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NHKドラマ 『舟を編む』(1) [日記 (2024)]

舟を編む (光文社文庫)drama_funeamu_1222_p01.jpeg
 友人から勧められてNHKのドラマ『舟を編む』を観ています、なかなか面白い。映画『舟を編む』原作は三浦しをん)は、辞書の編纂を背景に、主人公・馬締(マジメ=真面目)と馬締の下宿の娘で板前の香具矢のラブストーリーでした。ドラマの方は、華やかなファッション雑誌編集部から地味な辞書編部に異動して来た岸辺みどり(池田エライザ)を主人公に、語釈(語句の意味)などの編集と人間関係が絡む面白さ、岸辺みどりのビルドゥングスロマンです。
  辞書など使ったこともないというドラマの方は、みどりは、毎月新刊を送り出す雑誌編集に比べ、一冊の出版に16年かける辞書編集と語釈に翻弄されます。
 中型辞書『大渡海』編集主任の馬締(野田洋次郎)、馬締の下宿先の娘・香具矢、編集主幹の松本先生、馬締の前任者の嘱託・荒木など登場人物は概ね映画と同じです。ドラマの面白さは、みどりが辞書編集を(いい意味で)引っ掻き回す面白さと、彼女自身が成長してゆく面白さです。

語釈 恋愛
 『大渡海』では、「恋愛」の語釈は「異性同士が互いに慕い合うこと」と予定されています。みどりは、多様性が尊重される今日恋は男と女の間に限らないと異議を唱えます。馬締は辞書の語釈には<典型的例>が必要だと反論します。例えば兎の<典型的例>は「耳と後ろ足が長く飛び跳ねる…」であり、『大渡海』には「耳が長い」という語釈が必須だと答えます。耳の短いウサギが辞書をひいて「ウサギは耳が長い」という語釈を見つけたとき傷つくというのです。そんな「舟」には乗りたくない、と。ウサギが辞書をひく!?、笑いますが、こうしたユーモアがこのドラマを面白くしています。

熟字訓 カツカレー
 辞書編集部には月一でカツカレーの会があるそうです。社食で出るカツカレーを食べる会に過ぎません。荒木さんによると

 カツはカツとしてカレーと出会い、カレーはカレーとしてカツと出会う。而して汝、汝としてカツカレーと出会う。

という事になり、松本先生はみどりに「熟字訓」の講義を始めます。「微風」はそよ風と読みますが、「微」一文字では「そよ」とは読みません。「微」は「風」と出会って初めて「そよかぜ」となります(紅葉、土産、今朝、昨日など)。

 私は誰と出会って何になるんでしょう?

と、みどり。単なるアテ字だと思っていたのですが「熟字訓」というんですね。一つ賢くなりました。NHKらしいと言えばらしいですが、なかなか良くできた面白いドラマで。TVドラマなど観ないのですがこれはオススメです。BSなのでNHK+で見ることは不可、そのうち再放送やるでしょう。

原作:三浦しをん
出演:池田エライザ 野田洋次郎

タグ:映画
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