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映画 怪物はささやく(2016西米) [日記 (2021)]

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 孤独な少年が怪物の応援を得て母親の死を乗り越える、ダーク・ファンタジーです。
 中学生?のコナー(ルイス・マクドゥーガル)は、両親は離婚、母親は末期癌で余命わずか、学校ではイジメにあっている、という絵に描いたような不幸を背負った少年。コナーにさらに不幸が訪れます、母親(フェリシティ・ジョーンズ)が入院するためお祖母ちゃん(シガニー・ウィーバー)が訪れ、コナーに、我が家に来るか父親の元に行くかどうする?と言います。父親はアメリカに帰っており、故郷を離れアメリカに行くのは嫌だ、母親を残して気の合わないお祖母ちゃん家に行くのも嫌だ。このピンチをコナーは如何に乗り越えるのか? →で、怪物の登場となります。この怪物の声がリーアム・ニーソン。

 深夜、墓地の大木が怪物変じコナーの元を訪れます。怪物は、オレが今から3つの物語を話してやる、4つ目はオマエが語れと言います。

 第一話。権力を握るために王と王子の婚約者を殺した王妃に、王子が復讐する話。「誰が善玉なんだ」と問うコナーに、怪物は「善玉悪玉もいない、その中間がいるだけだ」と答えます。

 第二話。寛容さを持たなかった身勝手な男が、しっぺ返しを食らう話。怪物は「何を信じ誰を信じるか、よく見極めろ」と、また母親の病気について「信念こそ治癒力、治療を信じ未来を信じること」だとコナーに説きます。

 現実。アメリカから父親が訪ねて来ます。「ママはすばらしい女性だ、今でも大好きだが、愛だけじゃやっていけなかった」と離婚につて話し、「末永く幸せ”は無し?」と問うマコナーに「それが人生だ」と答えます。

 第三話。イジメに飽きた級友は「お前は透明人間だ」とコナーを無視しだし、コナーの怒りが爆発、怪物の力を借りて「ぼくは存在している」と叫んで級友を襲います。第一話、第二話はお伽噺・空想世界の話でしたが、第三話に至って空想が現実世界を侵します。

 第四話。いよいよコナーが物語る番です。奈落に落ちる母親をマークが助けられなかったという話なのですが、怪物は「真実を話せ」と迫り、コナーは「ママが助からないのは分かっていた、終わらせたかった、ママが奈落に落ちるのを止めなかった」と話します。母親を見殺しにした、と。

 現実の世界でも母親は亡くなり、お祖母ちゃんと暮らすことになります。
 両親は離婚、母親は末期癌、学校ではイジメにあっているコナーは、怪物を想像することでその困難を乗り越えたのです。第一話、第二話、父親との再会でコナーは自分を納得させ、第三話で妄想を現実世界に適用し、第四話で妄想と決別したのです。文字にしてしまうと面白くも何ともありませんが、少年の「夢見る力」を描いた佳作です。
 監督のフアン・アントニオ・バヨナは『ジュラシック・ワールド/炎の王国』の監督もしていますが、本作や『永遠のこどもたち』のような妄想と現実が交差するファンタジーに持ち味があります。

監督:フアン・アントニオ・バヨナ
出演:ルイス・マクドゥーガル、リーアム・ニーソン、フェリシティ・ジョーンズ、シガニー・ウィーバー、トビー・ケベル

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李承晩TV マーク・ラムザイヤー「太平洋戦争における性契約」関連動画 [日記 (2021)]

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 こっちの続きです。
 韓国メディアによるラムザイヤー教授批判も落ちつてきたようです。批判が出尽くしたところで、『反日種族主義』の李栄薫率いる「李承晩TV」から反論が出ました。

ハーバード大教授の論文「太平洋戦争における性契約」関連動画
 ・ハーバード大教授の慰安婦論文を正しく読む(朱益鐘)
 ・”慰安婦契約” の証拠 これです。
 ・日本では自発的契約だったが、朝鮮では強制連行か?
 ・有名なアメリカの教授達のラムザイヤーの批判を見てみると...
 ・吉見義明教授のラムザイヤー批判を見てみると -慰安婦性奴隷論者の知的破綻
 ・河允明事件で見る植民地朝鮮の人身売買市場

 「従軍慰安婦」は、日本軍が朝鮮女性を拉致して中国大陸やシンガポールの慰安所で性奴隷とした、とうのが韓国で信じられている俗説です。ラムザイヤー教授は、慰安婦は、性奴隷などではなく、慰安所事業主と娼婦の前渡金を使った「契約」関係をゲーム理論で分析します。かの国では慰安婦は学問の踏み込めない聖域です。批判の多くは、教授がエヴィデンスの契約書を提示していないといものでした。それに対し、いや契約はあったんだというのが李承晩TVの反論です。

 李承晩学堂の朱益鐘氏は、契約は慰安所の事業主(抱え主、多くは日本人)と娼婦が直接結んだ契約ではなく、娼婦斡旋業者(多くは朝鮮人)と女性の戸主、親権者と結んだ契約だといいます。このことは『芸娼妓契約』にも触れられています。斡旋業者とはいわゆる「女衒」のこと。(余談ですが、女衒は宮尾登美子の『岩伍覚え書』など土佐ものにリアルに描かれています。)ラムザイヤー教授は契約書を提示していませんが、当時の「慰安婦動員の構造」から、慰安婦が間違いなく「契約」に基づく売春婦であったことが分かるといいます。
 日本軍の要請を受けたの慰安所の事業主は、斡旋業者を通じて売春婦を雇い入れます。斡旋業者が朝鮮や日本から中国、東南アジアの慰安所に出国させる時に、

1)臨時酌婦営業許可願(女性と抱え主の申請書、両者の捺印)、2)写真2枚、3)承諾書(女性本人と親権者の承諾書)、4)印鑑証明、5)戸籍謄本、6)調査書

の6種の書類が必要となります。これが無い女性は入出国ができず、海外の慰安所で働けません。彼女たち(実際は戸主)は、斡旋業者から前渡し金と交換に書類を整えますから、立派に契約が成立していることのなります。朝鮮、日本では、娼婦は営業許可書を抱え主を通じて警察署長(または憲兵)に提出しています。日本軍は、この管理売春システムを使っただけです。
 日本軍が朝鮮から婦女子を拉致して慰安婦にしたという俗説こそ捏造だったわけです。

 「李承晩TV」は、『反日種族主義』『反日種族主義との闘争』の日本語字幕入りYouTube版です。書籍に無い知見もあってなかなか面白いです。外務省の「慰安婦問題についての我が国の取組」などは足元にも及びません。

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万葉集の花 (春) [日記 (2021)]

 桃の花がきれいに咲いたので、万葉集に詠まれた花を調べてみました。万葉集には150種を超える草花、樹木が詠われているそうです。そのうち何種類くらい身近(大阪府堺市)で見ることができるのか?と拾ってみました。画像はいずれもblogに載せた古いものです。

(3月24日、自宅の庭)
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 ご近所からいただいた鉢植えの花桃です。
 春の園 紅にほふ桃の花 下照る道に 出で立つ娘子(大伴家持)

(3月1日、和泉市)
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 毎年訪れる近所の梅園です。
春の野に 霧立ちわたり 降る雪と 人の見るまで 梅の花散る(田辺真上)

菜の花(茎立、くくたち、3月12日)
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上野(かみつけの) 佐野の茎立(くくたち) 折りはやし あれは待たむゑ 今年来ずとも(作者不詳)
ポピュラーな春の花ですが、万葉集では1首のみ。当時は茎立(くくたち)と言ったそうで、現在の菜の花とは品種が違うようです。1首のみということは、自生する地域が限られていた?。「折りはやし」というのは、切って調理するすること。万葉人も食べていたようです。

すみれ(3月25日)
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やまぶきの 咲きたる野辺の つぼ菫 この春の雨に 盛りなりけり(高田女王)
 雑草でそのあたり自生しています。目立たないですが、可憐です。

ふきのとう(3月21日)
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 君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ (光孝天皇)
この若菜は菜の花を連想しますが、雪が降っているので、蕗の薹かワラビかも知れません。

椿(つばき、3月24日、自宅の庭)
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あしひきの  山椿咲く八つ峰越え 鹿待つ君が斎ひ妻かも(作者不詳)

(3月26日)
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 近所の公園です。
あしひきの 山桜花日並べて かく咲きたらば いたく恋ひめやも(山部赤人)

馬酔木(あしび、あせび3月29日)
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磯の上に 生ふる馬酔木を 手折らめど 見すべき君が ありと言はなくに(大来皇女)
やはり、馬が食べれば酔っぱらう?。

ノイバラ(3/30)
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道の辺の 茨(うまら)の末(うれ)に 這ほ豆の からまる君を 別れか行かむ(丈部鳥)

ヤマツツジ(3月30日)
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山越えて  遠津の浜の岩つつじ 我が来るまでにふふみてあり待て(作者不詳)
右は、登山道の脇に生えていたツツジです。こういう花が現れるとホッとします。

ヤマブキ(4月16日)
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山吹の 立ちよそひたる 山清水 汲みに行かめど 道の知らなく(高市皇子)

かたくり(かたかご、4月27日、葛城山)
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 大和葛城山(959m)のカタクリです。カタクリを見るためにわざわざ登りました。古語では堅香子(かたかご)と言うらしいです。
もののふの 八十娘子やそをとめらが 汲くみまがふ  寺井てらゐの上の 堅香子(かたかご)の花 (大伴家持)

タンポポ
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 在来種タンポポ            白いタンポポもある
タンポポは春の代表的な山野草ですが、万葉集には無いらしいです。当時日本に入っていなかったのでしょうか、不思議。

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桃の花が咲いた [日記 (2021)]

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 桃の花が満開です。花桃なので実はなるも食べられません。実が落ちてカワイイ芽が出ていたので、盆栽になるかと移植しましたが、果たして?。

タグ:絵日記
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ハンギョレ新聞 も面白い 韓国の前方後円墳 [日記 (2021)]

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 朝鮮日報中央日報も面白いですが、文在寅ベッタリのハンギョレ新聞も面白いです。それぞれ保守系、革新系と論調は別れますが、反日となると一斉に足並みが揃うあたりは韓国です。「朝鮮半島最大の古代の墓、開けた直後に閉じた理由は」とう記事です。

朝鮮半島で最大の古代の単一の墓が、新年の始めについに開かれた。考古学者らは5~6世紀の日本の古墳とそっくりな墓の構造に驚き、すぐに土で覆われ再び埋められてしまった...。

と報じています。全羅南道海南の<長鼓峰古墳>です。半島南部には前方後円墳が10数基あり、ヤマト政権がこの地に及んでいたのではないかと想像されています。今回発掘された古墳も外見は日本で古代国家が成立する当時の墓の様式である前方後円墳(長鼓形墳墓)の形だそうです。
 同記事によると、石室の構造と墓の入口付近で発掘された祭祀跡は、九州で発掘された5~6世紀の石室とほとんど同じだったようで、天井と壁面にも、日本の弥生時代以来の古墳の典型的な特徴である赤い朱漆が塗られた跡が残っていた、ようです。古墳は長さが82メートル高さは9メートルに達するもので。慶州の大型古墳より大きい韓国最大級の墓だそうです。

墓の石室は2月末に再び埋められた。研究院側は「新型コロナウイルスの防疫のための措置で、・・・九州の古墳と瓜二つの構造と鉄鎧の破片や鉄の矢じりなどの武器類が埋められた事実が確認されたのは、韓国国内の学界に負担になり得る。日本の右派学者が再び任那日本府説の根拠にすることがあり得るという懸念まで出ている。

 韓国には、前方後円墳を削って円墳に改竄した過去があるのですが、有名すぎてそんなこともできず、埋め戻すしかなかったのでしょう。こと日本に関わると考古学もこうなります。

ソウル大学国史学科のクォン・オヨン教授の助言を思い出したい。「長鼓峰古墳は倭系統の墳墓の構造を有しているが、埋葬された人物を軽々しく断定してはいけません。外形、構造、遺物などを当時の情勢とともによく調べなければなりません。民族主義を越え古代人の観点まで考え、開かれたものの見方でアプローチしなければなりません」。

 学問に民族主義を持ち出すこと無く、是非とも開かれたものの見方をしてほしいものです。日本の考古学者と共同で研究し、朝鮮半島の歴史を明らかにすることが、文在寅大統領のいう「未来志向」だと思うのですが...。

 同記事の「関連記事」も面白いです。

·[寄稿]日本はなぜ韓国を「取り戻すべき故郷」と言うのか
 日帝は東アジア侵略とともに文化財侵奪をした、という鳥居龍蔵批判です。
 江上波夫の『騎馬民族国家』から、朝鮮半島の民族が機内に入ってヤマト王権を打ち立てた。「任那の日本府」は、朝鮮半島南部を植民地として経営したと見る日本の国粋主義者の歪曲だということです。韓米日三角同盟はこじつけです。日本では否定される「騎馬民族説」は、韓国では未だ有効らしいです。
 インタビューを受けたイ・ジュハン氏は、檀君神話は決して神話ではないと主張し、古朝鮮の鉄器生産は紀元前13世紀で、中国の紀元前8世紀よりはるかに先んじていたとします。「任那日本府」も日帝の韓半島侵略を正当化するために“創造”された説であり、「日帝は1910年から韓国古代史を抹殺するために、数十万冊の史料を回収し廃棄した」「失われた古朝鮮2000年の歴史を取り戻さなければならない」と言うのです。面白い!。

 ハンギョレ新聞は、文在寅政権ベッタリのメディアですが、意外と冷静に見ている部分もあります。

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映画 プリデスティネーション(2014豪) [日記 (2021)]

プリデスティネーション [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [DVD] predestination=運命、宿命。タイムトラベルもので、原作はロバート・A・ハインライン『輪廻の蛇』だそうです。

 バーテンダージョンの2つのプロットから成り立ち、ラストで2つのプロットがひとつに合わさってナルホドという結末となります。過去に行ったり未来に行ったりのタイムトラベルですから、何処が入口か出口か分からない摩訶不思議な映画です。

 1970年、NYで連続爆弾テロが発生する中、爆発物の処理に失敗した男(テロリストなのか?)が全身に火傷を負い、タイムマシンで別の時代に跳んで治療を受け、イーサン・ホークの「顔」を獲得します。つまり元の顔は観客には分かりません →これが伏線。
 同じ1970年、バーでジョン(John Doeのジョン、サラ・スヌーク)がバーテンダー(イーサン・ホーク)に身の上話を語りだします、「私が少女だった頃...」と、なんとジョンは元は女性。この身の上話が面白く、ストーリーに引きずり込まれます。

 ジョンは1945年に孤児院の玄関に捨てられ、ジェーン(Jane Doeのジェーン)として孤児院で育ちます。頭脳と運動能力に優れたジェーンは、宇宙飛行士の適性検査を受けますが検査中に同僚と喧嘩して失格。ジェーンは家政婦となって自活し、ある日男と恋に落ち身籠り男は行方をくらまし1964年に女児を出産します。帝王切開の手術(これも伏線)でジェーンは両性具有者であることが分かり、彼女は男性ジョンへと生まれ変わります。孤児だったジェーン=ジョンは娘とともに生きていこうと決意しますが、娘は何者かに誘拐されます。ライターとなったジョンが、1970年にバーテンに身の上話を語るわけです、「私が少女だった頃...」と。

 バーテンは、人生を台無しにした男に復讐したければ、オレの仕事を引き継ぐという条件を飲むなら会わせてやると言うのです。バーテンはその男を知っているのか?、ここからタイムトラベルが始まります。ジェーンが男と出会う1963年に行けば男に会えるわけです。バイオリン・ケースのダイヤルを合わせれば、前後100年の時間旅行が可能という便利なもの。「時標変界キット」と言うらしいですが、タイムトラベルはストーリーの小道具ですから、マァよしとしましょう。バーテンダーは、タイムトラベルで犯罪を捜査する航時局員であることをジョンに明かします。時空警察、タイムコップです。

 ここからが映画の核心。バーテンダーとジョンは1963年に跳び、そこでジェーンが出会った男とはなんとジョンだったのです。ジョンは、過去の自分=ジェーンと出会って恋に落ち子供を産んだわけです。さり気なく挟まれたセリフ、「卵が先か鶏が先か」、尾を飲み込む蛇「ウロボロス」の暗示は、実はこれだったのです。

 バーテンダーは1964年に行き、ジェーンの産んだ赤ん坊を誘拐し、1945年に跳んで赤ん坊を孤児院に捨てます。ジェーンとジョンの「ウロボロス」を演出する時空警察官バーテンダーとはいったい何者なのか? →ラストはアッと驚く結末が用意されます。かなりトリッキーなストーリーで、よく見ていないと何がなんだか分からない映画です。トリッキーなところが面白いといえば言えます。こういう頭の体操のような映画は割と好みですw。

監督:マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ
出演:イーサン・ホーク、サラ・スヌーク

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武藤正敏 文在寅の謀略 (2020悟空出版) [日記 (2021)]

文在寅の謀略 すべて見抜いた!  元駐韓大使・武藤正敏氏は『文在寅という災厄』に次いで2冊目、今度は文在寅の「謀略」とエスカレートしています。同氏は、netで反文在寅を盛んに論じる嫌韓派の元大使として有名ですが、本書を読むと嫌韓ではなく嫌文在寅ということが分かります。文在寅大統領は、朝鮮統一のために民主主義を蔑ろにして東アジアの安全保障を脅かす存在として否定されます。2020年3月の発刊ですが、本書の論理と分析はその後の文在寅を見事に言い当てています。

南北統一
 文政権は、北朝鮮に対して徹底して弱腰です。南北連絡事務所を爆破されても、自国民が北鮮軍に射殺されても何も言わず、金与正に文句を付けられると「対北ビラ散布禁止法」(金与正下命法)を作り、国連の北朝鮮人権非難決議には加わらず、米韓合同軍事演習(野外)は3年連続で見送るという「従北」姿勢。一方でシンガポール会談を取り持ち、オリンピック同時開催、開城工業団地の再稼働、観光事業再開だ、道路と鉄道を連結だ北朝鮮の歓心を買いますがことごとく裏目。なぜこうまで弱腰かというと、文政権にとっては南北統一が最重要課題だからだそうです。米韓関係がギクシャクしているのもそのためで、米国は半島から出て行ってもらいたいというのが文大統領の本音だといいます。まして日韓関係など斟酌していません。

586世代の左派国粋主義
 文政権の支持層は「586世代」だそうです。「現在50代で80年代に民主化運動を戦った60年代生まれ」をこう呼びます。彼らの多くは、いわゆるNL系(民族解放系、National Liberation People's Democracy Revolution)と呼ばれるグループの出身で、彼らの思考が文在寅政権の政策に反映しているといいます。

NL系の思考は非常に独特だ。「北朝鮮の国家運営はどの国からも影響を受けない無立的で綺麗なもの」と彼らの目には映る。朝鮮民族の自尊心をくすぐるからだろうか、あるいは、戦わずして独立を与えられた劣等感に拠るものだろうか。いずれにせよ、NL系の人々は北朝鮮を見て「自らの力で国を防衛し、誰の圧力も受けずに国を作っている」と解釈する。いくら韓国が経済的に発展しようと、米国の影響下にあり、日本の支援を受けたような国は民族解放からはほど遠く、価値を認めることはできないのだ。(p40)

 文政権のスタッフには、この思想を持った元学生運動家が多くいるそうです。元大統領府民情首席秘書官、法務部長官の曺国もそのひとり。

韓国の歴史観では「大韓民国臨時政府」が日本からの解放を目指して戦ったということになっているが、臨時政府は国家としてどの国からも認められておらず、当然ながら日本の戦争の相手国にもなっていない。国際法上、当時の朝鮮半島は「日本の一部」だったからだ。(p178)

 日本の一部であった韓国は、戦後の国際秩序お枠組みであるサンフランシスコ条約にも参加していません。サンフランシスコ条約は、日本が朝鮮半島を放棄して朝鮮の独立を認めることしか定めていません。その韓国は、日韓基本条約と請求権協定の「協力金」で「漢江の奇跡」を成し遂げ今日の繁栄を築きます。その繁栄の礎を築いた軍事政権を倒すことが民主化運動であり、民主化運動はこの屈辱の歴史を否定することにも繋がります。文在寅の、従って586世代のスローガン「積弊精算」とは、1965年以降のすべての精算を指します。
 北朝鮮は、抗日パルチザンとして日本と戦った(大韓民国臨時政府は抗日を戦わなかった)金日成が建国した国です。著者のいう劣等感とは、いわば「タナボタ」で独立を果たした韓国の劣等感を指しています。劣等感を拭い去り民族の誇りを取り戻す唯一の道が北朝鮮との統一だというわけです。民族の誇りと劣等感の問題だとすれば、根は深いです。「反日」の根拠もここにあります。
 徴用工判決、慰安婦判決に日本が応じず、アメリカがバイデン政権に変わって、文在寅の発言が軟化してきました。しかし、

(文在寅政権の)自らの政策を反省したり翻意したりするような台詞を耳にして、政権の姿勢を判断するのは危険である。日韓関係には根本的に関心がない以上、周辺で何かが起これば、すぐに態度が変わるからだ。したがって、たとえば日本側が「最近、韓国側の態度が軟化した」などと合点するのは禁物である。
いま、「文在寅大統領の韓国」に譲歩したところで無駄である。彼らは「自分たちが正しいから日本側は降りざるを得なかった」と受け取るだけであり、「韓国側もそれに応じた対応をしよう」などとは考えないからだ。

 日本政府は、見事この言葉通り動いています。言葉ではなく行動で示せと、外相が代わろうが新任の大使が来ようが会おうとはしません。東日本大震災10周年の韓国外相のメッセージにも1週間遅れで「儀礼的」な返信をしただけです。

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マーク・ラムザイヤー 芸娼妓契約 ~性産業における 「信じられるコミットメント(credible commitments)」~(1991) [日記 (2021)]

  曽野,裕夫//訳、北大法学論集, 44(3), 206-160(1993-10-25)所収の論考です。
 産経新聞が「世界に広まる『慰安婦=性奴隷』説を否定」と報じたことで、韓国のメディアは、この論文『太平洋戦争における性サービスの契約”Contracting for sex in the Pacific War”』について<大騒ぎ>しています。未だ発表されていないにもかかわらず、よほど癇に障ったのか、「ハーバード大学」が効いたのか、一斉に報じました。何しろ従軍慰安婦は韓国のマジノ線ですから。著者マーク・ラムザイヤー教授に対する筋違いな人身攻撃まで起こる始末。特に中央日報が熱心で、連日反ラムザイヤー教授の記事を掲載し、まるで世界中がこの論文を非難しているかのような記事ですが、殆どが韓国国内または国外の親韓団体の非難です。
 「なでしこアクション」という女性を中心とした市民団体の同サイト経由で、件のラムザイヤー教授の論文の元となったと思われる『芸娼妓契約 ~性産業における 「信じられるコミットメント」~(1991)』が読めます。

 当該論文は、将来の収入の前払いと引き換えに、娼婦が売春宿で数年間働くという「芸娼妓契約」を「ゲーム理論」によって分析した論考のようですが、風俗論として読んでも面白いです。

 例えば、
・1924 (大正13) 年に、日本には11,500の 許可を受けた売春宿があり、日本人口の350人に1人の割合で娼婦がいた。
・彼女らの平均年収は、部屋と食事が付いて、公娼が884円、芸者が575円、酌婦(多くの場合、売春を伴う仕事であった)が518円であり、女給(これも幾ばくかの売春を伴う仕事であった)が210円、その他の職業では130円であった。
・前払金は(地主と小作農を合わせた)総農家の平均収入の53%に及んだ。
・売春宿は客の払う玉代の67~75%を取り、残りの25~33%が娼婦の収入となり、その額の60%を債務の元本に充当した。公娼は元本を返済するか、最長年期を働くことのいずれかによって契約を終了できた。平均的な公娼は3.03年で元金を完済した。

などなど資料に基づいて公娼制度が詳述されます。
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 面白いのは、この前払金を払って娼婦を雇う「芸娼妓契約」は、抱え主が娼婦に投資した「信用供与」だということです。ここで「ゲーム理論」が登場します。
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売春宿が娼婦に対して、自分は協力するということを信じさせること(=信じられるコミットメント(credible commitment)の獲得)ができれば、右上(20,-10) または右下(10,10) のセルの戦略が選択されることになる。

売春宿が娼婦を搾取していたという「俗説」が否定され、売春宿と娼婦が協力関係を結びwin winの関係を築いていた(かもしれない)ということです。

今日にいたるまで、この産業の歴史は、改革主義者のジャーナリスト、廃娼論者、それらの廃娼論者によって救い出された元娼婦らの、実体験に基づく説明に依拠してきた。廃娼論者らに接近した娼婦は最も不満を抱いていた娼婦たちであり、大過なく芸娼妓奉公の年期を終えた女性たちは、その経験について著書や記事、そして日記さえもほとんど書いていないのである。そのために、現存する実態描写は、標本摘出に大きな偏りがあるという問題を抱えている。

 『太平洋戦争における性サービスの契約”Contracting for sex in the Pacific War”』がこの論理の延長線上にあるとすれば、韓国のメディアが熱くなるのも分かりますw。

タグ:読書
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Windows10 の Battery report [日記 (2021)]

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 ノートPC(Dynabook R731)のパッテリがヘタってきました。仕様では11時間使える様ですが、サスペンドしながら使っても数時間。Windows10のBattery reportで劣化を確認できるので試してみました。

 コマンド・プロンプトから”powercfg/batteryreport”を入力すれば、C:\Users\XXXX\にbattery-report.htmlが出力されます。DESIGN CAPACITYがバッテリ容量、FULL CHARGE CAPACITYが充電可能なバッテリの現状。reportを見ると、65,664mWh → 57,591mWhと88%まで充電可能(12%劣化)。過充電防止のためToshiba ecoユーテリティーで80%充電まで抑えているので、フル充電は57,591mWhX0.8で45841mWh、だいたい合ってます。11:56にフル充電しctiveとsuspendを繰り返し20:18に11457mWhまで低下。使い方にもよるでしょうが、実働3時間で80% → 20%です。まぁこんなもの。

 Dynabook R731は2011年発売ですから10年選手。i3-2310M2.10GHzと非力ですが、SSDに入れ替えてnetやblog更新など普段使う分には不自由はありません。モバイルもやらないし、バッテリで3時間使えれば十分です。
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タグ:パソコン
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3月の庭 [日記 (2021)]

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ツルニチニチソウ              
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                    桃、もう少し
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やっと咲いた桃
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 タチツボスミレ            ヘビイチゴ(ワイルドストロベリー)
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ヒメオドリコソウ             よく似ているホトケノザ 
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スズランスイセン(スノーフレーク)    ヤマツツジ

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