マイケル・ダグラス演じる刑事ニックとチャーリー(アンディ・ガルシア)が大阪で犯人を追う物語です。リドリー・スコットは『ブレード・ランナー』で、日本語のネオン・サインや日本人のオヤジの出てくる屋台まで登場させ、ハリソン・フォードが割り箸でうどんを啜るシーマンを撮っています。

 そうした意味で日本を舞台とした『ブラックレイン』は、リドリースコットの趣味の世界なのでしょうか。 ニック、チャーリーが佐藤を追って心斎橋、道頓堀、梅田、阿倍野、元町(神戸)を彷徨うのですが、アアあそこねと云う以外に何と言うこともありません。こうした日本の風景描写は、松田優作と若山富三郎が『手打ち』をするシーンなどとともに、海外の観客ならリドリー・スコットらしさを感じるのかも知れませんね。日本のリドリー・スコット ファンにとっては、舞台が日本である分複雑な思いです。SFの架空都市で日本語のネオンサインとハリソン・フォードのウドンまでは理解できますが。