国紀  続きです。面白いのがWGIP。”War Guilt Information Program”の略で、GHQ(連合国軍最高司令部)による「戦争についての罪悪感を日本人の心に植え付けるための宣伝計画」(江藤淳)だそうです。保守陣営と産経新聞などのローカル?な用語のようで、初めて眼にしました。

 "War Guilt"は「戦争犯罪」ですから、日本人に太平洋戦争の責任を自覚させようという宣伝工作ということになります。GHQは、プレスコードや公共放送(ラジオ『真相はかうだ』)を使ってこの工作を進めたと言います。憲法第9条で自衛権を放棄させ、極東軍事裁判(東京裁判)で平和に対する罪で「戦争犯罪」を裁いたGHQですから(原告は連合国)、日本を軍事的に二度と立ち上がれなくするためにこうした占領政策があっても不思議ではありません。ちなみに、太平洋戦争は連合国の名称で、「大東亜戦争」は日本帝国のつけた名称だそうです(大東亜の理想が消された)。

 WGIPの一貫として言論統制、公職追放が行われ、軍部に加担したとみなされる教職者は追われ、戦前に自由主義、社会主義思想で大学を追われた大内兵衛、滝川幸辰などが返り咲きます。追放を免れるために、占領政策に阿る学者が次々と現れ、本書では憲法学者の宮沢俊義、国際法学者の横田喜三郎がやり玉に挙げられています。宮沢は「八月革命説」で新憲法の正当性を論じ、横田は東京裁判の正当性を主張し法学界の重鎮へと上り詰めます(横田は天皇を否定する本まで出版したらしい)。学生時代、宮沢と横田の教科書で憲法と国際法を学びましたが、WGPIの影響下で「平和憲法」を学んでいたことになりますw。

 敗戦を境に昨日までは軍国主義、今日からは民主主義という全国民のあからさまな転向や、教え子を戦場に送るなという日教組はWGIPの成果です。

 江藤淳は、

WGIP日本の「軍国主義者」と「国民」とを対立させようという意図が潜められ、この対立を仮構することによって、実際には日本と連合国、特に日本と米国とのあいだの戦いであった大戦を、現実には存在しなかった「軍国主義者」と「国民」とのあいだの戦いにすり替えようとする底意が秘められている。

と分析します(wikipedia)。
 WGIPは、その後の日本の思想を牛耳ることになり、ここから所謂「自虐史観」が誕生したと言います。確かに、宮沢の著書で学べば憲法改正は「反動」であり、大東亜戦争(太平洋戦)という東アジアへの侵略を企てた東条英機は「平和に対する罪」で死刑になったことに何の疑問も抱きません。著者によると

GHQが日本人に施した洗脳は、戦時中の中国・延安で、中国共産党が日本人捕虜に行なった洗脳の手法を取り入れたものだった。洗脳の際、彼らがまず最初に行なうのが、「自己批判」であり、それにより「罪悪感を植え付ける」のだが、GHQもまさに同じ手法を取り入れた。

GHQの占領政策に深く関わったE.H.ノーマンが共産主義者であったことから

戦後の日本は、共産主義者たちの一種の「実験場」にされたようにも見える。中国共産党が延安で成功させた日本人捕虜への洗脳を、日本国民全体に施し、さらに日本国憲法によって再軍備を禁じ、公職追放によって地位を得た共産主義者とそのシンパがGHQ路線を堅持していったのだ。
その結果、日本人に過剰に自己を否定させ、いわゆる自虐史観が蔓延し、「愛国心」まで捨てさせた。そして、後の「河野談話」「村山談話」のような、中国、韓国の反日プロパガンダに容易に乗せられてしまう結果を招いた。共産主義者に影響されたGHQの占領政策は、その後の壮大な「歴史戦」の端緒となった。
ちなみに戦後、GHQに最も忠実な報道機関となった一つが朝日新聞である。

 こうなるともう「陰謀論」ですが、確かに、「従軍慰安婦・(いわゆる)徴用工」「靖国神社参拝」「教科書問題」はWGIPが過剰に作用した自虐史観です。冷静に考えれば、一国の宰相が戦没者を祀った神社に詣でることができない状態は異常ですが、異常と考えられないほどWGIPが効いていたことになります。この辺りになると右派・百田尚樹の面目如実です。もっとも、自虐史観に毒されているのかも知れませんが。「副読本」まであるので、読んでみようw。→読みました

タグ:読書
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