偏見読書 2016年目次 [日記(2015)]
◆=kindle =お薦め
《8月》
《7月》 7冊、累計、29冊
・百田尚樹 錨を上げよ(上下)
・湊かなえ 往復書簡
・百田尚樹 海賊とよばれた男(上下)
・和田竜 村上水軍の娘 (上下)
《6月》 3冊、累計22冊
・辺見庸 1★9★3★7 イクミナ
《5月》 5冊、累計19冊
・橋爪大三郎、大澤真幸 ふしぎなキリスト教
《4月》 2冊、累計14冊
《3月》 5冊、累計12冊
・高村薫 空海 →惨敗
・岡野雄一 ペコロスの母に会いに行く
・村松友視 時代屋の女房
《2月》 5冊、累計8冊
・岸田秀(聞き手 三浦雅士) 多神教 vs 一神教
・井上恭介・NHK「里海」取材班 里海資本論
◆夏目漱石 道草
《1月》 ▲1冊、累計3冊
・江藤淳 漱石とその時代 第二部 熊本、イギリス留学
・藻谷浩介 デフレの正体
◆夏目漱石 坊っちゃん
タグ:読書
ネタバレ映画館 2016年目次 [日記(2015)]
ネタバレ映画館 本館
⇒オススメ
⇒オススメ
《9月》
1.崖っぷちの男(2012米)
《8月》
4.リバティー・バランスを射った男(1962米)
3.ザ・ライト-エクソシストの真実-(2011米)
2.ヴィジット(2015米)
1.エスター(2009米)
《7月》
4.ブリッジ・オブ・スパイ(2015米)
3.エクソシスト(1973米)
2.動乱(1980日)
1.北のカナリヤたち(2012日)
《6月》
16.レンタネコ(2011日)
15.炎上(1958日)
14.利休にたずねよ(2013日)
13.寒い国から帰ったスパイ(1965英)
12.舟を編む(2013日)
11.越前竹人形(1963日)
10.櫂(1985日)
9.それから(1985日)
4.陸軍中野学校(1966大映)、雲一号指令、竜三号指令、密命、開戦前夜
3.麦秋(1951日) ・・・小津安二郎
2.RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ(2011日)
1.RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語(2010日)
《5月》
9.マッチポイント(2005英)
8.映画 ターミネーター: 新起動/ジェニシス(2015米)
7.イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014英米)
6.濹東綺譚(1992日)
5.ジュラシック・ワールド(2015米)
4.スターウォーズ フォースの覚醒(2015米)
3.レッド・オクトーバー を追え!(1990米)
2.麻雀放浪記(1984日)
1.ミケランジェロの暗号(2011オーストリア)
《4月》
12.記憶探偵と鍵のかかった少女(2013米西)
11.赤い天使(1966日)
10.アンタッチャブル(1987米)
9.ミッドナイトラン(1988米)
8.岸和田少年愚連隊(1996日)
5.ALWAYS 三丁目の夕日'64(2012日)
4.晩春(1949日)・・・小津安二郎
3.卒業(1967米)
2.ツレがウツになりまして。(2012日)
1.エンド・オブ・ザ・ワールド(2012米)
《3月》
1.冬の華(1978日)
《2月》
11.日本侠客伝(1964日)
10.エンド・オブ・ホワイトハウス(2013米)
9.ニューヨーク東8番街の奇跡(1987米)
8.ロード・オブ・ウォー(2005米)
7.リンカーン弁護士(2011米)
6.鑑定士と顔のない依頼人(2013伊) ・・・ジュゼッペ・トルナトーレ
3.超高速!参勤交代(2014日)
2.まあだだよ(1993日)・・・黒澤明
1.スピーシーズ 種の起源(1995米)
《1月》
10.ナイト&デイ(2010米)
4.マザーウォーター(2010日) NHK/BS年越し映画マラソン
3.ベン・ハー(1959米) NHK/BS年越し映画マラソン
2.ジュラシックパークⅢ(2001米) NHK/BS年越し映画マラソン
1.プール(2009日) NHK/BS年越し映画マラソン
今年もおしまい life log 2015年 [日記(2015)]
お薦めの3冊
【読書】
累計65冊。目標の週1冊読書はクリア。
・図書館 →市立図書館を利用し始めました。netで蔵書検索と借入申込が出来るので便利です。新刊も待てばだいたい読めますが(けっこう待たされます)、読書時間と集中力が不足がち。おかげで本代は殆どゼロです。
・漱石 →TV番組『漱石「こころ」100年の秘密』がキッカケで漱石を読み始めました。『源氏物語』が女色の話でびっくりしたのですが、漱石も三角関係とお金の話ばかりで驚きます。ところが、これがけっこう面白い。人間関係がもっとも先鋭的に現れるのが、このふたつなんでしょう。
お薦めの3本
【映画】
累計110本。blogを始めた2005年から10年、DVDと衛星放送ばかりですが累計1000本の映画を見ました。
『ジュピター』『マッドマックス/怒りのデスロード』『ホビット 決戦のゆくえ』『猿の惑星 新世紀』など比較的新しいもの見たのですが、あまり面白くありません。NHKのおかげで、ビリー・ワイルダーを何本か見たのですが、こちらの方が性に合います。極めつけは『ライアンの娘(1970英)』。この映画には参りました。blogの1000本のなかでも、ベスト3に入る映画です。次点が『バペットの晩餐会 』『主人公は僕だった 』。
【トレッキング】
やっとダイトレ完歩しました。と言っても何日にも分けてですが。北尾根コース→大和葛城山→岩橋山→二上山ルートが一番シンドかったです。寄る年波には勝てず、二上山にたどり着いた頃は息も絶え絶え。槇尾山で、六甲から生駒→葛城→金剛を歩いている年配の方に出会いましたが、次はコレですね。
【その他】
電脳→スマホは、root化だなんだと去年までは色々やってきたのですが、道具としてそれなりに使えるようになったので打ち止めです。パソコンは、これはもう只の道具で未だにwindows7。
野草の撮影→散歩だけでは勿体ないので、目につく野草(花)を片端からスマホで撮って遊びました。名前を特定するのはけっこう難しいです。
工作→無線関係の小物を幾つかと、真空管受信機を作りました。技術が無いので実用からはほど遠い代物です。
ネガフィルムのデジタル化→望遠レンズ+マクロコンバーターで実験しました。なんとか目処はついたのですが、百本を越えるネガの撮影は面倒で挫折。専用機を買うしかないようです。
フィルムカメラ→OLYMPUSペンを2台修理しました。現像していないので修理成功かどうかは?です。ペンタックスSPは、カニメが外れず敗退。機械式のカメラの分解はなかなか楽しいです。
ネガフィルムのデジタル化→望遠レンズ+マクロコンバーターで実験しました。なんとか目処はついたのですが、百本を越えるネガの撮影は面倒で挫折。専用機を買うしかないようです。
フィルムカメラ→OLYMPUSペンを2台修理しました。現像していないので修理成功かどうかは?です。ペンタックスSPは、カニメが外れず敗退。機械式のカメラの分解はなかなか楽しいです。
皆さんよいお年を。
映画 バッドサンタ(2003米) [日記(2015)]
ウィリー(ビリー・ボブ・ソーントン)と小人のサーマン(ブレット・ケリー)の二人組の泥棒の話です。ウィリーとサーマンの表向きの仕事は、ショッピング・モールでサンタクロースと妖精小人の格好をして子供と写真に収まるというアルバイト。アルバイトの最後の夜、売場に隠れた(小人だから隠れやすい)サーマンは閉店後にウィリーを引き入れ、ふたりは店の金庫を破って売上を盗むという実は泥棒が「生業」です。
子どもたちにプレゼントを配るサンタが、実は飲んだくれの金庫破りだったというブラックなコメディーです。サンタが泥棒という意外性というか冒涜的なところが、この映画のミソ。一方のサーマンはというと、小人症ながらアルバイト先のモールと交渉しサンタのイベントも取り仕切るというしっかり者で、ちゃんと奥さんもいます。ウィリーが金庫破りをしている間に奥さんが下見した商品を集めるというのですから、しっかり尻に敷かれているのかもしれません。
ウィリーは、これ幸いとマーカスの家に居候を決め込みます。父親の残したベンツはあるは、酒はあるは、スーは訪れるはで、優雅なクリスマスシーズンを送ることになります。ところが、純真無垢なマーカスと暮らす間に、泥棒で酒浸りの落ちコボレが次第に変わってきます。これで改心でもすれば『クリスマスキャロル』ですが、今年もサーマンと金庫破りをしますから泥棒は泥棒。さて、今年のウィリーは何処が変わったのか?というのが、映画のオチです。
まぁ『クリスマスキャロル』です。しかもR-12指定の『クリスマスキャロル』というところが、この映画の真髄?でしょう。『ファーゴ』『ノーカントリー』のコーエン兄弟が製作に携わっていることと関係あるのでしょうか?。
ストーリーもさることながら、ビリー・ボブ・ソーントンのふてぶてしい演技と個性が光る映画です。続編が決まったようで、来年のクリスマスシーズンにはバッドサンタに会えるのですから、今から楽しみ。クリスマスは終わりましたが、お薦めです。
出演:ビリー・ボブ・ソーントン トニー・コックス ブレット・ケリー
映画 フィクサー(2007米) [日記(2015)]
原題、“Michael Clayton”。誰でも連想するのは、マイケル・クライトン(Michael Crichton)ですが、無関係。
弁護士には、訴訟を取り扱う法廷弁護士、もっぱら書類に埋もれる事務弁護士、企業に雇われて法務を担当する企業内弁護士があり、この映画の主人公マイケル・クレイトン(ジョージ・クルーニー)は「フィクサー(揉み消し屋、掃除屋)」と呼ばれる弁護士です。「揉み消し屋」とは穏やかではありませんが、事件は示談で解決する場合が多いですから、このフィクサー弁護士の活躍の場は多そうです。
【クレイトン】
主人公であるクレイトンは、17年も勤めたにもかかわらず弁護士事務所のパートナー(共同経営者)になれず、フィクサーという汚れ役を担当させられています。仕事の憂さをギャンブルで紛らわし、離婚した息子と週1回会うことが唯一の楽しみという、NYの弁護士にしては冴えない生活です。「フィクサー」の将来に不安を感じたクレイトンは、レストランの経営に乗り出しますが、従兄弟に金を持ち逃げされ逆に多大な借金を抱えてしまいます。この「個人的な問題」が延々と描かれますが、ラストを華やかにする伏線です。
【アーサー】
農薬会社が自社製品で大きな環境汚染を引き起こし、30億ドル集団訴訟を起こされます。会社側に立ってこの訴訟を担当するのが、クレイトンが属する弁護士事務所の同僚アーサー(トム・ウィルキンソン)。アーサーは、農薬が人体に深刻な影響を与えると云うことを知りながら販売を続けたという会社の内部文書を入手し、犯罪を犯した会社を弁護することに疑問を感じ精神のバランスを失います。これを克服したアーサーは、依頼人を裏切り原告側に協力して農薬会社の不正を暴こうとします。
【カレン】
『フィクサー』には、もうひとり弁護士が登場します。農薬会社の企業内弁護士カレン(ティルダ・スウィントン)。カレンは、農薬の薬害を隠蔽して訴訟を和解に持ち込むことが仕事です。カレンにはアーサーにあった倫理感は無く、会社の利益を守ることに腐心し、ついには殺し屋を使ってアーサーを殺し真相に近づくクレイトンの車に爆薬を仕掛けます。嘱託殺人は極端ですが、カレンが和解のために演説のリハーサルをする孤独な姿は、企業内弁護士という職業と倫理の間で引き裂かれる姿に他なりません。この演技でティルダ・スウィントンはオスカー助演女優賞です。
和解に持ち込みたい弁護士事務所は、クレイトンにこの問題の「揉み消し」を命じます。アーサーの死の真相を知り薬害事件を知ったフィクサー・クレイトンは、如何なる「掃除、揉み消し」を行うのか、これが『フィクサー』の核心です。
クレイトンの幼い息子が読むファンタジー『王国と征服』という架空の本が登場します。この本には「崇高な目的のために招集された」主人公たちが登場するようで、アーサーとクレイトンは「崇高な目的のために」行動を起こす仕組みになっています。
クレイトンの破綻した生活、アーサーの奇矯な行動、クレイトンの車の爆破から始まり、『王国と征服』という架空のファンタジーが登場するなど構造が複雑ですが、それなりによく練られたストーリーで面白いです。
監督:トニー・ギルロイ
出演:ジョージ・クルーニー トム・ウィルキンソン ティルダ・スウィントン シドニー・ポラック
出演:ジョージ・クルーニー トム・ウィルキンソン ティルダ・スウィントン シドニー・ポラック
村上春樹 女のいない男たち [日記(2015)]
5人の『女のいない男たち』の物語です。
《ドライブ・マイ・カー》
「あの手が、あの指が妻の裸の身体を撫でたのだ、と家福は思った。」
《イエスタディ》
「サリンジャーの『フライニーとズーイ』の関西語訳なんて出ていないでしょう?」
「出たらおれは買うで」
私も買います。ついでに云うと、源氏物語の現代語訳は京都弁で書くべき →谷崎さん。
私も買います。ついでに云うと、源氏物語の現代語訳は京都弁で書くべき →谷崎さん。
《独立器官》
「すべての女性には、嘘をつくための特別な独立器官のようなものがうまれつき具わっている。」
実感!。
実感!。
《シェラザード》
「千夜一夜物語」のシェラザードのように、週に二度語り手のアパートを訪れ、抱き合い、物語をして帰るという主婦の話です。
シェラザードが17歳の頃、片想いの男子生徒の家に忍び込み、彼の持ち物を丹念に調べ、鉛筆を一本盗み代わりに生理用品を置いてくるという奇妙な「空き巣」の物語が語り継がれます。丸善にレモンを置いてきた梶井基次郎の女高生版です。
語り手は、シェラザードが訪れなくなることを怖れ、
「女を失うというのは結局のところそういうことなのだ。現実の中に組み込まれていながら、それでいて現実を無効化してくれる特殊な時間、それが女たちの提供してくれるものだった。」
「女を失うというのは結局のところそういうことなのだ。現実の中に組み込まれていながら、それでいて現実を無効化してくれる特殊な時間、それが女たちの提供してくれるものだった。」
ともっともらしいことを思うのですが、主婦シェラザードは魅力的です。
《木野》
出張から1日早く帰ったため、会社の同僚の上に裸でまたがる妻を見た木野の話です。木野はすぐさま会社を辞め離婚してバーを始めます。そのバーをめぐる怪異譚です。
「そう、蛇というものはもともと両義的な生き物なのよ。そして中でもいちばん大きくて賢い蛇は、自分が殺されることのないよう、心臓を別のところ隠しておくの。」
なにものとも知れぬものが、(たぶん)木野の隠した心臓を探して部屋をノックします。
《女のいない男たち》
「女のいない男たちになるのはとても簡単なことだ。一人の女性を深く愛し、それから彼女がどこかに去ってしまえばいいのだ。」
タイトル通り"boy meets a girl"の短編集です。この短編集で魅力的な登場人物は、《イエスタディ》の木樽と《シェラザード》の主婦です。
タイトル通り"boy meets a girl"の短編集です。この短編集で魅力的な登場人物は、《イエスタディ》の木樽と《シェラザード》の主婦です。
《イエスタディ》は、阪神タイガースのために関西弁を習得したの浪人・生木樽の話(彼は生まれも育ちも田園調布)で、木樽が関西弁でビートルズの"イエスタディ"を歌うと
昨日は/あしたのおとといでおとといのあしたや
となり、彼はサリンジャーの『フライニーとズーイ』の関西語訳が出たら買いたいと言います。語り手は、この不思議な浪人生の恋人とデートをするのですが、恋人はミニスカートの似合う美人で上智大学の仏文科の学生。デートは、ウッディ・アレンの映画を見、イタリアン・レストランでピザを食べキャンティーワインを飲むというもの。語り手が村上であるなら、小説の舞台は1969年です。当時、高倉健の任侠映画を見て「王将」で餃子を食べビールを飲むという「地方」の青春もあったのではないかと思いますが(笑。
詰めが甘かったのですが、『1Q84』でいいところまで追い込んだ主題を放り出して、村上春樹はいつまでこんな小説を書いているんでしょう。
詰めが甘かったのですが、『1Q84』でいいところまで追い込んだ主題を放り出して、村上春樹はいつまでこんな小説を書いているんでしょう。
タグ:読書
ThinkPad L520 [日記(2015)]
安いパソコンを1台手に入れろとうことで、日本橋(大阪)まで行ってきました。前回のNEC PC-VK13MBBCB(i5、1.33MHz、4G、160Gのモバイル)のコストパフォーマンスが良かったので、今回もコレにしようと思ったのですが売り切れ。代わりにThinkPad L520を仕入れてきました。
昔、ThinkPadが好きで、TP360CSEから始まって、530、560X、310、390、A20m、x24、x31、R50e、を使いコレクションアイテムのTP701C(バタフライ)、PalmTop PT110(ウルトラマン)などを揃えました。そう言えばWorkPad、チップカードも使っていました。全部処分して、残っているのはバックライトの切れたウルトラマンだけです。一番使ったのは、CPUを入れ替えてクロップアップしたTP310、DOSで遊んだPT110です。ThinkPadにはひとつひとつに個性があって飽きません。2004年にIBMはパソコン事業を売り飛ばしますが、今となってみれば何と先見の明のあったことかと感心します。以上、感傷と余談。
件のL520です。i3-2310M、2.1GHz、4G、250G、Win7 64bitです。ShopのおせっかいでKingsoftのofficeが入っています。常用のデスクトップがAthlonⅡの3.0 GHz、メモリ4GでWin7 64bitで、大抵のことはこなせますから、netとword、excelならこのスペックなら十分でしょう。OfficeはOpenofficeを入れようと思ったのですが、とりあえずKingsoftを使ってもらいます。アップデートして(半日にかかった!)、Thinkvantageとフリーソフトをいくつか入れて渡しました。
windows10 mobileが出て、PC、タブレット、スマホの垣根がどんどん低くなりつつあります。Continuumというアプリを介して、スマホでPCのソフトが動くらしいです。そうなると、スマホにディスプレイとキーボード、マウスを繋げれば通常のノートやデスクトップは不要ということになります。スマホで作業は苦しいですが、surfeceであればなんとかなりそう。もう少し様子を見て次の課題です。そう言えばw-zero3[es]もT-01Aもwindows mobileでした。キーボード付きが発売されれば欲しいです。
沢木耕太郎 流星ひとつ [日記(2015)]
1979年、沢木が、当時引退を控えた藤圭子にインタビューしたノンフィクションです。あとがきにあるように、ノンフィクションの「方法」を模索する沢木は、文章を一切加えずふたりの会話だけで成り立っている実験的な手法でこの本をまとめ、沢木の「迷い」で出版を思い止まった経緯があります。
2013年藤圭子は投身自殺し、宇多田ヒカルと別れた元夫の「精神を病んだ果ての自殺」というコメントに対抗するように、一度は封印された本書が出版されます。出版の理由を、
2013年藤圭子は投身自殺し、宇多田ヒカルと別れた元夫の「精神を病んだ果ての自殺」というコメントに対抗するように、一度は封印された本書が出版されます。出版の理由を、
彼女のあの水晶のように硬質で透明な精神を定着したものは、もしかしたら『流星ひとつ』しかのこされていないのかもしれない。『流星ひとつ』は、藤圭子という女性の精神の、最も美しい瞬間の、一枚のスナップ写真になっているように思える。
「水晶のように硬質で透明な精神」とは、たとえば昭和48年、家庭内のゴタゴタを週刊誌に書かれ、それが原因で「紅白」を落とされた時の話です。
向こうが出さないないっていうんだから、こっちも出るのやめようよ、来年のNHKのスケジュールをとるのはやめよう、って。そしたら、蒼くなって、そんなことはできないっていうわけ。でも、あたしはあたしの筋を通したかったんだ。選ばれた人より、あたしの方が劣っているとは、どうしても思えない。でも、NHKは劣っているとみなした。だったら、こっちにもNHKを拒絶する自由があるじゃない。
「1970年というと、ぼくが大学を卒業する年だったけど、ほんとに、この年はあなたの〈夢は夜ひらく〉の年だったなあ。
前を見るよな 柄じゃない
うしろ向くよな 柄じゃない
よそ見してたら 泣きを見た
夢は夜ひらく
これを聞くと、ぼくにも、よぎるものがある。何だかはっきりわからないけれど、体の奥の方から泡立つようなものがある」
1960年が『アカシアの雨がやむとき』なら、1970年は『夢は夜ひらく』かもしれません。
タグ:読書
映画 8人の女たち(2002仏) [日記(2015)]
クリスマスの朝、 邸の主人マルセルがナイフで背中を一突きに殺されます。雪に閉じ込められた邸に外部からの侵入者は無く、犯人は邸に居合わせた「8人のおんなたち」のひとり。疑心暗鬼の8人がお互いに動機とアリバイを暴き合ううちに、とんでもない事実が次々と浮かび上がって来るとい、ミステリ風「人間喜劇」です。その8人とは、(ネタバレ)
ギャビー(カトリーヌ・ドヌーヴ)
殺されたマルセルの妻。恋人との恋人の子供を妊ってマルセルと結婚し、ジュゾンを生む。夫への愛は冷めている。ベッドの下から荷造りされた旅行鞄が見つかる。
オーギュスティーヌ(イザベル・ユペール)
ギャビーの妹。男嫌いのオールドミスだが、愛読書はラブロマンス。マルセルを密かに慕っていた。
ルイーズ(エマニュエル・ベアール)
最近雇った若いメイド。実はマルセルの愛人。
ピエレット(ファニー・アルダン)
マルセルの妹。男とを浮名を流し、マルセルにお金をせびりに来る。メイドのシャネルと同性愛関係にある。
シュゾン(ヴィルジニー・ルドワイヤン)
ギャビーの長女だが、実はギャビーが結婚する前に妊っていた不義の子。大学のクリスマス休暇で帰省中にこの事件に巻き込まれる。妊娠していてそれをマルセルに相談するために帰省した。
カトリーヌ(リュディヴィーヌ・サニエ)
ギャビーの次女。推理小説の好きな17歳。シュゾンとともに犯人探しを始める。
マミー(ダニエル・ダリュー)
ギャビーとオーギュスティーヌの母親。破産寸前のマルセルから株券の借用を迫られていた。車椅子で登場するが実は歩ける、つまり殺人は可能。
シャネル(フィルミーヌ・リシャール)
古くからのメイドで、ジュゾンとカトリーヌの乳母。ピエレットと同性愛関係にある。事件の真相を知っている口ぶり。
さぁ犯人は誰か?。殺人がおこったというのに歌あり踊りありで、緊張感に欠けます。どうやらミステリーではなさそうだと思って見ていると、「8人の女たち」の過去が次々に暴露され、思わず殺されたマルセルに同情したくなります。で、ラストはというと、フランス風のエスプリの効いたオチが用意されています。面白いです!、面白いですがミステリだと思って真面目に見ているとバカをみます(笑。
監督:フランソワ・オゾン
出演:ダニエル・ダリュー カトリーヌ・ドヌーヴ ヴィルジニー・ルドワイヤン ファニー・アルダン
映画 おはよう(1959日) [日記(2015)]
中学生と小学生の兄弟が引き起こすちょっとした「事件」を軸に、主婦達の井戸端会議、兄弟の若い叔母と彼等が英語を習いに行っている青年の淡い触れ合いが描かれます。小津安二郎の世界には違いないでしょうが、『東京物語』とは少し毛並みの違った”ホームドラマ”です。
父親(笠智衆)と母親(三宅邦子)に叱られ、実(設楽幸嗣)と勇(島津雅彦)は全く口を利かないという反抗に打って出ます。英語を習いに行くと偽って、近所にTVを見に行っていたことが原因で叱られたのです。実と勇は、家にTVが無いから見に行くんだTVを買ってくれ、と駄々をコネ、男は無駄口を叩くなと父親は怒り出します。言葉を荒らげる笠智衆も珍しい。じゃぁ口を利かない!と実は家でも学校でも一言も口をきかない反乱に出ます。兄に引きづられて幼い弟の勇までダンマリを決め込む始末、なかなかカワイイです。
TVが未だ珍しい当時、人気のあった相撲中継を近所で見せてもらうわけです。TV、洗濯機、冷蔵庫が「三種の神器」と呼ばれた1950年代末の話で、団塊の世代には懐かしい話かもしれません。洗濯機を近所が買ったことが、自治会費未納事件とからんで近所の奥さん連中の話題となり、この時代を物語っています。
彼らが住むのは、大きな川の土手の下、同じ形、同じ間取りの住宅で、玄関のガラス戸を開ければすぐ隣、玄関越しに近所の噂をネタに井戸端会議が始まるという濃密な共同体が形成されています。この息苦しさに嫌気が差し、若い夫婦は引っ越しますが、引っ越し荷物のなかに「ナショナル」の炊飯器があったりで、日本が高度成長へ向かう前夜ですね。
TVが未だ珍しい当時、人気のあった相撲中継を近所で見せてもらうわけです。TV、洗濯機、冷蔵庫が「三種の神器」と呼ばれた1950年代末の話で、団塊の世代には懐かしい話かもしれません。洗濯機を近所が買ったことが、自治会費未納事件とからんで近所の奥さん連中の話題となり、この時代を物語っています。
彼らが住むのは、大きな川の土手の下、同じ形、同じ間取りの住宅で、玄関のガラス戸を開ければすぐ隣、玄関越しに近所の噂をネタに井戸端会議が始まるという濃密な共同体が形成されています。この息苦しさに嫌気が差し、若い夫婦は引っ越しますが、引っ越し荷物のなかに「ナショナル」の炊飯器があったりで、日本が高度成長へ向かう前夜ですね。
1959年には現在の天皇と皇后の結婚式があり、このパレードが放映されることでTV(モノクロ)は一気に普及します。赤提灯で、酔客がTVによる「一億白痴化(大宅壮一)」を話題にしています。兄弟の反乱が成功したわけでもないのですがこの家にもTVが入り、それがキッカケで勇と実は口を利くようになり、昭和34年の物語は幕を閉じます。
出演:設楽幸嗣 島津雅彦 三宅邦子 笠智衆 佐田啓二 久我美子
タグ:BSシネマ