iPhone の マクロ撮影 [日記 (2024)]
ヒメリュウキンカ
iPhoneの拡大鏡でマクロ撮影が出来るんですね、知らなかった。iPhoneXRなので光学式手ブレ防止が無いため、倍率を上げると手ブレしますが、これは便利。画像をソフト処理しているので画質は落ちます。マクロ画像の保存は出来ないためスクリーンショットで保存となります。
タグ:iPhone
映画 山の郵便配達(1999中) [日記 (2024)]
1980年代の中国湖南省、山間の村々に郵便を配達する郵便配達夫二代の物語です。父親は膝を痛め配達夫を引退し、息子が後を継ぎます。配達は峠を超え川を渡り、徒歩で2泊3日120km。息子が初めて配達に出る日父親が同行し、配達する父親と長年同行した犬の「次男坊」が先導します。原題にある那狗 = あの犬です。
配達する村々で父親と村人の交流が描かれます。父親はそうしたなかで母親と知り合い、若き日の二人がフラッシュバックされます。父親と息子は、トン族の結婚式の祝宴に招かれ、息子は民族衣装をまとった娘たちの踊りの輪に加わります。父親の様に出逢いがあるのかどうか。
またある村では、父親は、孫からの手紙をお婆さんに直接手渡すように教えます。お婆さんは目が見えないため、毎回父親が手紙を読んで聞かせるのですが、その手紙は架空の手紙。父親は郵便配達が人と人繋ぐ仕事であることを息子に教えます。
事件も起こらず、ドラマらしいドラマもありません。郵便配達という地味な仕事が父親から息子に受け継がれる3日間の旅が淡々と描かれるだけです。埋もれてしまった風景や記憶が甦るような映画です。成長した息子が「あの山、あの人、あの犬あの犬」を懐かしく思い出す映画だとすれば、現在のむすこの両肩には中国の現代がズッシリと載っていそうです。オススメ。
監督;霍建起
出演;滕汝駿、劉燁
タグ:映画
スピルバーグの ウェストサイド・ストーリー(2021米) [日記 (2024)]
スピルバーグのリメイクですからどんなヒネリがあるのかと思ったのですが、1961年の『ウェストサイド物語』そのままで音楽もレナード・バーンスタイン。マリアとトニーが「マリア」「トゥナイト」を歌い、「アメリカ」に合わせてダンスが踊られます。懐かしいと言えば懐かしいですが、何処がスピルバーグ?というリメイクです。
『ウェストサイド物語』は現代のNYを舞台にした『ロメオとジュリエット』です。むかし観た時には歌と踊りに目を奪われて気が付かなかったのですが、この映画の主人公であるトニー(ロメオ)はポーランド系白人、マリア(ジュリエット)はプエルトリコ移民です。WASPがアメリカの保守本流であるとすれば、二人はマイノリティー。登場人物も殆どポーランド系とプエルトリコ移民で、言葉も英語とスペイン語。1961年にマイノリティを主人公にしたミュージカルが作られヒットしたわけです。
スピルバーグは何故半世紀後の2021年に『ウェストサイド物語』をリメイクしたのか?、しかも新たな解釈もなく原作に忠実に。型通りポーランド系とプエルトリコ移民の抗争の中でマリアとトニーのラブストーリーが進行しトニーは死にます。
挿入歌「アメリカ」、男女のプエルトリコ移民が道路で踊る有名なシーンです。
ここが好きアメリカ 不満はないアメリカ 自由の国アメリカ(女性)
カードで買物 → 移民をボッタクリ
一家に1台洗濯機 → 洗う服もないのに?
新築の広い家 → 移民にはドアを閉ざす
いい暮らし アメリカ → 白人だけさ アメリカ
公害だらけアメリカ 犯罪組織アメリカ ひどい所さアメリカ(男性)
女性たちはアメリカは自由で豊かだと礼賛し、男性たちは、それは白人の話だアメリカは人種差別と貧富の差が激しいと男性たちは歌います。
ポーランド系「ジェッツ」が勾留された警察で歌う「Gee,Officer Krupkee(クラプキ巡査どの)」では、
俺等育ちが悪いんです
お袋はクスリ漬け 親父は酒浸り これじゃ当然クレちまう
クラプキ巡査 あんまりだ
親の愛情知らずにきたけど ワルじゃない 誤解です
50年経っても同じじゃないか、と言いたいわけです。だからスピルバーグは『ウェストサイド・ストーリー』を1961年のオリジナルを改変しなかったのかも知れません。
2024年11月にアメリカ大統領選挙が行われます。民主党支持のスピルバーグは、マイノリティ擁護、銃規制などが込められたこの映画をドナルド・トランプのポピュリズムにぶつけたのでしょう。
決闘に向かうジェッツとシャークスのバックで流れるのは、皮肉にも愛の歌「トゥナイト」です。
トゥナイト 今夜 夜よ明けないで どうか明星も輝かないで
トゥナイト 今夜愛する人に逢う 二人のために 星々よ 消えないで
監督:スティーヴン・スピルバーグ
音楽:レナード・バーンスタイン
出演:アンセル・エルゴート、レイチェル・ゼグラー
【追記】
よく言われる様に、トランプが出てきた背景はに白人中間層の没落があると言います。この映画が作られた1960年代は自動車産業など製造業ががアメリカの基幹産業で、製造業に勤める白人が「いい暮らし アメリカ」を謳歌しています。その後製造業は中南米に工場を移し中南米からの移民が激増し、製造業に勤める白人=白人中間層は没落してゆきます(ラストベルト地帯の白人中間層の没落)。この映画のマイノリティが台頭するわけです。
スピルバーグがこの映画を大統領選挙にぶつけたとするなら、それは両刃の剣ではないかと?。親世代ように繁栄を謳歌出来ないベビーブーマーは、コイツラこそ元凶だとトランプ支持に回るんではなあいか、と思ったりします。
タグ:映画
ドラマ 沈黙の艦隊 東京湾大海戦 (1)(2023日) [日記 (2024)]
1988年〜1996年に雑誌連載されたコミックの実写です。アニメ化されて、そっちも観たのですが、2023年映画版のextended editionで全8話のドラマです。AmazonPrimeで配信されたのでみてみました。
『沈黙の艦隊』の面白さは、1)安全保証に関わる日米関係 と 2)潜水艦による戦闘 の2つです。
安全保障
アメリカのノウハウと日本の資本で、日本最初の原子力潜水艦が秘密裡に建造され、日本人艦長、乗員の「シーバット」としてアメリカ第七艦隊に組み込まれます。原潜は一度潜ると浮上することなく長期間の作戦行動が可能であり、通常核武装して敵国の脅威となります。その原潜を日米同盟の間に放り込んだ、→このドラマのミソです。
その「シーバット」が第七艦隊を脱走し、艦長・海江田四郎は「ヤマト」を名乗って「独立国」を宣言します。国民76人、国土は潜水艦という国家です。核武装し(しているかも知れない)日本人が乗り組む原潜が日本と友好条約を結び、日米の安全保障に割って入ったことになります。
アメリカは第七艦隊を脱走したヤマトの捕獲を目指しテロリストとして撃沈の挙に出ます。アメリカは同盟国として日本に歩調を合わせることを要請しますが、日本政府は日本人が乗り組むヤマトの支援を決定します。日米安保条約を逸脱し独自の安全保障を模索、それは自分の国は自分で護るという選択でもあるわけです。ヤマトを支援のめに自衛隊が出動します(海上警備行動?)。日本の国是は専守防衛ですから、相手が攻撃して初めて迎撃出来るわけです。護衛隊群司令の沼田徳治は言います、「攻撃された時点で戦いに負けている」。第七艦隊は出動した自衛艦にミサイルを撃ち込み日米同盟は崩れます。日米首脳会談が開かれるも、力による平和を掲げるアメリカと話合いによる解決を目指す日本は噛み合いません。第七艦隊がヤマトにミサイルを撃ち込みヤマトは反撃して空母を撃沈、日米開戦の様相を呈します。
日本政府と「国家元首」海江田との会談が持たれヤマト独立の真相が明かされます。海江田は世界規模の超国家軍隊を創設し、その軍事力によって国家間の紛争を解決しようと言うのです。日本がヤマトと友好条約を結ぶということは、日本が戦争の無い世界を希求している証しとなる、というわけです。ヤマトと日本は友好条約を結びます。日本は核を搭載する(かも知れない)ヤマトによって軍事的独立を期待し、ヤマトは魚雷他の物質の補給を受けるわけです。
ヤマトを自衛隊の指揮下に置き、自衛隊の指揮を国連に委ねるという離れ業を演じます。
ロシアのウクライナ侵攻、尖閣諸島、安保三文書の改定などありますから、時期を得たドラマです。→続きはコチラ
タグ:映画
鮫島浩 朝日新聞政治部(2022講談社) [日記 (2024)]
「吉田調書報道」によって政治部デスクを追われた元朝日新聞記者の「内部告発」+自省の書です。著者は1994年に朝日新聞社に入社し1999年に政治部に移り、菅直人、竹中平蔵、町村信孝らの番記者として与野党政治家を担当します。2013年に福島原発事故よる汚染土壌の除去が「手抜き除染」とスクープして新聞協会賞を受賞し、2014年に「吉田調書報道」によって政治部を追われます。
「吉田調書」が登場するのは中盤の第4章からで、それまでは著者の経験した番記者、ぶら下がり、夜討ち朝駆けなど政治部記者の舞台裏が描かれます。記者の仕事は、政治家の懐に飛び込み(取り入り)信頼関係を築いてオフレコの情報を引き出す事。本書にある政治部の組織表を見ると一目瞭然。政治部の組織は政府の組織そのままです。
取材は、スキャンダルや政権の交代と国会の解散などいわゆる政局が中心で、政策の取材や報道はありません。描かれるのは、政界の裏話と新聞社内のヘゲモニー争いです。
「吉田調書」とは、事故調査委員会が福島第一原発事故で指揮を執った東電の原発所長・吉田昌郎を聴取した文書です。この文書を朝日がスクープし、2014年5月20日の朝刊で、東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会の「吉田調書」を入手したと発表、「震災4日後には所長命令を無視し、福島第一原発の所員650人第二原発にが逃げ出した」と報じます。朝刊の見出しは
「政府事故調の『吉田調書』 入手/所長命令に違反原発撤退/福島第一所員の9割/震災4日後、福島第二へ」
政府と東電が公表しなかった文書を入手し公表したこと自体が特ダネですが、400頁に及ぶ調書の中から何故650人の撤退がスクープされたのか。そこには東電の隠蔽体質への告発の意味があったと著者は言います。この東電社員650名を貶める記事に批判が出、朝日新聞は9月11日の社長の記者会見でこ「東電社員らがその場から逃げ出したかのような印象を与え、間違った記事だと判断した」として報道を誤報として取り消し、記者と担当デスクの著者を処分します。
本書によると、この誤報謝罪には裏があると言います。
木村社長の足をすくったのは8月5日の特集記事 「慰安婦問題を考える」である。朝日新聞はその特集で、植民地だった朝鮮で戦時に慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏の証言(吉田証言)を虚偽と判断し、吉田氏を取り上げた過去の記事1本を取り消した。これを機に「朝日バッシング」が吹き荒れたのである。訂正まで20~30年かかったことや謝罪の言葉がないことへ批判が殺到したのだ。(p237)
この経緯を時系列にまとめると
5/20:「吉田調書」を入手、所長命令に違反し原発撤退と報道
↓
8/5 :「慰安婦問題を考える」掲載
8/27:慰安婦に関する「池上コラム」不掲載を決定
8/17:産経新聞「吉田調書」入手、朝日の記事を否定、報道各社同調
8/25:菅義偉官房長官、「吉田調書」公開を約束
9/2 :週刊文春「池上コラム問題」を報じる
8/27:慰安婦に関する「池上コラム」不掲載を決定
8/17:産経新聞「吉田調書」入手、朝日の記事を否定、報道各社同調
8/25:菅義偉官房長官、「吉田調書」公開を約束
9/2 :週刊文春「池上コラム問題」を報じる
9/4 :「池上コラム」掲載
9/6 :「池上コラム問題」釈明記事掲載
9/11:木村社長、慰安婦と吉田調書を誤報と謝罪、「吉田調書」公開
9/6 :「池上コラム問題」釈明記事掲載
9/11:木村社長、慰安婦と吉田調書を誤報と謝罪、「吉田調書」公開
「慰安婦問題を考える」→産経新聞入手、朝日の記事を否定 →池上コラム問題 →謝罪会見と、朝日新聞が追い詰められて行く過程が分かります。さらに朝日パッシングの背景には、朝日新聞のテレビ朝日支配を喜ばない総理官邸のメディアコントロールがあったと言うのです。いずれにしろ、朝日の「所長命令に違反し原発撤退」という報道には無理があったと言うことです。
「慰安婦問題」にしろ「吉田調書報道」にしろ、問題の本質は何処にあるのか?に関わる挿話が本書にあります。ひとつは、2007年の福田康夫内閣官房長官を務めた町村信孝と著者の会話です。通産官僚出身で、文部大臣など要職を歩んで来た町村をエリートだと言う著者に、町村は激昂したと言います。
「日本の政治はずっと、 経世会が牛耳ってきたんです。 経世会は最初に宏池会に相談する。その次に社会党に根回しする。 社会党がNHKと朝日新聞にリークする。 我々清和会はNHKと朝日新聞の報道をみてはじめて、何が起きているかを知ったのです。これが日本の戦後政治なんですよ! わかりますか!!」(p51)
清和会の町村の目に映る 「戦後日本の権力者」は「経世会、宏池会、社会党、NHK、朝日新聞」だったと言うのです。「新聞は社会の公器」とリベラルなオピニオンリーダーを自認する朝日新聞は、実は権力構造の一端を担っていたわけです。本書の国家権力の「不都合な事実」を自力で追及していく調査報道(p233)という記述にもその一端が伺われます。
もうひとつが、「吉田調書報道」で処分された際の著者と奥さんの会話です。
あなたはこれから自分が何の罪に問われるか、わかってる? 私は吉田調書報道が正しいのか間違っているのか、そんなことはわからない。 でも、それはおそらく本質的なことじゃないのよ。あなたはね、会社という閉ざされた世界で 『王国』を築いていたの。誰もあなたに文句を言わなかったけど、内心は面白くなかったの。あなたはそれに気づかずに威張っていた。あなたがこれから問われる罪、それは『傲慢罪』よ!。(序章p16)
「あなた」を朝日新聞に変えると本質が見えて来そうです。
タグ:読書
タランティーノ(4) ジャンゴ 繋がれざる者(2012米) [日記(2018)]
5年ほど前にblogに書いた感想文の全面改訂です。原題、Django Unchained。「ジャンゴ」といえばフランコ・ネロの『続・荒野の用心棒(原題Django、1966)』です。フランコ・ネロに敬意を表して本作にも御本人が登場します。映画の主題は、棺桶を引きずったジャンゴではなく「繋がれざる者」にあります。ジャンゴを繋いでいる鎖はアメリカの奴隷制度。
賞金稼ぎ
時代は南北戦争の少し前、歯科医で賞金稼ぎのドクター・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)と彼に助けられた黒人奴隷のジャンゴ(ジェイミー・フォックス)の話です。シュルツは賞金首のナントカ三兄弟を追っていますが顔を知りません。三兄弟を首実験させるために、彼等が働いていた牧場の奴隷ジャンゴを探し出し、ジャンゴを自由の身にして賞金稼ぎの相棒とします。
時代は南北戦争の少し前、歯科医で賞金稼ぎのドクター・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)と彼に助けられた黒人奴隷のジャンゴ(ジェイミー・フォックス)の話です。シュルツは賞金首のナントカ三兄弟を追っていますが顔を知りません。三兄弟を首実験させるために、彼等が働いていた牧場の奴隷ジャンゴを探し出し、ジャンゴを自由の身にして賞金稼ぎの相棒とします。
ジャンゴには同じ牧場で働いていた奴隷ブルームヒルダ(ケリー・ワシントン)という妻があり、ふたりとも売り払われて生き別れという設定です。ブルームヒルダはドイツ語が話せ、名前の謂われは『ニーベルンゲンの指輪』。シュルもまたドイツ移民だったことで、賞金稼ぎをしながらアンタの奥さんを探そうということになります。ストーリーは、シュルツの賞金稼ぎの話にジャンゴの妻探しにが絡むことになります。シュルツはジャンゴを白人同様の服を着せ拳銃を帯びさせ馬に乗せます。この「黒人の賞金稼ぎ」は次作『ヘイトフル・エイト』に引き継がれます。
クリストフ・ヴァルツが演じるシュルツは、前作『イングロリアス・バスターズ』のナチス親衛隊大佐ハンス・ランダ同様に軽妙洒脱で且つ果断。ジャンゴは沈着且つ大胆。クリストフ・ヴァルツとジェイミー・フォックスの絶妙のコンビがレオナルド・ディカプリオをやっつける話です。
ふたりは、南部の農園で働く三兄弟を見つけ出して撃ち殺します。シュルツは手配書を持つ自称「合衆国 刑事司法制度の代理人」=賞金稼ぎですから、らこの殺人は正当な行為。だが治まらないのは使用人の三兄弟を殺された農園主。使用人や近隣を集め、K・K・Kの三角帽を被せシュルツとジャンゴを襲撃しますが、当然の如く返り討ち。ここまでが導入部で、黒人を虐待する白人、K・K・Kと、型通り奴隷制度の残虐さが披露され、元黒人奴隷が鉄槌を喰らわせる痛快譚。
ディカプリオ登場
ジャンゴの妻ブルームヒルダがミシシッピの農園にいることが分かり、ふたりは農園主キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)を訪ねます。レオナルド・ディカプリオの登場です。悪役ですが、なかなか決まってます。ここからが本編。大農園を経営し多くの使用人、奴隷に君臨するキャンディの悪辣振りはなかなかのもの。奴隷は人間ではなく所有物に過ぎず、逃げ出そうとした奴隷を犬に喰わせるような悪辣振り。
正面からブルームヒルダを譲ってくれと言っても足元を見られる、と考えたシュルツは作戦を立てます。キャンディが拳闘用の奴隷(グラディエーター?)を訓練していることに目を付け、この奴隷を12,000ドルで買う交渉を隠れ蓑にブルームヒルダを買おうという作戦です。キャンディは12,000ドルに釣られてこの作戦に乗りますが、キャンディの奴隷で老僕スティーブン(サミュエル・L・ジャクソン)にブルームヒルダとジャンゴの関係を見抜かれます。サミュエル・L・ジャクソンの演技はクリストフ・ヴァルツと双璧。見破られたシュルツは12,000ドルでブルームヒルダを買うはめになり、何だかんだでシュルツはキャンティを撃ち殺し、ここから「タランティーノ劇場」となり、ガンマン・ジャンゴが大活躍。最後はキャンディの屋敷が大爆発、ジャンゴとブルームヒルダは手を携えて自由の天地へ →TheEnd。
タランティーノは、ナチスvs.連合軍(自由主義陣営)を、白人vs.黒人アメリカ南部vs.北部と対立を描きます。第二次世界大戦では連合軍が勝利し南北戦争では北軍が勝利して奴隷は解放されるわけですが、タランティーノの面白さはこの対立する両者を「ドッチもドッチ」と平等に見る視点にあります。『バスターズ』の連合軍中尉ブラッド・ピットが、ナチスをバットで殴り殺し頭の皮を剝ぐ残虐非道がその典型。そして対立を止揚する、乗り越えるのが暴力のカタルシスです。『バスターズ』ではプレミア上映会でナチスを虐殺し映画館を爆破、『ジャンゴ』では荘園主キャンディの屋敷を爆破、『ヘイトフル・エイト』でも派手な銃撃戦、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』では火炎放射器が登場します。タランティーノは、このカタルシスのために映画を作っているのでしょうかw。この項お終い。
ふたりは、南部の農園で働く三兄弟を見つけ出して撃ち殺します。シュルツは手配書を持つ自称「合衆国 刑事司法制度の代理人」=賞金稼ぎですから、らこの殺人は正当な行為。だが治まらないのは使用人の三兄弟を殺された農園主。使用人や近隣を集め、K・K・Kの三角帽を被せシュルツとジャンゴを襲撃しますが、当然の如く返り討ち。ここまでが導入部で、黒人を虐待する白人、K・K・Kと、型通り奴隷制度の残虐さが披露され、元黒人奴隷が鉄槌を喰らわせる痛快譚。
ディカプリオ登場
ジャンゴの妻ブルームヒルダがミシシッピの農園にいることが分かり、ふたりは農園主キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)を訪ねます。レオナルド・ディカプリオの登場です。悪役ですが、なかなか決まってます。ここからが本編。大農園を経営し多くの使用人、奴隷に君臨するキャンディの悪辣振りはなかなかのもの。奴隷は人間ではなく所有物に過ぎず、逃げ出そうとした奴隷を犬に喰わせるような悪辣振り。
正面からブルームヒルダを譲ってくれと言っても足元を見られる、と考えたシュルツは作戦を立てます。キャンディが拳闘用の奴隷(グラディエーター?)を訓練していることに目を付け、この奴隷を12,000ドルで買う交渉を隠れ蓑にブルームヒルダを買おうという作戦です。キャンディは12,000ドルに釣られてこの作戦に乗りますが、キャンディの奴隷で老僕スティーブン(サミュエル・L・ジャクソン)にブルームヒルダとジャンゴの関係を見抜かれます。サミュエル・L・ジャクソンの演技はクリストフ・ヴァルツと双璧。見破られたシュルツは12,000ドルでブルームヒルダを買うはめになり、何だかんだでシュルツはキャンティを撃ち殺し、ここから「タランティーノ劇場」となり、ガンマン・ジャンゴが大活躍。最後はキャンディの屋敷が大爆発、ジャンゴとブルームヒルダは手を携えて自由の天地へ →TheEnd。
タランティーノは、ナチスvs.連合軍(自由主義陣営)を、白人vs.黒人アメリカ南部vs.北部と対立を描きます。第二次世界大戦では連合軍が勝利し南北戦争では北軍が勝利して奴隷は解放されるわけですが、タランティーノの面白さはこの対立する両者を「ドッチもドッチ」と平等に見る視点にあります。『バスターズ』の連合軍中尉ブラッド・ピットが、ナチスをバットで殴り殺し頭の皮を剝ぐ残虐非道がその典型。そして対立を止揚する、乗り越えるのが暴力のカタルシスです。『バスターズ』ではプレミア上映会でナチスを虐殺し映画館を爆破、『ジャンゴ』では荘園主キャンディの屋敷を爆破、『ヘイトフル・エイト』でも派手な銃撃戦、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』では火炎放射器が登場します。タランティーノは、このカタルシスのために映画を作っているのでしょうかw。この項お終い。
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ジェイミー・フォックス クリストフ・ヴァルツ レオナルド・ディカプリオ ケリー・ワシントン サミュエル・L・ジャクソン フラン・コネロ
【当blogのクエンティン・タランティーノ】
出演:ジェイミー・フォックス クリストフ・ヴァルツ レオナルド・ディカプリオ ケリー・ワシントン サミュエル・L・ジャクソン フラン・コネロ
【当blogのクエンティン・タランティーノ】
タグ:映画
タランティーノ(3) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019米) [日記 (2024)]
『ジャンゴ 繋がれざる者』→『ヘイトフル・エイト』→『イングロリアス・バスターズ』とクエンティン・タランティーノを観てきました。今度は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、『ジャンゴ』のレオナルド・ディカプリオと『バスターズ』のブラッド・ピットの2大スターの競演です。
『ジャンゴ』で白人と黒人、『ヘイトフル・エイト』で南部と北部、『バスターズ』ではナチスと自由主義陣営の二項対立が描かれましたが、この映画ではTVスターとそのスタントマンという陰と陽が描かれます。舞台は1969年のハリウッド、TVの西部劇で人気を博したリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)=陽と、彼のスタントマン、クリフ・ブース(ブラッド・ピット)=陰の話です。
「ミセス・ロビンソン」「サークル・ゲーム」「夢のカリフォルニア」などの当時のヒット曲をバックにハリウッドの風俗が描かれ、スティーブ・マックイーンやブルース・リー、シャロン・テートなど当時のスターも登場します。映画では触れられていませんが、1969年は、アポロ11号が月に着陸し、ベトナム戦争は泥沼化、市民権運動が拡大し若者の間にカウンターカルチャーが浸透した時代です(ウッドストックもこの年)。
「ミセス・ロビンソン」「サークル・ゲーム」「夢のカリフォルニア」などの当時のヒット曲をバックにハリウッドの風俗が描かれ、スティーブ・マックイーンやブルース・リー、シャロン・テートなど当時のスターも登場します。映画では触れられていませんが、1969年は、アポロ11号が月に着陸し、ベトナム戦争は泥沼化、市民権運動が拡大し若者の間にカウンターカルチャーが浸透した時代です(ウッドストックもこの年)。
冒頭、ダルトンとクリフ格差(陰陽)が描かれます。ダルトンはビバリーヒルズ?のプール付き豪邸に住み、リックの住まいはトレーラーハウス。そのダルトンは、TVの西部劇で人気を得るものの、その後はパッとせず脇役に甘んじています。落ち目のカウボーイ小説を読んで、自分の境遇に涙を流す始末。ダルトの仕事が減った為かリックはスタントの仕事はせずダルトンの送り迎えと雑用に甘んじています。「TVのアンテナが壊れたようだ、直しておいてくれ →アイヨ」と言うような。ダルトンとリックはハリウッドという世界の光と影ですが、二人の関係はと云うと至って良好。
もう一つが、ダルトンの邸の隣に住むロマン・ポランスキー監督とシャロン・テートの世界。ポランスキーは『ローズマリーの赤ちゃん』で成功し、自作に出演したシャロン・テートと結婚します。ダルトンに比べると彼等はハリウッドの成功者。この二項対立があるのかと思ったのですが、これは狂信的なヒッピーが引き起こす「シャロン・テート事件」を描くための前振り。
落ち目のダルトンにイタリアからマカロニウェスタンのオファーがかかります。ダルトンに『荒野の用心棒』で成功した『ローハイド』のクリント・イーストウッドが重ねられますが、ストーリーには直接絡んで来ず、これも時代の雰囲気を伝える「飾り」です。
リックがヒッチハイクの少女をヒッピーのコミューンに送って行ったことで、「シャロン・テート事件」が起こります。リックの車をパンクさせたヒッピーを殴り倒し、これを恨んだコミューンのチャーリー(チャールズ・マンソン)など男女3人が、(シャロン・テートではなく)ダルトンの邸を襲い、リックとダルトンが反撃。ダルトンは映画の撮影に使った火炎放射器を持ち出してヒッピーを焼き殺します。タランティーノは派手な銃撃戦では満足できなかったのでしょう。
話はこれだけです。“Once Upon a Time”とは「昔々」と云う意味です。’60年代を描くに、ウッドストックもブラック・パワー運動もベトナム反戦運動も無く、当時の歌に合わせてハリウッドの風俗を描き、TVスターとスタントマン、落ち目のTV俳優とハリウッドの成功者、ビバリーヒルズのスターとヒッピーという対立軸を持ち出して最後は火炎放射器。何なんだと思うのですが、アメリカ人ならノスタルジアを掻き立てられるのでしょうか?。ハリウッドは、今の世界は21世紀になってもシャロン・テート事件に至ったカウター・カルチャーを引きずっている、タランティーノはそれを火炎放射器で焼き尽くしたかった、そう言うことなんでしょうか?。『ジャンゴ』→『ヘイトフル・エイト』→『バスターズ』までは面白かったのですが、この映画はどうも…。
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット
タグ:映画
ロクハン ( 6.5インチ= 16 cm ) [日記 (2024)]
押入れからパイオニア(carrozzeria)のスピーカーが出てきました。いわゆるロクハン ( 6.5インチ= 16 cm ) です。貧乏オーディオに繋いでいるのは自作の箱に入れたAlpineの12cmのスピーカー、ロクハンはどんなどんな音がするのかと繋いでみました(CarrozzeriaもAlpineもカーオーディオのスピーカーです)。聴き比べのために、有り合わせの材料で切り替え端子もでっち上げ。繋ぎ替えて聴いてみましたが、私のpoorな耳では違いが分かりませんw。エージングしながらしばらく聴いてみます。自作の箱に入れるのも面白いかも。
タグ:絵日記
グレアム・グリーン ヒューマン・ファクター(2) (ハヤカワ文庫) [日記 (2024)]
亡命
6課の同僚デイビスが二重スパイを疑われて情報部によって殺され、南ア秘密警察のミューラーが登場したことでストーリーは動き出します。身の危険を感じるカースルはソ連側の連絡員KGBのボリスと会い亡命を要請します。
わたしがやつら(ミューラー)を、いかに憎んでいることか! いいですか、ボリス。 あなたの仕事に、憎悪に燃える男を使うべきではありません。憎悪は過ちをおかしがちです。恋愛と同様に危険です。わたしは二重の意味で資格を欠いています。彼らを憎み、サラを愛しているからで、愛情は双方の陣営にとって、もっとも大きなマイナスなんです。(p208)
これは、本書のタイトル「ヒューマン・ファクター」であり、また巻頭に掲げられたコンラッドのエピグラムと同じです、
絆を求める者は敗れる。それは転落の病菌に蝕まれた証し
「転落」とは情報漏洩の露見ではなく、カースルの二重スパイそのもの、祖国への裏切りを指します。
カースルは亡命を決意し、サラに真実を告げます。
「おれは世間から反逆者と呼ばれる行為をした」
「世間から何をいわれたって、あたしは平気よ」と彼女はいいながら、彼の手の上に手を重ねた。それはキス以上に親愛を示す動作だった――キスは初めて会った相手にもできる。彼女はいった。
「世間から何をいわれたって、あたしは平気よ」と彼女はいいながら、彼の手の上に手を重ねた。それはキス以上に親愛を示す動作だった――キスは初めて会った相手にもできる。彼女はいった。
「あたしたちにはあたしたちの国があるわ。あなたとあたしと(息子の)サムの国が。あなたはこれまで、一度だって、あたしたちの国を裏切ったことがないのよ、モーリス」(p331)
二重スパイのカーソルはイギリスを裏切ったかも知れないが、もう一つの国=カーソルとサラ、息子の「国」を裏切ったわけではないとは言うのです。キム・フィルビーがケンブリッジの学生時代からコミュニストであったのに比べ、カースルはコミュニズムを信じているわけではなく、サラのために二重スパイとなったのです。グレアム・グリーンは、人は理念や思想で祖国を裏切ることが出来るのか?という疑問を突き付けているのかも知れません。
カースルはKGBの手引でソ連に亡命し、その諜報活動(二重スパイ)を評価され厚遇されますが、ボリスによってその二重スパイの真実が明かされます。
きみには真相がつかめておらぬようだな。きみが知らせてきた経済情報はみな、それ自体としては何の価値もないものだった。・・・きみの役所の連中は、このモスクワにスパイを潜入させるのに成功したと思いこんでおる。・・・きみの情報を彼がロンドンへ送り返す。・・・しかし、送り返されるもののうちには、こちら側の作成したにせ情報が混じっておる。敵をあざむく巧妙な作戦さ。きみの情報の真の価値はそこにあった。
カースルは情報戦の駒でしか無かったのです。さらに、「アンクル・リーマス作戦」の出現で事態は急変します。
われわれはその対抗作戦を検討して、もっとも効果的な方法は、この新しい西欧側の悪辣な陰謀を、全世界に宣伝することだとの結論に達した。それには、情報を洩らした本人のきみを、モスクワへ引き取る必要があった。きみがミュラーの覚え書メモを携帯して、無事にソ連領内に到着するのが重要事だったのだ。・・・ところで、きみの記者会見は明日と決まったよ。
情報部長官ハーグリーヴス卿が最も恐れ、そのために殺人まで犯した、スキャンダルが現実のものとなります。
サラとサムをモスクワに呼び寄せることが亡命の条件です。ところが、サムがサラのパスポートに併記されていないため、二人は出国出来ないことになります。パスポートの申請をイギリス政府が認める筈はありません。
モスクワのカースルからサラに電話が入ります、
「サラ、きみの顔を見たい」
「あたしもよ。会いたいわ・・・・・・でも、サムを残しては行けないの」
「それはそうだ。判っている」
次の瞬間、彼女は衝動的に、「あの子がもっと大きくなるまでは…」と叫んでいた。が、叫
びおわらないうちに、後悔していた。それはあまりにも遠い将来の約束ごと、そのときの彼ら二人は年老いて···· 「我慢して、待ってて!」彼女は、もう一度、叫んだ。
カースルがサラとサムに会えるのは「遠い将来」と匂わせて物語は終わります。『情事の終り』の作家グレアム・グリーンのエスピオナージュは一味違います。
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