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映画 誰よりも狙われた男(2014英米独) [日記 (2024)]

誰よりも狙われた男 スペシャル・プライス [DVD]
誰よりも狙われた男 (ハヤカワ文庫 NV ル 1-23)
 ジョン・ル・カレ原作(2008年)のエスピオナージュで、ドイツのテロ対策諜報員がイスラム過激派に流れる資金源を潰す話です。『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』等で冷戦下のスパイを描いてきたジョン・ル・カレは、チェチェン紛争と欧州難民、イスラム過激派を背景にエスピオナージュを描いたわけです。

 舞台はハンブルクですが、演じるのはフィリップ・シーモア・ホフマンでセリフは英語。 テロ対策チームのリーダーのバッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、中東に援助物資を送る人権団体を隠れ蓑に過激派に資金援助するアブドゥラ博士を追っています。チェチェンのイスラム過激派カルポフがハンブルクに現れた情報がもたらされ、ストーリーが動き出します。
 バッハマンはカルポフを泳がせて国内のイスラム過激派を炙り出す計画に着手します。ガルポフは、父親の遺産1000万ユーロを引き出すために、左派弁護士アナベル・リヒター(レイチェル・マクアダムス)を頼り、遺産を管理する銀行家トミー・ブルー(ウィレム・デフォー)との仲介を依頼します。バッハマンは、リヒターを利用してガルポフとアブドゥラ博士を繋ぎ、1000万ユーロがイスラム過激派に流れる証拠を掴んで資金ルートの壊滅を目論みます。この計画に一枚噛みたいCIA、チェチェンの過激派を逮捕したいドイツ公安?、カルポフを救いたい左派弁護士、とそれぞれの思惑が交差する中バッハマンの謀略が進行します。

 映画の核はカルポフ、ロシア軍人が15歳のチェチェン女性を犯し生まれたチェチェン紛争の申し子です。過激派としてロシアに捕まりトルコを経てドイツに逃れたというチェチェン難民です。1000万ユーロはこのロシア軍人が悪事で得た汚れた遺産だと言うのです。 バッハマンは、カルポフが父親を憎んでいることを利用して、汚れた遺産を難民救済に寄付することでカルポフ地震が救済されるとリヒターに説かせます。1000万ユーロは、ブルーの銀行を通じてアブドゥラ博士→イスラム過激派へと流れる証拠を握り、アブドゥラ博士の資金提供ルートを潰そうとします。
 アブドゥラ博士の送金先は合法的なNGOです。いざ書類にサインする際、送金先を一箇所だけ過激派のダミーへ変更します、アブドゥラ博士の犯罪の瞬間です。バッハマンは博士を逮捕しますが、その時…この辺りが諜報の世界です。

 ドイツの諜報機関、CIAがしのぎを削り、拉致、誘拐、盗聴盗撮何でもありの諜報の世界です。ミッション・インポッシブルなどに比べると地味な映画ですがその分リアリティがあり、スパイらしく無いフィリップ・シーモア・ホフマンの演技もあって見応えはあります。ジョン・ル・カレの小説は、『裏切りのサーカス』『寒い国から帰ったスパイ』『ナイト・マネージャー』『ナイロビの蜂』が映画化されています、いずれも面白いです。グレアム・グリーン同様、カレもMI6出身です。

監督:アントン・コービン
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、レイチェル・マクアダムス、ウィレム・デフォー、ロビン・ライト

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宮古島 土産 [日記 (2024)]

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 宮古島のお土産もらいました。停電があったそうで、貴重な体験だったようですw。

タグ:絵日記
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焼き天ぷら [日記 (2024)]

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 少量の油で天麩羅が出来る「焼き天ぷら」をやってみました。検索すると色々出て来ます。材料はサツマイモ、玉ねぎ、人参、イカの冷蔵庫の余物。イカは短冊に切ってトースターで水分を飛ばすと、ハネません。サツマイモの天ぷらとかき揚げを作ります。

 火の通りを良くするように材料は5mm程度に薄く切る様です、衣はシャブシャブでいいらしい。揚げると言うより、確かに油で焼く感覚です。
 サツマイモ →確かに天ぷらです、大成功。
 かき揚げ →衣が薄いので具が纏まりません。残った衣を掛けて無理やり纏めましたが、油っぽくなりサクッとはいきません、失敗。つゆを掛けて天丼か天ぷらウドンで食べると気にならず、美味しいです。つゆは醤油、みりん、麺つゆうぃテキトーに混ぜるだけ。

 単体だと上手くいくようですから、次回はエビを揚げてみます。油も少量ですから後処理も手軽です。
  • IMG_0568.jpg ←天丼

タグ:絵日記
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NHKドラマ 『舟を編む 〜私、辞書つくります』(2) [日記 (2024)]

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紙とデジタル
 続きです。ドラマ『舟を編む』も第7話まで来て『大渡海』の出版は風前の灯火となります。出版不況で、紙での出版は止めてデジタル一本にしろという司令が下ります。デジタルであれば文字の拡大も自由であり改訂も容易だというわけです。
 紙の辞書前提の辞書編集部は『大渡海』専用の紙の手当までしているわけですから大慌て。紙の辞書のメリット探しが始まります。行き着いたのが「セレンディピティ」。デジタル辞書は目的の語句を一発で表示できますが、紙の辞書は語句の前後で思いがけない発見(セレンディピティ)があるというのです。また、紙の辞書はパラパラめくっているいるだけで興味深い語句に出会え、「読む」辞書の側面も加わります。『新解さんの謎』には辞書を読む面白さが記されています。これはよく分かります。書店の減少が云々されています。本を買いに行き、書棚を眺めるうちに目的の本以外を買ってしまった、その本が面白かったということはよくありました。
 で、どちらに軍配が上がるのか?。みどりは紙の辞書とデジタル辞書をセットで販売する戦略に出て、『大渡海』デジタル化の危機を乗り切ります。

 辞書の出版をデジタルに一本化すると云う方針はもっともな話で、これには一理あります。昨今は本もデジタルで読む時代で、紙の辞書を開くことは殆どありません。テキスト派ですから辞書はよくと使いますが、紙の辞書ではなくスマホに仕込んだ「広辞苑」「新解さん(新明解国語辞典)」と、趣味で「万葉集」入れてます。デジタル辞書は、何時でも何処でも使えて複数の辞書を持って歩けるメリットは紙の辞書を大きく上回り、串刺し検索という離れ技も出来ます。「あたらよ(可惜夜)」を入力すると(iPhoneで変換できる!)広辞苑と万葉集の両方でヒットします。広辞苑がポケットに入っているんですから愉快です。以上余談です。

コロナウィルス
 コロナウィルスもしっかり取り入れられています。ひとつはパンデミックで現れた新しい語彙をどの程度『大渡海』に採り入れるかという問題。言葉の寿命と辞書の鮮度に関わる問題です。校了の迫っている編集段階で語彙を増やすことは全体に影響を及ぼすわけです。限られたページ数に何を入れるか何を省くかは、なるほど重要な問題です。ちなみに「パンデミック」という語彙は、「新明解第五版」「広辞苑第四版」には載っていませんw。

 もうひとつが、言葉の持つ力です。香具矢の店は休業を余儀なくされ、彼女は調理人の腕を維持するために京都に向かいます。この時、京都の香具矢と東京の馬締を繋ぐのが「言葉」だというのです。緊急事態宣言で外出が制限され分断された世界で、今こそ「言葉」こそが人と人を繋ぐというわけです。

 『大渡海』は無事発刊され、ドラマ『船を編む』は終わります。NHKらしいと言えばらしいですが、なかなか面白かったです。

原作:三浦しをん
出演:池田エライザ 野田洋次郎

タグ:映画
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映画 ナイブズ・アウト(2019米) [日記 (2024)]

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密 [DVD]
 名探偵が殺人事件の謎を解くと云うフーダニット(Who done it )の古典的な映画です。探偵がダニエル・クレイグで被害者がクリストファー・プラマーという『ドラゴン・タトゥーの女』のコンビ。
 ミステリー作家のハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)が誕生パーティの翌朝に頸動脈を切られた遺体で発見されます。ハーランのミステリーは30ヶ国語で8000万部売れたという大作家。警察は自殺と判定しますが、有名な探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)の登場で捜査は振り出しに戻る、というところから映画はスタートします。匿名の人物からブランの元にハーランの死亡(自殺)記事と現金が送られ、ブランは捜査を始めたのです(これが伏線)。

 殺人事件として捜査すると、ハーランの家族は怪しさ満点。長女の夫はハーランに浮気を知られ娘に知らせると脅され、ハーランの小説を出版する出版社社長の次男は、映画化をハーランに反対され社長の座があやうくなっています。ハーランの亡き長男の妻は、娘の学費をハーランから二重に詐取、それがバレて援助を打ち切ると宣告され、ハーランの孫は素行が悪いため誕生パーティでハーランから遺産相続権剥奪を言い渡されます。ハーランの死はこの4人にとっては都合がいいわけです。殺人事件ならこの4人の誰かが犯人?、実はこれがミスリード。

 探偵ブランは、ハーラン付きの看護師で彼の日常を知るマルタを助手に事件に挑みます。マルタは、嘘をつくと必ず吐いてしまうという奇癖の持ち主で、このドラマの信用できる語り手です。
 マルタによって真実が語られます。マルタは何時も通り鎮痛剤を100mg、モルヒネを3mgをハーランに注射しますが、誤って鎮痛剤3mgとモルヒネ100mgを注射してしまいます。ハーランは、モルヒネによる錯乱状態のなか救急車を拒否し頸動脈切って自殺したというのです。一見、多額の遺産をめぐる殺人事件という装いで始まりますが、ブランによって事件に隠されたもうひとつの顔が浮かび上がります。ブランに捜査を依頼した匿名の人物とは誰か?、誰が遺産を相続するのか?、ハーランは自殺なのか他殺なのか?。

 弁護士によってハーランの遺言が公開され、何と!全財産は看護師のマルタに贈られます。ハーランは家族に愛想を尽かし、誠実で勤勉な看護師に全財産を贈ったわけです。この事実を事前に知った家族のひとりが、事件の新聞切り抜きと現金を匿名でブランに送り、ハーランの自殺を殺人に誘導してマルタの相続権を奪おうとしたわけです。
 家族の裏切りに愛想を尽かすハーラン、誠実な看護師、赤の他人の看護師に遺産を取られるハーランの家族、の3題噺です。結局ハーランの死は自殺で、「名探偵」ブランは遺産相続でモメるハーラン家のゴタゴタを整理した弁護士の様なものです。この映画はフーダニット(Who done it )ではなく、「名探偵と刃の館の秘密」なる副題は少々言い過ぎでしょう。
 Wikipediaによると「批評家支持率は97%、平均点は10点満点で8.34点」だそうです。ミステリーは、事件の謎解きだけではなく動機や背景とセットになって魅力的になると思うのです。そうしたものがスッポリ抜け落ちて遺産相続という即物的なものでが動機では、面白さ半減。名探偵の鮮やかな謎解きがあったにしてもです。昨年観た『ザリガニの鳴くところ』の方がはるかに面白いです。ところがこの映画の評価は、Wikipediaによると「支持率は34%、平均点は10点満点で5.2点」だそうですw。
 
 第2作『ナイブズ・アウト/グラス・オニオン』もあるようですが、ダニエル・クレイグ演じるブノワ・ブランは、ホームズやポアロのような名探偵と成れそうにもない、というのが第一作を観た感想。ダニエル・クレイグは007や『ドラゴン・タトゥーの女』のイメージが強すぎて、新しいキャラに脱皮するのは大変だと思います。

監督:ライアン・ジョンソン
出演: ダニエル・クレイグ、アナ・デ・アルマス、クリス・エヴァンス、クリストファー・プラマー

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トマト、茄子 植えました [日記 (2024)]

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 土を耕さないゲイブ・ブラウンの「不耕起栽培」で植えてみました。我が家の庭は粘土質のため菜園には向かないのですが、果たしてうまくいくかどうか?。

タグ:絵日記
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日曜大工 ウッドデッキのラティス修理 [日記 (2024)]

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 10年経って見苦しくなったウッドデッキのラティスを修理しました。2枚あるのですが、1枚は腐食して修理不可。この手のものは木材の継ぎ目が腐食するので、再塗装して継ぎ目に塗料をたっぷり流し込みました、後5年は大丈夫?。
 ラティスの設置で網戸を破ってしまい、昔修理した網の残りをテキトーに切ってテグスで貼り付け。家中の網戸が相当劣化しているので、今年辺り全面張り替えです。1日2枚、1周間はかかりそう。
IMG_0515.jpg ←網戸の繕い

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映画 追いつめられて(1987米) [日記 (2024)]

追いつめられて [DVD]  原題、no way outo=逃げ場の無い →邦題「追いつめられて」。ケビン・コスナーとジーン・ハックマンのサスペンスです。ミステリーには、最初に犯人が明かされ警察や探偵が犯人を追い詰めてゆく「倒叙もの」という分野があります。この映画も一種の「倒叙もの」です。

 大統領の再選祝賀会で、海軍少佐のファレル(ケビン・コスナー)はスーザン(ショーン・ヤング)と出会い恋に落ちます。ファレルはペンタゴンに異動し国防長官ブライス(ジーン・ハックマン)の部下としてCIAとの連絡官となります。スーザンは実はブライスの愛人、ファレルは上司の愛人と関係を持ち、この三角関係の中で殺人が起きます。ブライスはスーザンの相手がファレルとは知らないわけですが。

 ファレルとスーザンが密会中ブライスがスーザンの元を訪れ、ファレルは追い出されます。ブライスはスーザンの浮気を疑い、揉み合っているうちに誤ってスーザンを殺してしまいます。ブライスの告白を受け、プリチャード(ウィル・パットン)はブライスを護るためスーザンの部屋に行き証拠隠滅を図ります。プリチャードは、KGB諜報員ユーリが国防長官の愛人スーザンに近づき、痴情のもつれでスーザンを殺したという筋書きで事態の収集を図ろうとします。国防省のスパイ事件としてCID(犯罪操作司令部)に捜査を委ね、ファレルに指揮をとらせ、さらにユーリを暗殺して事件を闇に葬るため特殊部隊まで用意します。

 ファレルは、事件の直前までスーザンの部屋にいた自身も疑われる可能性があり、CIDの一員として上司であるブライスの殺人を立証し、自分を護るという困難な立場に追い込まれたわけです。CIDは、スーザンに残された精液から血液型を割り出し、胃の内容物とカード履歴から当日の彼女の立ち寄り先を特定し(二人はデートしていた)、プリチャードが部屋で見つけたポラロイドカメラの失敗ネガを解析し犯人像に迫ります。このネガはスーザンがファレルを写したもので、ネガが解析されれば、ファレルに疑いがかかります。事件前日のデートの目撃証人も現れ、次第にファレルは「追いつめられて」ゆく辺りがこの映画の山場です。犯人がブライスであることは分かっていますから、犯人を暴くミステリーではなく、ファレルが殺人犯として「追いつめられて」ハラハラドキドキのサスペンスです。

 ファレルはスーザンとブライスの関係を示す証拠を手に入れ、プリチャードは、命を張って護った上司に裏切られて自殺し、一件落着。但し、オチがあります、ナルホドw。

 Amazon primeにあったので何となく観たのですが、思わぬ拾い物でした。恋人を殺された主人公が三角関係の相手を犯人として「追い詰め」、その相手が男が主人を殺人犯として「追い詰め」るという二重構造で、なかなか面白いです。『ブレードランナー』のレイチェル、ショーン・ヤングのセミヌードもありオススメですw。ケヴィン・コスナーは最近は話題になりませんが、いい映画が多く結構好きです。監督・脚本・製作・主演の西部劇『Horizo​​n: An American Saga 』が2024年公開される様で楽しみです。

監督:ロジャー・ドナルドソン
出演:ケヴィン・コスナー、ジーン・ハックマン、ショーン・ヤング

当blogのケビン・コスナー
 追いつめられて(1987)・・・このページ
 ダンス・ウィズ・ウルブズ(1990)監督・製作
 JFK(1991)
 ワイアット・アープ(1994)製作
 ウォーターワールド(1995)製作
 13デイズ(2000)
 ワイルド・レンジ 最後の銃撃(2003)監督・製作

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NHKドラマ 『舟を編む』(1) [日記 (2024)]

舟を編む (光文社文庫)drama_funeamu_1222_p01.jpeg
 友人から勧められてNHKのドラマ『舟を編む』を観ています、なかなか面白い。映画『舟を編む』原作は三浦しをん)は、辞書の編纂を背景に、主人公・馬締(マジメ=真面目)と馬締の下宿の娘で板前の香具矢のラブストーリーでした。ドラマの方は、華やかなファッション雑誌編集部から地味な辞書編部に異動して来た岸辺みどり(池田エライザ)を主人公に、語釈(語句の意味)などの編集と人間関係が絡む面白さ、岸辺みどりのビルドゥングスロマンです。
  辞書など使ったこともないというドラマの方は、みどりは、毎月新刊を送り出す雑誌編集に比べ、一冊の出版に16年かける辞書編集と語釈に翻弄されます。
 中型辞書『大渡海』編集主任の馬締(野田洋次郎)、馬締の下宿先の娘・香具矢、編集主幹の松本先生、馬締の前任者の嘱託・荒木など登場人物は概ね映画と同じです。ドラマの面白さは、みどりが辞書編集を(いい意味で)引っ掻き回す面白さと、彼女自身が成長してゆく面白さです。

語釈 恋愛
 『大渡海』では、「恋愛」の語釈は「異性同士が互いに慕い合うこと」と予定されています。みどりは、多様性が尊重される今日恋は男と女の間に限らないと異議を唱えます。馬締は辞書の語釈には<典型的例>が必要だと反論します。例えば兎の<典型的例>は「耳と後ろ足が長く飛び跳ねる…」であり、『大渡海』には「耳が長い」という語釈が必須だと答えます。耳の短いウサギが辞書をひいて「ウサギは耳が長い」という語釈を見つけたとき傷つくというのです。そんな「舟」には乗りたくない、と。ウサギが辞書をひく!?、笑いますが、こうしたユーモアがこのドラマを面白くしています。

熟字訓 カツカレー
 辞書編集部には月一でカツカレーの会があるそうです。社食で出るカツカレーを食べる会に過ぎません。荒木さんによると

 カツはカツとしてカレーと出会い、カレーはカレーとしてカツと出会う。而して汝、汝としてカツカレーと出会う。

という事になり、松本先生はみどりに「熟字訓」の講義を始めます。「微風」はそよ風と読みますが、「微」一文字では「そよ」とは読みません。「微」は「風」と出会って初めて「そよかぜ」となります(紅葉、土産、今朝、昨日など)。

 私は誰と出会って何になるんでしょう?

と、みどり。単なるアテ字だと思っていたのですが「熟字訓」というんですね。一つ賢くなりました。NHKらしいと言えばらしいですが、なかなか良くできた面白いドラマで。TVドラマなど観ないのですがこれはオススメです。BSなのでNHK+で見ることは不可、そのうち再放送やるでしょう。

原作:三浦しをん
出演:池田エライザ 野田洋次郎

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ゲイブ・ブラウン 土を育てる(2022NHK出版) [日記 (2024)]

土を育てる 自然をよみがえらせる土壌革命 副題は「自然をよみがえらせる土壌革命」。畑は耕すものと思っていたのですが、耕さない、土を起こさないという「不耕起栽培」という農法があるそうです。著者は、アメリカ、ノースダコタ州で2400万㎡の農園を経営する農園主です。平均3万㎡の日本の農家も2400万㎡の農園も、農業の原則は「土を育てる」ことにある、と言うのがブラウンさんの主張です。我が家の1坪の家庭菜園も同じ?というわけですw。

 1991年、ブラウンさんは奥さんの父親から250万㎡の農場を引き継ぎます。4年間の赤字となり、肥料や農薬も買えず手探りでたどり着いたのが「不耕起農法」だったそうです。この「不耕起農法」によって20年余で農場は10倍に拡大したわけです。成功の源「不耕起農法」とは何か?と言うのが本書です。著者よると、土地を耕すと地中の微生物が減り土地が痩せるから耕さない方がいいそうです。クローバーなど数種類の”カバークロップ”を植えると、植物の根が土中の菌類などを育て土を肥えさせると言います。そう言えば昔は春になると田圃が一面レンゲ畑でした、アレです。園芸でもグランド・カバープランツというのがありますね。原理は、

植物は空気中から二酸化炭素を取り込み、水と結合させて単糖類をつくり出す。この光合成産物”と呼ばれる単糖類は、生命に欠かせない成分で、植物はこれらの糖類を多種多様な化合物に変容させる。 化合物の多くは植物自身の成長に使われるが、相当量は根の先端部(根端)に届けられ、“根滲出物”として地中に漏れ出していく。(p78)

 この滲出物を地中の微生物が食べ、植物と微生物の共生が土を豊かにし通気性、保水性のある「土を育てる」というのです。「不耕起農法」とは土地をひとつの生態系として管理することだ言います。

 これを勝手に解釈すると、庭の雑草をカバークロップと考えるとw、雑草が大きくなっても、「土を耕しているんだ、生態系だ」、と考えればいいわけです。草むしりをサボる口実に最適な本です。カバークロップの代わりにクローバー(シロツメクサ)でも植えてみようかw。

土の健康の5原則
  1. 土をかき乱さない →耕さない
  2. 土を覆う →雑草でもいい?
  3. 多様性を高める → 複数のカバークロップ
  4. 土の中に「生きた根」を保つ →草むしりしなくていい?
  5. 動物を組み込む →せいぜい小鳥か昆虫。害虫を食べてくれる?

タグ:読書
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