黄金を抱いて翔べ

  • 作者: 高村 薫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1994/01
  • メディア: 文庫


 エッセイ集「半眼訥訥」の中で、作者は「黄金を抱いて翔べ」は大阪の夏の暑さが主人公であると書いている。真夏の読書としてまことにふさわしい。

「(大阪は)無秩序と図々しさと無神経の、胃袋みたいな街」「そこで起こる事件なら、そこにふさわしいやり方というものがあって当然だ。押し込み方も、逃げ方も、東京と大阪ではやり方が違う。無造作で、不細工だが奇抜で、どうしようもなく短絡的で衝動的だが、痛快無比の大団円。」
大阪の事件は東京とは違うのだ、「痛快無比の大団円」が期待を膨らませる。