ナチス占領下のオランダを舞台に、ユダヤ人迫害とレジスタンス運動を描いています。この手の映画には『シンドラーのリスト』『戦場のピアニスト』『ディファイアンス』などがありますが、『ブラックブック』はミステリーの味付けで娯楽色強い映画となっています。

 ナチスによって家族を殺されたユダヤ人のエリス(カリス・ファン・ハウテン)が、レジスタンスのスパイとなってナチスの司令部に潜り込みます。親衛隊大尉ミュンツェ(セバスチャン・コッホ)に身を任せ、執務室に隠しマイクを仕掛けレジスタンスに情報を流します。ナチス親衛隊大尉ともなると、悪の権化の様に描かれるのが普通ですが、この
ミュンツェの設定は変わっています。ドイツの敗北を見越し、これ以上の流血を避けるためにレジスタンスのリーダーと裏で取引をしたり、それがバレて死刑を宣告されたり、あろうことかエリスは恋に陥ってしまいます。趣味が切手の蒐集というのも笑わせます。