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BSシネマ ワイアット・アープ(1994米) [日記(2013)]

ワイアット・アープ スペシャルエディション [DVD]
 最近あまり話題とならないケビン・コスナーですが、個人的にはけっこう好きで、『フィールド・オブ・ドリームス』や『パーフェクト・ワールド』は傑作だと思っています。製作、監督業では、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』でオスカーを獲ったのが1990年、その後『ワイアット・アープ』『ウォーターワールド』で失敗し『ワイルド・レンジ』で復活するかに見えたのですが、その後低迷が続いているようです。駄作と言われる『ウォーターワールド』ですが、SFアクション映画としてはいい線いっていると思うのですがね。
 で、『ウォーターワールド』と並ぶケビン・コスナーの失敗作(といわれる)『ワイアット・アープ』が放映されていたので見てみました。ワイアット・アープは、『荒野の決闘』を始めとして何本も映画化されています。西部劇の定番みたいなものですからいろんな角度で描くことが可能で、ケビン・コスナー版ワイアット・アープは如何に?というわけです。 

 結論からいうと、面白さとは何かということを考えさせられる映画です(笑 →つまり、面白くない。第一に3時間と長いうえにストーリーが冗長、小さなプロットを積み重ねメリハリが利いていない。ワイアット・アープの事跡(伝説)を忠実に再現したことが裏目に出たようにも思います。
 先日見たジョンス・タージェス『OK牧場の決闘』では、ワイアットとドク・ホリデイがダッジシティで友情を結ぶあたりから始まり、OK牧場の決闘で終わっています。ケビン・コスナー版では、ワイアットのイリノイ州の少年時代から始まり、カンザス州のダッジシティ→アリゾナ州のトゥームストーン→OK牧場の決闘を経てクラントン一家との復讐戦まで、ほぼその半生が描かれます。

 OK牧場の決闘は、アープ兄弟VS.クラントン一家の闘いで、冒頭で、アープ一家の強い結束が描かれます。アープ一家の父親をジーン・ハックマンが演じています。この世で一番信用できるのは家族だ!と頑固な家父長ぶりはなかなかのものです。この導入部分の挿話で、後のワイアットを形成するいくつかのエピソードが描かれます。ワイアットは結婚しますが、わずか1年で愛妻を病気で失い酒浸りの生活に落ちぶれます。強盗を働いて捕まり、あわや縛り首かというところを父親に助けられ、奮起してバッファロー・ハンターに転向、ここでバット・マスターソン兄弟と知り合います。バット・マスターソン!→ジーン・バリー主演の連続TVドラマがありましたが、バット・マスターソンが実在の人物だったと初めて知った次第です。

 で、ワイアットとバットはダッジシティで保安官になります。保安官は選挙で選ばれますから、正確には臨時雇いの保安官助手です。この映画も『OK牧場の決闘』もそうですが、ワイアットが保安官という描き方で、ワイアットの下に兄のヴァージル、弟のモーガン、バットがいるような描き方ですが、ダッジシティーでもツームストーンでも、ワイアットは正式に保安官となったことはないようです。逆にのヴァージルとバットは後に選挙を経て正式な保安官となっています。
 この時代の西部の保安官は胡散臭い存在だったようで、保安官をやりながら酒場や売春宿を経営するということが普通でないまでもママあったそうです。映画でも、ワイアットが酒場の賭博場でディーラーをやっているシーンがあります。保安官とならず者は紙一重の存在のようです。この辺りは『アルパーサの決闘』でも、ガンマンのエド・ハリスとヴィゴ・モーテンセンが保安官に雇われるという設定です。

 もうひとつ面白いのは娼婦です。ワイアットの2番めの妻マティ(正式に結婚はしていない)も3番目の妻で彼の最期を看取ったジョージーも元娼婦です。映画で、酒場を経営する兄のジョージは娼婦と結婚しており、しかも妻は現役の娼婦。気にならないか?と尋ねるワイアットに、そのほうが酒場が繁盛する、お前気にするか?と、ジョージは逆にワイアットに尋ね、ワイアットは全然、と答えます。どうも、女性の絶対数が不足している西部では、娼婦と結婚することがそれほどとっぴな行為だったようではなさそうです。日本でいえば、芸者の身請けのようなものでしょうか。
 ジョージーの場合など、郡保安官と三角関係の果ての結婚(正式ではない)です。

 「OK牧場」という牧場で決斗をしたようなイメージですが、正確には「OKコラール」での銃撃戦です。これは『OK牧場の決斗』でもはっきりと「コラール」となってますが、まだまだ「牧場」のイメージです。実態は、街の小さな駐車場のイメージで

フレーモント通りにある写真館とフライ宿の間の空き地で起こった。広さにすれば幅が5メートル、奥行きが7メートルあるかないかのとてつもなく狭いスペースで、至近距離で撃ち合ったのだ
                           (フロンティア時代のアンチヒーローたち~西部アウトロー列伝 Part3

だそうです。この映画では、ワイアットたちがクラントン一家の武装解除に行って突発的に起きた銃撃戦というイメージで描いています。
 というようなことは、すべて↑の「アウトロー列伝」からの受け売りです。

 けっこう陰影をもった怪しいワイアット・アープが、何故西部劇のヒーローとなったかというと、彼が80歳まで生きたことです。証人が死んでしまえば何を言ってもどう作ってもすべて真実で通ります。その「真実」を、ジョン・フォードなどのハリウッドの映画製作者に売り込んで、次第に伝説が出来上がっていったのでしょうね。

 でお薦めかというと、はっきり言って退屈です。

【当blogのケビン・コスナー】
ダンス・ウィズ・ウルブズ(1990)監督・製作・出演
JFK(1991)
ワイアット・アープ(1994)製作・出演
ウォーターワールド(1995)製作・出演
13デイズ(2000)
ワイルド・レンジ 最後の銃撃(2003)監督・出演・製作

監督:ローレンス・カスダン
製作:ケビン・コスナー
出演: ケビン・コスナー デニス・クエイド、ジーン・ハックマン トム・サイズモア

タグ:BSシネマ
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