フラット化する世界(下)

  • 作者: トーマス・フリードマン
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
  • 発売日: 2006/05/25
  • メディア: 単行本


 フリードマンは、フラット化した世界を「競技場」と書き、そこには新たに30億人が殺到する未来で第1部を閉じました。第2部ではこの競技場で生き残るために、フラット化した世界で個人が如何対処すべきか、から説き起こします。西欧、アメリカ、日本の占有物であった「競技場」に、ITテクノロジーを通じて中国、インド、ロシア等の個人が参入してくるわけです。
 インターネットと検索エンジンの発達で、知識は学校や図書館から解き放たれ、インフラさえ整っていれば、中央アジアの僻地からさえ世界の知の最前線を知ることができます。学ぶ努力と能力さえあれば、誰もがこの「競技場」で平等に戦うことができるわけです。そして、「先進国」の人々は、過去とは比べものにならないほど多くの競争相手とこの「競技場」で戦わなければならなず、経済の世界では人件費というハンディーを背負って戦うことになります。同じスキルであれば、人件費の安い国にアウトソーシングされ、オフショアリングされてしまうわけです。著者はアメリカ人として祖国の行く末に強い危機意識を抱きます。