本を運ぶ男はイーライ(デンゼル・ワシントン)。戦争でオゾン層が破壊され紫外線の増加によって生き残った人類も滅びます(映画では全員サングラスをかけています)。その戦争の原因のひとつとされる『本』は焚書となり、最後の一冊をイーライが持っています。彼は天啓によって本を発見し、『本を西へ運べ 本を運ぶ道は示される 阻むものは退けられる』という声に導かれるように西を目指します。何処かを目指していると云うのではなく、西に行けば何かが待ち受けていると云う確信です。
映画は、この『本』にはいったい何が書かれているのか?、西でイーライを待ち受ける運命は?、この辺りの謎でひっぱります。
イーライの物語に精彩を添える?のが暴力で町を支配するカーネギー(ゲイリー・オールドマン)。自分の支配を強めるため、支配の道具として『本』を探しています。戦争の原因ともなって焚書となり、暴力団の親分が『武器』として欲しがる『本』とは何か?です。最後はちょっと拍子抜けする結末なんですが、ソラーラ(ミラ・キュニス)をヒロインに続編を作るつもりなんでしょうか?
2010年に、似たような終末ものが2本作られ、何れも信仰の問題を秘めているというのは、何なんでしょう?
『ザ・ロード』も『ザ・ウォーカー』も(日本人には)信仰、宗教が前に出すぎですが、『ザ・ウォーカー』はドンパチや立ち回りのアクションがふんだんにあって楽しめます、とにかくイーライは強い!。映像ですが(これも『ザ・ロード』と似ています)、影はすべて潰れる露出過剰気味の暗い映像でモノクロームを思わせます。乾いたイメージはちょっとマカロニウェスタンを想像させます。抹香臭い(宗教色がある→死語?)ですが、お薦めです。
デンゼル・ワシントンは『渋い!』の一言に尽きます。56歳でアクションまでやる頑張には拍手です。奇人・変人をやらせば天下一品のゲイリー・オールドマンも健在。久々に『(コッポラの)ドラキュラ』や『レオン』のオールドマンです。
監督:アルバート・ヒューズ アレン・ヒューズ
出演:デンゼル・ワシントン ゲイリー・オールドマン ミラ・キュニス