海辺のカフカ (上)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/02/28
  • メディア: 文庫


 物語りは2部構成で進行する。「15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった」中学生の「田村カフカ」の物語と、猫語を話し失踪した猫の捜索を職業とする「ナカタさん」との物語である。 二人の主人公の外、(他の物語同様)魅力的な脇役が登場する。主人公カフカが暮らすこととなる四国の私立図書館の司書「大島さん」、女性館長「佐伯さん」。「ナカタさん」を助け、この物語の狂言回しの役目を担うトラック運転手「ホシノさん」、家出したカフカを最初に助ける美容師「さくらさん」。「さくらさん」は『ダンス・ダンス・ダンス』に登場する「ユミヨシさん」を彷彿とさせる作者おなじみのキャラクターで、物語の最初と最後に登場し、主人公の再生のメタファーの役割を担っている(「さくらさん」が登場した途端、ファンは、それと分かる)。「ジョニー・ウォーカーさん」と「カーネル・サンダースさん」も忘れてはいけない。ウィスキーとフライドチキンでは無い(^_^;)。
ご注意!ここからは少し踏み込みます、ネタばれの可能性があります。