映画 インビクタス/負けざる者たち(2009米) [日記(2011)]
先日見た「インヴィンシブル/栄光へのタッチダウン」はスポ根+アメリカンドリームで、スポーツものはだいたいがこれです。ほかにも「ナチュラル」や「フィールド・オブ・ドリームス」と色々なアプローチがありますが、「インビクタス」のそれは政治です。オリンピックなどスポーツは国の威信と結び付いている場合がありますから別に不思議ではないのですが、南アフリカ共和国、それもマンデラ大統領ですから、ちょっと想像がつきません。マンデラを描いた映画は「マンデラの名もなき看守」というのがあり、アパルトヘイトと闘って27年間を監獄で過ごしたマンデラを、一看守の眼から描いたヒューマン・ドラマでした。「インビクタス」は、1994年に南ア大統領となってからのマンデラをスポーツ(ラグビー)という切り口で描いた物語です。
冒頭、マンデラ大統領(モーガン・フリーマン)は、黒人で構成されるシークレットサービスに白人を入れるよう指示します。アパルトヘイトが廃止され、差別されてきた黒人が大統領となるという変革のなかで、今度は政府の中でも新たな白人と黒人の軋轢を生まれつつあります。この融和策の第一歩として、大統領とともに常に衆目に晒されるシークレットサービスを黒人と白人で混成し、新しい南アをアピールしようとしたわけです。当然のように、この混成は上手く行かず、白人と黒人はことあるごとに反目。このシークレットサービス内の反目の行方が、「インビクタス」のストーリーと重なり、同時に南アの「政治」ともダブルことになります。
さて、映画の主題でもあるラグビーです。冒頭で、黒人の子どもががサッカーに興じる道路隔てたグラウンドでは、揃いのジャージーで白人がラグビーの練習をするシーンが登場します。両者を隔てる道路をマンデラの大統領専用車が通過するという念の入れよう。南アにおけるラグビーというスポーツの象徴です。
ラグビーのナショナルチームが強ければ「インビクタス」は生まれません → 弱いわけです。1995年のワールドカップが南アで開かれ、これを機に、マンデラはラグビーを通じて黒人と白人の宥和を図ろうとします。ここに登場するのがナショナルチームのキャプテン、マットデイモン。あれよあれよという間に決勝戦に進み、NZのオールブラックスを破って優勝します。
まぁありきたりの発想、結末は見えている、と言ってしまえば身も蓋もありませんが、題材がスポーツですから十分に「見せます」。
スパイ・マスターを演じた「グッド・シェパード」ははまり役でしたが、こういうスポ根ものにマット・デイモンは似合いません。製作且つ主演のモーガンフリーマンは、気合いが入っています。エッ、監督がクリント・イーストウッド?。
製作:モーガン・フリーマン
出演:モーガン・フリーマン マット・デイモン
この映画、監督がクリント・イーストウッドなので見に行きました。
たしかにマット・デイモンは合ってないように感じました。
覚えているのは皆がマンデラ大統領が収監されていたかつての監獄を見学し、マット・デイモンがその狭さを実感する場面です。
by ktm (2011-12-29 19:53)
クリント・イーストウッドの映画としては、「ミスティック・リバー」「ミリオンダラー・ベイビー」などとは少し趣が異なります。映画と分かっていても、スポーツ映画はけっこう感動します。
by べっちゃん (2011-12-29 20:33)