やがて哀しき外国語

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1997/02
  • メディア: 文庫

 1991から2年半、作家がプリンストン(大学)に滞在した折りのエッセーである。村上春樹のエッセーは「村上朝日堂」しか読んでいないが、(「村上朝日堂」も結構面白いが)これはこれで団塊の世代がアメリカで暮らす風景として共感を覚える(住んだことも無いのに共感もないものだが)。東部のプリンストンというコンサバティブな街で大学客員として暮らす体験には「これがアメリカだ」みたいな異文化体験的な肩肘張ったカルチャー論議も無いし、どちらかと云うと普通の人の普通の生活を、村上春樹が綴ったいう安心感がある。